本村凌二のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ(ビスマルク)
少し違った切り口で世界史を語っている本
1.文明はなぜ大河の畔から発祥したのか
乾燥化による人々の水辺への集中
めぐまれた環境に文明は生じない
2.ローマとの比較で見えてくる世界
ローマの歴史の中には人類の経験のすべてが詰まっている
3.世界では同時に同じことが起こる
アルファベット、一神教、貨幣が同時代に誕生した
産業革命だけはイギリスのみで起こる
→近郊で石炭などのエネルギーが手に入った
植民地の拡大で巨大市場が手に入った
4.なぜ人は大移動するのか
新大陸発見、戦争難民、奴隷貿易
気候変動による食糧不足→ゲルマン民族による大移動
→民族移動にがもたらす価値観の対立
5.宗教を抜きに歴史は語れない
かつては神々の声に従って行動
占いは神々の声の代用→デルフォイの信託
二分法→昔は右脳と左脳が別々に動いていた→
文字の誕生により右脳が退化→意識を持つようになり神々の声が聞こえなくなった
→一神教が必要になった
一神教は他の神の存在を許容できない→宗教対立は一神教の宿命
6.共和政から日本と西洋の違いがわかる
ローマを元とした欧米→為政者と民衆が近い
東洋→為政者はお上、民衆と距離がある→共和政が根付かない
7.すべての歴史は現代史である
6の理由により欧米は民主主義が根付きやすい
中国は世界初の国内植民地政策
民族のつながりを無視した国境は悲劇を招く
平和と反映が続くと人は退廃する -
Posted by ブクログ
国内外の戦いの歴史の裏話をまとめた短編集というべきか。
現代を生きる我々を未来人とすれば、数々の戦争は、すべて過去の話である。
過去ゆえに、未来人の我々からすれば、数々の戦いの歴史を単純化して見てしまいがちだ。
何らかの理由があってどちらかが戦火を切り、お互いに死力を尽くして戦い、そしてどちらかが勝利した。
まるでボクシングの試合のように、1対1で丸腰の条件が同じで、さらにルールが明確にあり、衆人環視の中で公平に戦っていたかのように錯覚してしまう。
特に、私を含めて現代に生きる我々のほとんどが、戦争を経験したことが一度もない。
前線での悲惨な惨状を見ることもなければ、戦争全体の戦略を考えなければいけない立場の指揮官でもない。
ここで一呼吸置いて考えてみる。
もしこれら過去の戦争の時代に、未来人の我々が生きていたら、どうだろうか。
つまり、未来人でも、過去の人でもなく、数々の戦争が自分たちにとって「今」だったとしたら。
おそらくすべての戦争において単純な話は一つもなく、様々な要因が複雑に絡み合う中で、何らかの理由によって戦うことになったのだろうと思う。
本来は避けたかったのに、戦わざるを得ない状況に追い込まれることもあったかもしれない。
逆に、収奪のチャンスと見て、奇襲作戦を仕掛けることもあっただろう。
兵力が足りなかったり、軍備が足りなかったり、地理的な不利に追い込まれたり、様々な不確定要素があったはずだ。
圧倒的な武器を開発したことで、近隣を制圧する機会を得たこともあったかもしれない。
数限りない変数がある中で、どうやって戦ったのか。
そして、どうやって勝とうとしていたのか。
過去の戦争はほとんどが局地戦。(第一次大戦以後の戦争は、総力戦と言われている)
一度戦争が始まったら、戦地ではまさに生きるか死ぬかの戦いが繰り広げられる。
当時は、戦争が終了した後の、政治的な外交を考える余力はなかったと思われる。
つまり、戦う以上は勝つことが前提で、負けることは死ぬことと同義であったと思われる。
孫子の兵法は、数々の指揮官が参考にしたとされているが、現代のビジネスにも通じる考え方だ。
そういう意味では、今のビジネス環境は、戦争の状況と似ているとも言える。
国際規模の大規模な戦争ではなく、局所的な「戦(いくさ)」と捉えてみると、確かに現代のビジネス環境は共通点が多い気がしてくる。
「ラーメン激戦区」などは普通に使われている言葉だが、まさにその場所で激しい戦いが繰り広げられていることは間違いない。
限られたリソースの中で、競合他社に対して、我々はどういう勝ち筋を見つけ出していくか。
その計画に対して、変動要素を上手くコントロールしながら、どうやって作戦を実行していくか。
歴史を学ぶのは、それだけで意味がある。
究極的には「戦わずして勝つ」ことが「戦略」である。
自らもビジネス環境も含めて、想像を膨らませてみるのも、面白いものだ。
(2025/7/21月) -
Posted by ブクログ
本村凌二先生の地中海世界の歴史シリーズの第1巻(講談社メチエ選書)。
少し前に高野秀行「イラク水滸伝」を読んでメソポタミア文明は「ハムラビ法典」以外のことを知らないんだなと思ったので勉強になった。
第一章愛の女神イナンナに始まる、は文字と都市の始まりのメソポタミア、
第二神々の河は地中海にそそぐ、は古王国・中王国・新王国時代のエジプト、
第三章両翼の狭間で、はシリア・小アジアでヘブライ人・フェニキア人の登場、
について書かれている。
「ウルのスタンダード」は大英博物館、「ハムラビ法典」はルーブル博物館の所蔵、いつか実物を見てみたい。「ハムラビ法典」は判例集みたいな作りだったのですね。
第一・二章に比して第三章はボリューム小。
平易な文章で読みやすい。
好きなローマ時代までたどりつけるかは....わからない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ地中海生家の歴史4
・「若き英雄 アレクサンダー大王の一生」河津千代を小学校6年生の頃何度も読み返したのを思い出した。アレクサンドロスの遠征譚は戦闘の奇術も少なく平板。
・アレクサンドロスの遠征によりヘレニズム文明が誕生。
共通語コイネー、ムセイオン、建築・彫刻様式、自然科学
神々との関係においては、エピクロス派は人間界は神界と隔絶しているから人間界のことを思索するうえでは神々は無関係、ストア派は神々の力は人間と自然のあらゆるところに及ぶ故にロゴスにより生きるべき。
・共同体から離れたデラシネとなったコスモポリタンが求めた心性は、共同体の救済ではなく個人の救済であり、ディオニュソス信仰の狂騒と酩酊を通じた救済、宗教融合により生まれた救済を約束する密儀宗教(ミトラ教、イシス女神信仰など)。 -
Posted by ブクログ
以前に「教養としての「ローマ史」の読み方」を読んで面白かったので同じ先生の話を読んでみようと手に取りました。表紙もそっくり。
でも、すみません。前作の方が圧倒的に面白かったです。。前作は先生の専門のローマの話でしたが今作は世界史全体を論じてます。ありきたりに歴史を古代から述べ単に書くことはせず、文明がなぜ大河のほとりで発生したのか…など歴史の持つ共通点や差異に注目しているのは流石の面白さなのですが、先生の持論的な話が別のテーマのところでも、あれ?この話さっきも聞いたな…みたいな感じで再掲されてて少しもたつきのようなものを感じました。
前作がめちゃくちゃ読んでて楽しかったので、今度はまたご専門のローマの著作を読みたいと思います。