本村凌二のレビュー一覧
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古代ローマの成立から周辺国家、強国カルタゴ等を征服し地中海を中心としたヨーロッパの大国となる歴史が、英雄たちを中心に面白く書いてある。ローマ2000年を支えたものが何であったかをひとことで言うのは難しいし、読んでも分からなかった。▼カエサルなど多くの素晴らしい人物も生み出した。王政、共和制、帝政、など国は形を変えて生きながらえる。しかし元老院制や帝政の一時期を除いて周辺国とは戦争が絶えず、国内において特に帝政時は皇帝の暗殺が頻繁に行われる不安定な世であることも知った。日本の江戸時代の平和とは遠い世界であることも痛感した。それでもローマが長く生き残ったのはなぜか、という疑問がやはり残る……。
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「馬の世界史」本村凌二さん。2001年の本。中公文庫。
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題名の通り、「馬」という断面で眺める世界史のお話です。前々から気になっていて、なんとなく読んでみました。
●どうやら、「馬」というのは、色んな似た生き物の突然変異のようで。人間と共生しやすく出来たので、繁殖して増えたそうです。従って、もしかしたら現存する全ての「馬」の先祖というのは辿って行くと、突然変異したただ1頭の「馬」に行きつくのかも知れない。ある意味、万世一系な訳ですね。(まあ、でも生き物は全部そうとも言えるのですけれど)
ちなみに、今現在「馬」というとほとんどがサラブレッドという種?な訳ですが、サラブレッドも辿って行くと -
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タイトル通り競馬の歴史について俯瞰する本。古代の競馬から最近の競馬までザックリと解説する。
競馬の楽しみはいろいろあるが、おそらく大半は馬よりもお金が好きな人達だ。この本には金儲けのノウハウが全く書いていないので、ギャンブル好きには読む価値は無いと思うが、文化としての競馬が好きな人には大変面白い内容で、この本を通読すれば、競馬が
どのように発展してきたかがよく判る。
著者は東大の名誉教授。歴史が専攻で他にも馬の文化についての著書がある。世界中の競馬場を巡り、歴史的なレースにも立ち会ってきた経験があり、所々に自
身の体験が紹介されている。
競馬は多くの人が関わる催し物であり、1頭の馬を巡って様々 -
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世界史において馬が果たした役割と、その中で人が馬を如何に活用し変えていったかに着眼した「馬」切り口の世界史。
著者は言わずと知れた古代地中海史の大家だが、無類の競馬好きでもあるらしい。(冒頭からネアルコ、リボーという競馬ファンなら誰しも知っている名前がちらほら)
そこから想を得ての著作らしいが、大変に興味深い。
まず、馬が家畜化されたのはいつからか、そして初期に飼いならされた馬はどのように活用されたのかを説くところから始まる。
次第に騎乗の技術や戦車を発明した騎馬遊牧民が活躍する時代になり、人々の歴史に「速度」が持ち込まれる。
情報や文物は今までにない速度で伝播し、人々の活動領域も広がる。 -
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そういえば、もうすぐ映画「ポンペイ」が公開されますね。
パニックムービーにして 3D映画、これは楽しみです。
ポンペイには当時の市民の生活がそのまま埋もれています。
本著の表紙のご夫妻も、ポンペイから出土したものです。
裕福な市民の家には多種多様なモザイク絵画が描かれいました。
町じゅうの落書きなども残っていて、当時の生活が伝わってきます。
本著はポンペイだけでなく、ローマ市民の生活を風俗生活の観点から述べています。
ローマ市民と言ってもやや1,000年近くに渡る時間軸なので、どの時代のどの階級によって生活は違います。本著は皇帝や皇后から一般市民、そして時代も取りあわせています。
書か -
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馬を切り口にすると、世界史の流れがより鮮明に見えてくることに驚いた。アメリカ大陸はウマ科の化石の宝庫だったが、1万年前に氷期が終了すると絶滅した。旧大陸でも、家畜化される前の馬は狩猟の対象でしかなく、絶滅しかけていた。
ウクライナのドニエプル川西岸にあるデレイフカで52頭の馬の骨が発見されており、BC4000年頃には馬が飼育され、騎乗されていた可能性もある。その西にあるトリポリエでも、BC3000〜BC1700年頃まで家畜馬の骨が発見されている。BC2000年以降は南ロシアや西アジアが乾燥化して草原が広がったため、家畜の中で馬の占める割合が増えた。
メソポタミアでは、BC3000年紀からロ -
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ネタバレ愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ(ビスマルク)
少し違った切り口で世界史を語っている本
1.文明はなぜ大河の畔から発祥したのか
乾燥化による人々の水辺への集中
めぐまれた環境に文明は生じない
2.ローマとの比較で見えてくる世界
ローマの歴史の中には人類の経験のすべてが詰まっている
3.世界では同時に同じことが起こる
アルファベット、一神教、貨幣が同時代に誕生した
産業革命だけはイギリスのみで起こる
→近郊で石炭などのエネルギーが手に入った
植民地の拡大で巨大市場が手に入った
4.なぜ人は大移動するのか
新大陸発見、戦争難民、奴隷貿易
気候変動による食糧不足→ゲルマン民族 -
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国内外の戦いの歴史の裏話をまとめた短編集というべきか。
現代を生きる我々を未来人とすれば、数々の戦争は、すべて過去の話である。
過去ゆえに、未来人の我々からすれば、数々の戦いの歴史を単純化して見てしまいがちだ。
何らかの理由があってどちらかが戦火を切り、お互いに死力を尽くして戦い、そしてどちらかが勝利した。
まるでボクシングの試合のように、1対1で丸腰の条件が同じで、さらにルールが明確にあり、衆人環視の中で公平に戦っていたかのように錯覚してしまう。
特に、私を含めて現代に生きる我々のほとんどが、戦争を経験したことが一度もない。
前線での悲惨な惨状を見ることもなければ、戦争全体の戦略を考えなけれ -
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本村凌二先生の地中海世界の歴史シリーズの第1巻(講談社メチエ選書)。
少し前に高野秀行「イラク水滸伝」を読んでメソポタミア文明は「ハムラビ法典」以外のことを知らないんだなと思ったので勉強になった。
第一章愛の女神イナンナに始まる、は文字と都市の始まりのメソポタミア、
第二神々の河は地中海にそそぐ、は古王国・中王国・新王国時代のエジプト、
第三章両翼の狭間で、はシリア・小アジアでヘブライ人・フェニキア人の登場、
について書かれている。
「ウルのスタンダード」は大英博物館、「ハムラビ法典」はルーブル博物館の所蔵、いつか実物を見てみたい。「ハムラビ法典」は判例集みたいな作りだったのですね。
第一・二