本村凌二のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「30の歴史シリーズ」5冊目です。
前作に引き続き世界史ということで、今回も世界地図と世界史の図表を隣に置きながら読みました。王の歴史は、近代までの歴史に通じ、王個人に迫ることは、その時代、国、その周辺に迫ることに繋がります。国家の創始者、国家の最盛期、国家の終焉の王など、それぞれ違いますが、その時代を彩り、体現した王を通して歴史を学ぶことは、これまでと一味違う歴史を見ることができると感じます。
<目次>
ハンムラビ王 -復讐合戦をやめさせた正義-
ラムセス2世 -最古の講和条約を結んだ「建築王」-
ダレイオス1世 -中央集権と寛容の文化-
アレクサンドロス大王 -父から受け継ぎ、父を超えたかった英雄-
始皇帝 -永遠を願ったファーストエンペラー-
アウグストゥス -友と妻と築いたパクス・ロマーナ-
トラヤヌス帝 -属州出身者が果たした帝国最大版図-
コンスタンティヌス大帝 -時代を変えたキリスト教公認と東方遷都-
ユスティニアヌス大帝 -結婚のために変えた法、後世のために残した法-
太宗 -部下の諫言に耳を傾けた世界皇帝-
カール大帝 -「ヨーロッパの父」が重視した教会と学校-
ハールーン・アッラシード -東西を結んだ「正道を行く者」-
アルフレッド大王 -ヴァイキングを撃退した礼節ある傑物-
オットー大帝 -教会組織を利用し興した新帝国-
ヘンリ2世 -相続と結婚で手に入れた広大な領土-
フリードリヒ2世 -2回破門された「王座上の最初の近代的人間」-
フビライ=ハーン -史上最大の版図を築いた遊牧民の皇帝-
永楽帝 -華夷秩序を確立し中国を再構築-
スレイマン1世 -異教徒をも取り込んだオスマン帝国の最盛期-
フェリペ2世 -信仰で動かした「太陽の沈まない国」-
エリザベス1世 -大英帝国と結婚した「処女王」-
アクバル大帝 -改革と融和がもたらした平和-
ルイ14世 -戦争と宮殿にこだわった「太陽王」-
康煕帝 -経済改革と領土拡大を果たした「聖祖」-
ピョートル大帝 -西欧視察を活かして取り組んだ近代化-
マリア・テレジア -政略結婚で影響力を高めた名家の母-
ナポレオン1世 -国民の軍隊を率いた「カールの再来」-
ヴィルヘルム1世 -不本意な即位ながらドイツを統一-
ヴィクトリア女王 -「ヨーロッパの祖母」が支えたイギリスの世紀-
ニコライ2世 -時代のうねりに翻弄された悲運の君主- -
Posted by ブクログ
以下、本書より。
【かつて人は神々の声に従って行動していた】
人間社会では、宗教は常に大きな問題です。
宗教というと、神にすがって救いを求めるものという印象が強いようですが、歴史を見ていると、決してそれだけのものではない事がわかってきます。
プリンストン大学の心理学教授ジュリアン・ジェインズは、著書『神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡』で、三千年前の人類は、実際に神々の声を聞き、その通りに行動していたという事を、ホメロスの『イーリアス』と『オデュッセイア』の記述をひもときながら検証しました。
そしてジェインズは、こうした神々の声が聞こえていた時代を「二分心」の時代と称しました。
人間の意識というのは、言語に深く根ざしています。
その為、ジェインズは人類がまだ文字を使っていなかった段階では、意識というものも定かでなかったはずだと考えました。
彼の考察によれば、人類が明確に意識を持ったのは約三千年前。
ではそれ以前の意識の稀薄な人類は、どのようにして社会生活を営んでいたのかというと「二分心」を活用していたというのです。
これは、簡単に言うと、心の中に「自分」と、もう一つ「神」がいたという事です。
つまり、神という別の存在が実際にいて、その声を聞いていたという事ではなく、古代の人々は、内なる声として常に自分の内なる「神」の声を聞きながら生きていたという事です。
明確な自己意識を持つ現代人には少々わかりづらい感覚かも知れませんが、私のように古代史を専門としている人間には、この説明はとても納得できるものでした。
なぜなら、私もそうですが現代人の多くは、神というのは人間の脳が作り出したものなのではないかとかねがね考えているからです。
人間は「文明」と呼べるものができる以前から、宗教的習慣を持っていた事が考古学的研究によって明らかになっています。
でも、人間以外の動物には神も宗教もありません。
そう考えると、神は人間が脳を発達させた結果、手にしたものの一つだと考える事ができるわけです。 -
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ローマ帝国という
同じ名前を冠している間に政治制度が何度も変わるという
日本史付きの私からは奇妙に見えたローマについて興味を持ち、なぜ政治制度が変わり、強国になり、滅んでいったのかの理由が知りたくなり読み始めた。
全部を通じて
インフラの老朽化による経済の縮小、衰退
トップの無能さによる国家の力の減少
徴税の強化
などのいろいろな理由が複雑に絡まっているではあろうけれども
やはり自分に余裕があるときや、有利なときには他者には寛容になれるし、余裕がなくなるような荒れた時代であれば自分を最優先する為に非寛容にもなると私は読み取りました。
そこから
どれだけ辛くなったとしても他者に寛容である精神力
相容れない人間とも分かり合うための話し合い
が必要であると感じた。
自分自身は弱い人間なので難しいかもしれないが、心の片隅に置いておくことだけでも実践したい。
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Posted by ブクログ
「ローマ帝国滅亡の原因」をこの本では、いくつもの事象が折り重なって起きたであろうという事から、交響曲の様だとして述べている。
大きくは、3つ。経済の衰退、国家の衰退、文明の変質。
「経済の衰退」では、メインに奴隷を据えて、戦争によって得た時代から、捨て子などによる供給、人口減少から一般人が小作人として使われ農奴となって行ったと。また、合わせてインフラの劣化、これは過去には貴族による出資で成り立っていたものが、労働力の枯渇で衰退。
「国家の衰退」では、宗教を利用した権威付けから、軍に殺生与奪を握られ、辺境からの圧力への対応としての戦費と増税を繰り返して体力を落とし、曖昧な国境と異民族の軍への編入、ゲルマン人の大移動を許した。
「文明の変質」では、「ポリス市民の多神教文明」から「コスモポリタンの一神教文明」への移行。ストア派は神は人間社会に介入するという考え方で、この思想がキリスト教との共通点があった。弱者救済の考え方のこの宗教が広まったのは、ローマ人の多くが弱者へと変質して行ったのかも知れないからだと。
この論を読むと、今の世界、日本と重なってイメージ出来るような気もするが、そもそも筆者のバイアスがかかっている可能性もあるし、国家の滅亡の普遍的な要素の気もする。
ここから、読者はどう考えるべきか?
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Posted by ブクログ
ローマ史の読み方と題する本で、各時代にどういうことに注目したらいいかを書いた本。
ローマ史は長いので、流れをつかむだけでも大変だし、人名もわかりにくいが、いろいろな要素があり、かなりおもしろい。ちょっと最後まで長かったが。
以下は読書メモ:
ローマの共和政が500年続くのに対し、古代アテネの民主政は50年で機能しなくなる。
民主政でも民主主義でも民が主ならその本質にはポピュリズムが含まれている。
民主政を機能させるのに必要なのは「優れた政治家による意識的な努力」。
ローマは2人の執政官(独裁)、元老院(貴族政)、民会(民主政)の絶妙なバランス。
名将カミルス
カウディウムの頸木
ローマ対カルタゴ 第二次ポエニ戦争 カルタゴの猛将ハンニバル アルプス越え カンナエの戦い
ザマの戦い スキピオ対ハンニバル
共和制ファシズム = 共和制軍国主義 先取防衛、自国の「生存権」として他国へ進出
父祖の遺風 敬虔な信仰心
デギマティオ 1/10刑 連帯責任
グラックス兄弟
平民派マリウス、閥族派スッラ
クラッスス、ポンペイウス、カエサル 三頭政治
パトロヌスとクリエンテス 親分・子分の関係 権力でなく権威に基づく信頼関係 →将軍と兵を強く結びつける→皇帝を支える大きなヒエラルキーに繋がる
カエサルがルビコン川を武装したまま渡りローマを制圧 賽は投げられた
カエサル暗殺「ブルトゥス、おまえもか」ブルトゥスはポンペイウス派=共和政の伝統を守る、カエサル派=帝国的な規模には対処できない
盟友アントニウス、遺言で後継者に指名されたオクタウィアヌス、2人の対立を察し協調を働きかけたレピドゥス 第二次三頭政治
オクタウィアヌスが勝利しアウグストゥスの称号=皇帝
カエサルは大神祇官=ポンティフェクス・マクシムス=ローマ法王の正式名称
後継はティベリウス、実務に優れたがカリスマ性はなく陰鬱
カリグラ、クラウディウス、ネロ
五賢帝
ネルウァ、トラヤヌス、ハドリアヌス、アントニヌス、マルクスとウェルスの共治帝
パクス・ロマーナ
テルマエ・ロマエはハドリアヌスの治世
コンモドゥス ローマ史上最悪の皇帝
カラカラ フード付き外套の意で好んで着ていたためのニックネーム
ローマ帝国の終末期を、衰退・滅亡の時代ではなく、変革の時代と捉え直す
軍人皇帝時代 50年間に70人の皇帝が乱立
ディオクレティアヌス 皇帝権力の強化 → ローマ古来の神々への信仰の復興 → 自分を最高神ユピテルの子 → 民衆に共通の信仰心 → キリスト教徒は皇帝に背く → キリスト教迫害
コンスタンティヌス 帝国の再統一 ソリドゥス金貨 $の由来
地球規模の寒冷化 → フン族が西に移動 → ゲルマン人の大移動 ローマ人の寛容さが失われてきた
ローマ皇帝テオドシウス対ミラノ司教アンブロシウス
東西ローマ帝国
戦争奴隷の供給が減り捨て子が奴隷に 教育を受けた奴隷のため反乱が減る 奴隷制社会が長引く 面倒なことは奴隷にやらせるので技術革新が遅れる
ポリス社会の慈愛 平等ではあるが弱者を切り捨てた上に成立する
帝政期の皇帝の慈愛 階級差に立脚し恭順を条件に保護を与える
キリスト教の慈愛 強者は無条件で弱者を保護しなければならない -
Posted by ブクログ
国家の収入が不足すれば、徴税システムが見直され、増税されるのが自然な流れです。ところが、重税が課せられるようになると、これもどこの世界でも見られることですが、富裕層があの手この手を使って税を逃れるようになり、貧しい者の負担ばかりが増え、いっこうに税収が上がらない負のスパイラルに陥ります。
(本文より)
...これは、2018年の日本についての文章ではなく、今から1500年以上前のローマ帝国についてなんです。
どっきりですね。
歴史は繰り返すというか…。
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「はじめて読む人のローマ史1200年」本村凌二さん。
この人の「馬の世界史」が面白かったので、読んでみました。「ローマ帝国の歴史」っていうのを面白おかしくざっくり読みたいな、とは以前から思っていましたので。
マンガ「テルマエロマエ」で俄かに一般化した「ローマの市民文化」ですが、紀元前からっていうのが、日本史を尺度にするともうめくるめく感覚ですね。
タイトル通りざっくり歩みを、面白おかしく平易に語ってくれてありがたく面白かった。
共和制、独裁制、民主制という人類の宿命のような苦悩の循環…とか。
(実は読み終わってからメモするまでに時間が経ちすぎて記憶があいまい…)
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ただ、実はいちばん知りたかったところについては、愕然とさせられました。
というのは、「なんでローマ帝国は、キリストを弾圧、キリスト教を迫害したのに、300年くらいしてから公認したのか?あまつさえ、帝国が丸ごとキリスト教になってしまったのか?つまり、どうやってキリスト教はヨーロッパを制覇したのか?」ということが、実はこの数年気になって気になってしょうがなかったんです。
ところがそれについては、その筋の権威である?本村さんがはっきりと、
「4世紀頃に、ローマ帝国はキリスト教を認めて、さらには国教にするのだけれども、そのあたりの”なぜ?どういう経緯で?”というのはサッパリわからない。世界史研究上の巨大な謎になっています」と明言してらっしゃる…そんなあ。
20世紀、21世紀にいたるまで、ヨーロッパ=アメリカ的白人の世界っていうのは、アジアや南米アフリカへの影響も含めてキリスト教の影響っていうのが不可欠不可分な訳ですが、そこンところが「どうしてキリスト教が天下を取ったのか」が判らないっていうのは、それはそれで物凄く魅力的なミステリー…。
そこの謎に切り込んだ本があったら、是非読みたいなあと思います。
そしてそれはそれとして、本村さんの語り口はとても読み易い。今後もいろいろ読むことになりそうです。 -
Posted by ブクログ
古代ローマの成立から周辺国家、強国カルタゴ等を征服し地中海を中心としたヨーロッパの大国となる歴史が、英雄たちを中心に面白く書いてある。ローマ2000年を支えたものが何であったかをひとことで言うのは難しいし、読んでも分からなかった。▼カエサルなど多くの素晴らしい人物も生み出した。王政、共和制、帝政、など国は形を変えて生きながらえる。しかし元老院制や帝政の一時期を除いて周辺国とは戦争が絶えず、国内において特に帝政時は皇帝の暗殺が頻繁に行われる不安定な世であることも知った。日本の江戸時代の平和とは遠い世界であることも痛感した。それでもローマが長く生き残ったのはなぜか、という疑問がやはり残る……。
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Posted by ブクログ
「馬の世界史」本村凌二さん。2001年の本。中公文庫。
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題名の通り、「馬」という断面で眺める世界史のお話です。前々から気になっていて、なんとなく読んでみました。
●どうやら、「馬」というのは、色んな似た生き物の突然変異のようで。人間と共生しやすく出来たので、繁殖して増えたそうです。従って、もしかしたら現存する全ての「馬」の先祖というのは辿って行くと、突然変異したただ1頭の「馬」に行きつくのかも知れない。ある意味、万世一系な訳ですね。(まあ、でも生き物は全部そうとも言えるのですけれど)
ちなみに、今現在「馬」というとほとんどがサラブレッドという種?な訳ですが、サラブレッドも辿って行くと、2~3頭の名馬の子孫たちだそう。
●馬は恐らく初期には「放牧業をするうえで、便利な道具」だったのではないだろうか。遺跡とかを見ていくとそのようだ。
●今のモンゴルとか中央アジアあたりの放牧系=騎馬民族が古くから巧みに馬を使って、強力な戦闘能力がありました。そして、この人たちは長い間「文字」を使わなかった。だから、今残っている歴史では、彼らはほとんど「悪=エイリアン」としてしか描かれていないけれど、それはかなり一方的な見方。
●ヨーロッパの歴史も、中国の歴史も、この騎馬民族との対立や融和が歴史の大きな流れを支配している。司馬遷の時代から「匈奴」と呼ばれた。いわゆるシルクロードや東西文化の混合というのは、彼らの活動に依拠しているし、「尊王攘夷」みたいな思想もそこから生まれている。世界史への影響力は巨大である。
●この遊牧民たちは、経済生活上、「巨大な国家というグループ」を作る必要が無かった。だからそういう仕組みがなかなかできなかった。チンギスハンなど、個人としての強力なリーダーが発生すると、イッキに想像を絶する武力集団になり、向かう所敵なしで世界を制覇してしまった。でもそのリーダーシップが無くなると、また元に戻る(笑)。
●一方で、ローマ、ギリシャなどは地中海=船舶の文化であり、馬に大きく依存しなかったようだ。
●ところが、馬=騎馬民族の影響は避けようがない。4世紀ごろの「ゲルマン人の大移動」が世界史のベースになっているけれど、これはもともとはゲルマン人の縄張りに騎馬民族、フン族が襲ってきて、まったくかなわなかったから。
●ハンガリー、という地名は「フンの国」という意味が元々あった。
などなど...それなりに「へええ」と面白かったです。
馬という武力を手に入れたものが権力を握ったり、「馬車」というものが交通や流通や情報網を作ったり。
いかにどれだけ、近世まで「馬」が大事だったか。名馬が貴重だったか。
みたいな、よもやまと薀蓄が、なかなか冷静に俯瞰的に語られています。誘われ、頭の中を騎馬民族と馬車が走り回っている間に、原始時代から20世紀までの概略が走馬灯のように、パラパラ漫画のようにスピーディーに進む、不思議な読書でした。
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本村さんという学者さんは、どうやら古代ローマ辺りが専門だそう。専門の方の本も一度読んでみたいものです。
それにしても、やっぱり馬が好きなんだろうなあ、と思っていると、末尾にご本人が「とにかく学生時代から競馬に魅せられて...」と熱い思いを吐露されていて、素敵な感じでした。
こういう、「とにかく好き!」という情熱って、私心が無いというか(笑)。チャーミングだなあ。