【感想・ネタバレ】マンガの原理のレビュー

あらすじ

最高峰の技量を持つ森薫・入江亜季と、『Fellows!』『ハルタ』『青騎士』創刊編集長による、体系的な理論と技術。「視線誘導」「跳ね上げ」「めくり」「キャラ立ち」「フリウケ」……その全てがこの1冊に。

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Posted by ブクログ

あとがきでの森薫氏のひとことがとても良かった。

完璧主義にだけは気を付けなければなりません。いずれ上手くなることを信じて、今日のいまいちな作品を全力で描くのです。

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2025年07月17日

Posted by ブクログ

100ページちょっとしかないからサクッと読めるかなぁと思ったけど、

コマ割り・読み手にも対する良い画・セリフの表現技法などについて項目ごとに
想像していた以上に技術的で論理的に仕上げられている。

描き手もそうだけど読み手にも良い情報だと思った。

好きな作家さんがこういう発信をしてくれるのは良い

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2025年03月23日

購入済み

漫画創作はここまで凄い

作家さんの創作過程が知りたくて購入しました。
 繰り返し読みたくなる、物足りない感じ、感情移入し易い.しにくい、登場人物への違和感、唐突な感じがするなど読後感は様々です。例え好きな作家さんの作品でも同様です。当たり外れというのでしょうか。そして読者の心を引きつけるヒット作品が出来る理由はどこにあるのか疑問でした。
 この本を読むと画力以外の理由と共に漫画の奥深さを知る事が出来ます。
 素敵な作品を作って下さる作者・担当編集さんの努力に感謝です。

#深い #タメになる

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2025年02月22日

Posted by ブクログ

「ハルタ」創刊時の編集長で森薫や入江亜季の担当編集であった大場渉と森薫、入江亜季による実践的なマンガの書き方論。

マンガの入門書の類いは昔からいろいろあるけれど、「絵」は既に描けるというのが前提の入門書というのは如何にも今時だなと。

内容は具体的かつ実践的で漫画家を目指す人には勿論だが、読む人にとっても有益なものが多い。ただ、著者の大場渉は「良いマンガ」に対して明確なイメージを持っていて、そのイメージを共有できない人にはちょっと合わないと感じる人が居そう。明らかに「ジャンプ」的なマンガに対して良い印象持ってなさそうだし。

「ジャンプ+」の林士平との対談とか読んでみたい。

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2025年02月10日

Posted by ブクログ

フリウケは今まで考えたことがなかった!本物のプロは不要なものはネームに描かないんだな。本当に尊敬する…!
また、変形ゴマはなんとなく描いていたので、きちんと必要か否か考えていきたい。

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2025年07月15日

Posted by ブクログ

マンガだけではない、人の心をつかむヒントが詰まった良書でした。マンガ業界という厳しい世界で生き残ってきた過程で紡がれた経験を文字化してあるというのが、すごく貴重。真似できる部分が少しでもあれば、ぜひ取り入れたいと思わせてくれた。抜群にためになる本でした。

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2025年06月07日

Posted by ブクログ

結構「ん?」というものが多いから漫画を描くための参考にはならないかも…ていうか人による…青年誌の綺麗な紙漫画、まさに森薫先生の様なテイストの漫画作りたい!って人には参考になるというかんじ。

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2025年10月27日

Posted by ブクログ

【感想】
本書『マンガの原理』は、『乙嫁語り』『エマ』の作者である森薫、『北北西に曇と往け』の作者である入江亜季、そして2人のデビュー以来の担当編集であり、『Fellows!』『ハルタ』『青騎士』創刊編集長を務めた大場渉による、マンガの理論や技法を体系的に解説した一冊だ。

本書で紹介するマンガの理論とは、1コマ1コマの画法――いわゆる絵そのものの技術について“だけ”ではない。1ページの中に含まれるコマ数、コマ同士の配置関係、視線誘導の使い方など、読者が漫画をスムーズに読めるような仕掛けも含まれている。その多くは、私たちが普段目にしているにも関わらず、「これもテクニックの中の一つだったのか」と思ってしまうほど、自然に配置されているものである。

例えば、日の丸構図を避けることについて。日の丸構図とは、主人公などの主要な要素をコマのど真ん中に置く構図である。絵画や写真ではよく見るし、読み手に強い印象を与えるものだが、漫画ではNGだという。
その理由は、漫画には「時間の流れ」があるからだ。真ん中にキャラクターを配置してしまうと、次のコマに向かうための視線誘導が機能せず、時間の流れが止まってしまう。マンガはコマ単体ではなくコマ同士のつながりによって展開していくのだが、全ページの真ん中にキャラクターがいると、いちいち次のコマに視線を移さなければならず、ぶつ切りの印象を与えてしまう。そのため、キャラクターをコマの中心から寄って立たせることで、ページ全体の躍動感と表現をアップさせているのだ。

以上のような「言われてみれば思い当たる」テクニックは枚挙に暇がない。普段マンガを読む人も読まない人も、本書を参考にしながら手元にあるマンガのコマをチェックしてみれば、筆者と編集者が仕掛けた意図が理解できると思う。
また、この本を読んで基本的な構造を学んだ後に、「原理に反している」マンガを読んでみて、その理由を考えるのも面白いかもしれない。本書では、「コマ割りは基本形のシンプルな形にして、変形コマは使わない」というアドバイスをしているが、もちろん変形コマを効果的に使っているマンガはたくさんある。本書を隣に置きつつ「なぜこういう風に書いているのだろう」と考察してみれば、好きなマンガの解像度が格段と上がるだろう。

――読者は「お話」や「キャラクター」に注目しがちかもしれない。でも、その「お話」や「キャラクター」を濃密にし、面白くしているのは、細やかな技術なのです。
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【まとめ】
1 コマ割りの技術
●基本知識
コマの中の時間は、右側から左側へ流れる。同様に、上から下へ流れる。だから物語の時系列上、右のアクションは左のアクションより先に生じたもの、上のアクションは下のアクションより先に生じたもの、というのが自然な流れになる。

森:B5判サイズで読む際に、人間が生理的に一番スムーズに読めるのが、3段に組まれたコマ割り。私は3段組7コマを基本としている。一般論としては、最大9コマぐらいまでは無理なくコマを割れる。また、作中世界の情報量が多いと、物語展開のコマに加えて説明コマが増えるので、入れたいコマ数が自然と膨れ上がっていく。

大場:コマとコマを面白くつなげるためには、「フリウケ」が必須。読者が興味を持つ「フリ」を提示し、納得できる「ウケ」で拾う。そして、読者を引きつけるフリウケは、ほぼ全ての見開き、ページに仕掛けられていなければならない。
特に、ページの最後のフリと、ページの最初のウケ。ここの強度さえあれば、読者を次のページに読み進めさせることができる。

入江:漫画は横に読んで、横にめくっていく。その慣性が働くため、横に並ぶコマは流れるように読める。一方、縦におりるとき、段が変わるとき、その連続が途切れる。
段を縦積みにすると、キャラクターが上下に動く立体感を出せる。

森:左ページ一番最後のコマを読み終えてページをめくり、次の右ページ一番最初のコマに至る、ここを漫画業界ではよく「めくり」という。同じページの段から次の段に飛ぶ時、読者は一瞬作品から目を離すわけだが、「めくり」ではさらに長い時間、読者の目線が完全に紙面から離れる。そのため、ここで作品から意識が離れるのを防ぐ工夫が必要になる。
左ページの最後のコマは、次に何かが起きそうなコマを配置したり、自然な場面転換に使ったりすることになる。さらに、続く右ページ最初のコマは、少し間があいた分だけ読者の期待値が上がっているから、それにふさわしい良いセリフや良い絵を入れる必要がある。

森:アクションのコマ割りは、普通のシーン以上に厳格なコマ割りが求められる。
普通のシーンは、自由にカメラの位置を変更していけるのだが、アクションシーンの場合、いきなりカメラの位置を180度変える、みたいなことはできない。せめて90度ずつ移動させていく必要がある。
なぜそうなるかと言うと、漫画は前のコマの絵と後ろのコマの絵の差分で読んでいくものだからだ。アクションシーンは、当然ながら動きの大きな絵を見せていくことになる。つまり、前後のコマの絵の差分が必然的に大きくなりがちなのだ。だから、もともと動きが大きくて差分が大きくなりがちな絵を、前後のつながりが分かる範囲の差分に抑えていく必要が出てくるのである。

入江:コマ割りをする上では、視線誘導が重要。その際、
①漫画文法に正しく、読者が迷いなくストレスなく読めることを重視する。
読者の視線の傾向…コマの中は、「フキダシ」→「瞳」→「顔」→「手」→「人体」までは、原則としてこの順番で目を通す。ただし、演出上目立つように描かれているところは優先的に見る(露出の多い人体など)。「小物」「背景」「効果」については、目立つように描かれている場合のみ目を通す。
②可能なところでは視線の動きを演出に活用する。

入江:ヨコ一コマは原則禁止。コマ割りの技術が身につかないし、1ページに7コマ8コマ入る漫画に情報量で太刀打ちできないからだ。ヨコ1コマは必然的に情報量が薄くなるし、そこに2〜3コマ分の価値はない。
大場:同じ理由で、1ページ1コマも禁止。もしどうしても絵で読者を驚かせたいというのであれば、むしろ見開き1コマで見せるべき。


2 絵の技巧
大場:人間が漫画を見るときの優先順位は、「フキダシ」→「瞳」→「顔」→「手」→「人体」→「小物」→「背景」→「効果」である。漫画家はフキダシを最優先に考えるべきであり、また絵のレイヤーのうち重要度が高いものを優先すべきである。ただし、背景や効果線といった視認される優先順位が低いものでも、手を抜いてはいけない。作品の世界観を高めるための大切な包装紙だからだ。

大場:大ゴマは寄り、小ゴマは引きで描く。漫画には画面の大きさを自由に変えられるというメリットがある。作中人物を読者の目の前に大きく近づけ、コマ=画面を大きくすれば、迫力を出すことができる。また、引き=ロングショットの絵は「生活」を描くチャンスである。物語上の制約を受けない演技を入れるチャンスであり、ここで人々がわちゃわちゃと動いていると、読む方はとっても楽しくなる。

大場:キャラの立ち位置について。漫画は右から左に読むので、
①視点の人物は右側にいて左向き
②相対する人物は左側にいて右向き
が原則となる。
また、日の丸構図(キャラがコマのど真ん中にいる構図)は避けるべき。漫画は写真とは違って時間が流れている。真ん中にキャラクターを配置してしまうと、どん、と時間の流れを止めてしまう。

大場:人物は柔らかくて太いニュアンス豊かな線を引き、背景には細くて硬い死んだ線を引く。2つを使い分けることで、背景をたくさん書き込みつつも、人物をより魅力的に浮かび上がらせることが可能になる。
漫画家になったばかりの人が、これから線の技術を高めるために力を入れるべきなのは、輪郭線だ。書き込みがあってもキャラクターが生き生きと動き回っているのは、しっかりとした人物の輪郭線があってのことだ。


3 フキダシとセリフの原理
森:フキダシに入れるセリフの量は、5文字×2行が理想だと考えている。それが一番読みやすく、読者に伝わりやすいから。
許容範囲としては、1行当たりの文字数は4文字から8文字。行数は最大5行まで。どうしても入りきらない場合は、フキダシを分割することにしている。

森:説明セリフは原則NG。無理やり情報を詰め込もうとしても、「現実ではそんな言い方しないよね」となってしまう。実感が持てない「説明セリフ」を使うと、そのシーン、さらにはその後の物語展開において、読者が感情移入できなくなる。
ただ、物語展開上、どうしても必要な説明セリフは出てくる。それでも常に「本当にその説明セリフは必要か?」と自分で問い続けることが大切だ。そして、その際の判断基準が、そのセリフに「実感」があるかどうか、「情報」だけになっていないか、ということになるのだ。

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2025年04月30日

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