本村凌二のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
歴史を順番に説明していくような教科書ではなく、「こういう切り口で各地域の歴史を比較してみると」というものなので、飽きずにわくわくして読めた。
西洋と東洋で、君主に対する見方が異なるのが、なるほどと思った。西洋では、君主は民衆に姿を見せパフォーマンスをし、人気を集める必要があった。そのため、民衆に近い存在で、民衆は文句も言える対象だった。一方で東洋の君主は、姿を見せずミステリアスで畏怖の対象だった。
この辺りの歴史が、いまの国民性の違いにもつながっていたりするのかな、とぼんやり思う。
あと、3千年前の言語が確立されていない人間は、心の中に神の声を聞いていたかも知れないという説は、刺激的だった -
Posted by ブクログ
「30の歴史シリーズ」5冊目です。
前作に引き続き世界史ということで、今回も世界地図と世界史の図表を隣に置きながら読みました。王の歴史は、近代までの歴史に通じ、王個人に迫ることは、その時代、国、その周辺に迫ることに繋がります。国家の創始者、国家の最盛期、国家の終焉の王など、それぞれ違いますが、その時代を彩り、体現した王を通して歴史を学ぶことは、これまでと一味違う歴史を見ることができると感じます。
<目次>
ハンムラビ王 -復讐合戦をやめさせた正義-
ラムセス2世 -最古の講和条約を結んだ「建築王」-
ダレイオス1世 -中央集権と寛容の文化-
アレクサンドロス大王 -父から受け継ぎ、父を -
Posted by ブクログ
以下、本書より。
【かつて人は神々の声に従って行動していた】
人間社会では、宗教は常に大きな問題です。
宗教というと、神にすがって救いを求めるものという印象が強いようですが、歴史を見ていると、決してそれだけのものではない事がわかってきます。
プリンストン大学の心理学教授ジュリアン・ジェインズは、著書『神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡』で、三千年前の人類は、実際に神々の声を聞き、その通りに行動していたという事を、ホメロスの『イーリアス』と『オデュッセイア』の記述をひもときながら検証しました。
そしてジェインズは、こうした神々の声が聞こえていた時代を「二分心」の時代と称しました。
人間の意 -
Posted by ブクログ
ローマ帝国という
同じ名前を冠している間に政治制度が何度も変わるという
日本史付きの私からは奇妙に見えたローマについて興味を持ち、なぜ政治制度が変わり、強国になり、滅んでいったのかの理由が知りたくなり読み始めた。
全部を通じて
インフラの老朽化による経済の縮小、衰退
トップの無能さによる国家の力の減少
徴税の強化
などのいろいろな理由が複雑に絡まっているではあろうけれども
やはり自分に余裕があるときや、有利なときには他者には寛容になれるし、余裕がなくなるような荒れた時代であれば自分を最優先する為に非寛容にもなると私は読み取りました。
そこから
どれだけ辛くなったとしても他者に寛容である精 -
Posted by ブクログ
「ローマ帝国滅亡の原因」をこの本では、いくつもの事象が折り重なって起きたであろうという事から、交響曲の様だとして述べている。
大きくは、3つ。経済の衰退、国家の衰退、文明の変質。
「経済の衰退」では、メインに奴隷を据えて、戦争によって得た時代から、捨て子などによる供給、人口減少から一般人が小作人として使われ農奴となって行ったと。また、合わせてインフラの劣化、これは過去には貴族による出資で成り立っていたものが、労働力の枯渇で衰退。
「国家の衰退」では、宗教を利用した権威付けから、軍に殺生与奪を握られ、辺境からの圧力への対応としての戦費と増税を繰り返して体力を落とし、曖昧な国境と異民族の軍への -
Posted by ブクログ
ローマ史の読み方と題する本で、各時代にどういうことに注目したらいいかを書いた本。
ローマ史は長いので、流れをつかむだけでも大変だし、人名もわかりにくいが、いろいろな要素があり、かなりおもしろい。ちょっと最後まで長かったが。
以下は読書メモ:
ローマの共和政が500年続くのに対し、古代アテネの民主政は50年で機能しなくなる。
民主政でも民主主義でも民が主ならその本質にはポピュリズムが含まれている。
民主政を機能させるのに必要なのは「優れた政治家による意識的な努力」。
ローマは2人の執政官(独裁)、元老院(貴族政)、民会(民主政)の絶妙なバランス。
名将カミルス
カウディウムの頸木
ローマ対 -
-
Posted by ブクログ
国家の収入が不足すれば、徴税システムが見直され、増税されるのが自然な流れです。ところが、重税が課せられるようになると、これもどこの世界でも見られることですが、富裕層があの手この手を使って税を逃れるようになり、貧しい者の負担ばかりが増え、いっこうに税収が上がらない負のスパイラルに陥ります。
(本文より)
...これは、2018年の日本についての文章ではなく、今から1500年以上前のローマ帝国についてなんです。
どっきりですね。
歴史は繰り返すというか…。
#
「はじめて読む人のローマ史1200年」本村凌二さん。
この人の「馬の世界史」が面白かったので、読んでみました。「ローマ帝国の歴史」っ