本村凌二のレビュー一覧
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ウクライナ戦争について、一般的に民主主義対権威主義の戦いだと言われているが、実は西欧世俗キリスト教対ロシア正教という宗教戦争だという視点。
西側の民主主義における“人権”は“神権”が変異したもの。つまり“人権”は実は西側の世俗化キリスト教の価値観。それを押し付けられたプーチンが西欧の同性愛やLGBTQをサタニズム(悪魔崇拝)だと言っているのがその表れの一つ。
もともとはウクライナ東部にすむロシア系住民をネオナチから救うのが目的の戦争が、アメリカ、西欧が価値観戦争と位置付けたため宗教戦争になってきている。
単に領土の取り合いなら妥協点も見出しやすいが、価値観戦争は双方が譲るのが難しい。
この戦争 -
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「教養」として現在までの歴史と国のあり方がわかりやすく、とっても面白い本でした。
「唐=漢文化」だと思っていましたが、実際には唐王朝は漢人ではなく胡族の王朝、というような「へえ!」もいっぱい。
疫病(ペスト)の蔓延が元の滅亡を加速させた、というところ、コロナの蔓延が世界にどんな影響を及ぼすのか怖くなってしまいました。
「違ってあたりまえ。違うのだから、完全にわかり合えなくてあたりまえ。そうした意識をもって、わからないなりに、相手を理解しようとするのが、歴史や異文化を学ぶということなのではないでしょうか。」
国家間だけでなく、人と人のお付き合いでも深 -
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ロタ・ロマーナ(バチカン裁判所)の弁護士をしている著者が、自国の韓国の大学でおこなったラテン語の講義の記録をもとにした書。今の時代、教会の裁判所とはどんな役割を担っているのか、ちょっと想像できないがそれはさておき。ラテン語の文法の話も出てくるが、それ以上にラテン語のさまざまな言葉を通じて、歴史、宗教、哲学、そして人生について考える書と言った方がよいだろう。宗教者として学生たちに語りかけている言葉が、静かに心のうちに流れてゆく。日常の些細なことでざわついた心を落ち着かせるように静かに語りかけてくる。
歴史的なラテン語の格言なども多く引用され、ラテン語の入門書としても面白い。ただ、文法上の説明につ -
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以前も本村氏の本を読みました。もう内容も覚えていないのですが、おぼろげに面白かったことを覚えています。
今回、改めてローマ史について読みましたが、これは実に面白かった。忘れないうちに備忘として記録に残したいと思います。
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本作、ローマの歴史1,200年を通史として紐解いています。で、実に面白い。
それはやはり、人にフォーカスしているからだと思います。紀元前8世紀から共和制を経て、そして賢帝たち、続いて軍人皇帝時代を経ています。
賢帝でも愚かな息子を次の帝位につける、反抗した軍でも恭順を示せば許す、気前の良いことを言って約束し財政を悪化させる、反乱に諦めかけるところを妻の一言でやる -
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教養本というか哲学書だった。
ラテン語とキリスト教は切り離せないからきっとそうなる。
ミッション系の母校でキリスト教の授業があり、当時は「イエス様、たとえ話またキターー!」とかおちょくっていたのだが、世界の教養を学んでいたと思うと有り難い時間だった。
言語にはその国の歴史や国民性が滲み出ている。それが学ぶ人にも意識的・無意識問わずゆるりと染み渡っていくのが面白い。
英語にはもう、その文化を煮詰めたような旨味はないかもしれないがその根底にもラテン語が潜んでいて、私たちは知らず知らずに古代ローマの滴を啜っている。
あぁカエサル!2000年も経った今、私が極東の地であなたの言葉を味わっています -
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スペイン語やフランス語をかじっているのですが、ラテン語系と漠然と一括りにしていて、活用の「格」が複雑…と思ってた、それらがラテン語から来ているらしい!と教えてもらいました。
そもそも惣領冬実先生の「チェーザレ」を読んでいる最中で、話の中に若いチェーザレがラテン語を理解し、きれいな発音で相手に返す、というようなシーンがあり、ラテン語って!?と思っていたところで読み始めました。
ラテン語の文法だけを学ぶ本ではないですが、ラテン語が、特にキリスト教に関わってきた歴史を、かすかに知ることができました。
かすったので、もっと知りたくなる…(笑)死ぬまでにもう少し知ることができますように…
実は、語 -
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ラテン語の名句が各章で取り上げられるのだが、その名句に含まれる一つ一つの単語が丁寧に解説されている。英語、スペイン語を学んでいる自分には、ラテン語が語源となっている英語、スペイン語の単語をいくつも知ることができて、言語の奥深さを感じることができた。
著者はキリスト教だけでなく仏教、儒教をはじめとした様々な宗教に造詣が深く、ヨーロッパの様々な言語、世界史や法学にも精通している。真に学問を追究してきた人が紡いだ言葉には、重みがあった。
その一方、韓国ではやはり日本人による征服の歴史が根を張っていることをこの本から感じた。歴史と、日本人に対して複雑な感情を抱く人も韓国には少なくないという事実を、 -
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古代ギリシャ、ローマから中世ヨーロッパ、近代までの独裁体制の歴史を追っている。カタカナの名前が多くて読みづらいジャンルだが、かなり読みやすく書かれている。要所で「繋がり」を重視して書かれているからかも。
独裁=必ずしも悪とは言えず、民衆がそれを支持したがゆえの体制が人類史で何度も繰り返されてきたことがわかる。先人達が長い歴史の中で、時に痛い目に遭いながら理想の政治体制を知恵を絞って構築してきた努力に頭が下がると同時に、同じ過ちを何度も繰り返してきてもいる。
独裁を支持する国民の心境には、「強力なリーダーシップに引っ張ってもらう」中で「考えなくて良い」楽さがあることを指摘している。デジタル技 -
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借りたもの。
“語学として”のラテン語教本ではなく、ラテン語格言・名言などを通して、様々な価値観、生き方の教訓を学んでゆく本。「教養」とは、ラテン語格言に込められた欧州的価値観……否、そうした地域を限定するものを超えるものを紐解いていく感じの本だった。
そこから見えてくるのは、欧州の「古代ギリシャ・ローマの現文明こそ自分たちの根源である」というプライド。
ラテン語から紐解かれるルーツには、欧米の歴史やリベラル・アーツの話、さらにさかのぼってインド・ヨーロッパ語族に至る。
既にネイティブが存在しない言語なので、発音はどのようなものなのか、ローマ式発音(スコラ発音)、古典式発音(復元発音)がある -
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1996年に中公新書で出た本の増補版の文庫版に巻末対談を加えて新書化したものです(なんじゃそれ)。
ポンペイの発掘はここ20年くらいの間に新しい知見もあった気がしますが、この本は壁に残された文字(落書き)に焦点を当てているので、それほど鮮度が落ちてないようです。
それにしてもよくこれだけ大量に落書きがあるもんだ、そんな空間では生活しにくいなと思いましたが、今の日本も壁には選挙ポスターや宗教の警句が貼ってあったりするので、そんなに差が無いのかも。いやポスターよりもバリエーションが有って楽しいのかもと思いました。
あと歴史の文献資料と言うと偉い人の書いた公的記録や日記が中心になりますが、こういう