本村凌二のレビュー一覧
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オーディブルにて。
著者の本村さんの古代ローマ史に対する深さと、幅広い世界史への知見をベースに書かれていて、すごく面白く読めるものだった。
比較対象も、ヨーロッパ世界に限ることはなく、中国との比較であったり、古代、現代の比較であったりすることも興味を掻き立てる一因であったとおもう。
「民族移動」「共和政とは何か」などのテーマの立て方も面白かった。
目から鱗のように思えた話は、宗教に絡み、昔(といってもラスコー洞窟などの先史時代)、人々はそれぞれが神の声とでもいうべきものが聞こえていてそういったものに従って生活していたが、文字などができるにつれ、その能力も衰えていき、一部の巫女的存在のみが神の声を聞くようになっていったという話(私のかい摘み方がかなりざっくりで違っていたら申し訳ない)
実際にどうだったのかは証明が難しいが、神話や伝承などもそう理解すると腑に落ちるものもある。本書の中では、そこから一神教への歩みに論が進むのだが、日本人の私にはなかなか理解しづらい宗教についても、理解の進むことが多かった。 -
Posted by ブクログ
かつて神々の声が響いた地中海世界に新たな時代が訪れた。アッシリアは武力で領土を広げペルシアは寛容な統治で広大な帝国を築いた。
この時代、アルファベットが生まれ文字はより多くの人々に広がった。貨幣が流通し経済が活発化する中、唯一神を信じるユダヤ教や善悪二元論を説くゾロアスター教が生まれた。
インドでは思想が深まり中国では秩序を重んじる哲学が発展していた。世界はつながり文明は交わりながら進んでいった。
神々の沈黙の中人々は新たな価値観を生み出し歴史を刻んできた。かつての帝国が残した遺産は今も私たちの社会に息づいている。
歴史を明らかにすること、歴史に学ぶこと多し。
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神々のささやきに導かれ地中海世界の文明は歩みを始めた。シュメール人は都市を築きギルガメッシュの伝説を生んだ。アッカドやバビロニアの興亡もこの壮大な歴史の一部である。
ナイルの恵みに支えられたエジプトではピラミッドが時を超えてそびえ立つ。シリアやパレスチナではヘブライ人が信仰を深め、フェニキア人が交易を広げた。
それらを支えたのは自然への畏敬と「マアト」の精神だった。秩序と調和を重んじる考えが人々の生き方を形作ったのだ。
文字が生まれ都市が発展し文明は進化した。しかし神々の声が遠のいた今歴史の物語にこそ人々の知恵と信仰が刻まれている。歴史を明らかにすること、歴史に学ぶこと多し。
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地中海世界の歴史シリーズの第4巻。
このシリーズ、なぜか表紙の写真に注目している。今回は見たことのない足の写真。これは一体何なんだ?(後ほど)
この一冊でヘレニズム文明を堪能することができる。ヘレニズムを生きた英雄らの思いを想像するだけで何だかわくわくする。
読み終わるのがとても惜しいと思える一冊であった。
ヘレニズム時代とは、アレクサンドロス大王の東方遠征以降、プトレマイオス朝エジプトの滅亡までの約300年間をいう。著者はその開始期をもう少し前、マケドニアのフィリッポス2世が王位に就いた時期からとする。
いずれにせよ、この時代、ギリシア文化が地中海東岸の都市を中心とする西アジア一帯に流入し、オリエント文化と融合して形成されたもの。
この時代の歴的な意義は何か?
これに迫るのが本書の主要テーマだ。
つまり、ヘレニズム文明が、後進するローマ人の社会や文化に及ぼした影響。これが大きい。
言語。ヘレニズム化とは、ギリシア文化、制度、思想なによりもギリシア語の伝播。アレクサンドロスの東征により、ギリシア語が共通語になった。そして、アレクサンドリアには70万巻の書籍があったという。この知的財産が後のローマの社会に影響を与える。
(ここで表紙の写真に戻る。)
だから、サモトラのニケ、ミロのヴィーナスなどのエーゲ海出土の有名どころではいけないのだ。
アフガニスタンのアイ・ハヌム遺跡にあったとされるギリシア都市出土の足の断片でないといけないのだ。アレクサンドロスの東征により、アフガニスタンまでギリシア都市があったぞ、またそれは後のローマにも影響を与えたぞ。どうだ凄いだろう!というのが表紙の足のメッセージだと勝手解釈し、納得する。
さて次巻はいよいよ著者のホームであるローマだ。既に入手済。じっくり読んでいこう。 -
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講談社選書メチエ創刊30周年特別企画3巻の本書。スパルタ、プラトン、ペリクレスなど古代ギリシアに代表される哲学者、指導者の私生活、政治的影響力について触れた一冊。
以下メモ
ヘロドトス…過去の出来事を説明した始めての作家「歴史の父」かなり正確なものだった。 調査研究する→ヒステリオ→ヒストリアイ(歴史)となった。
テミストクレスVSアリステイデス
友好関係を重んじる風潮からテミストクレスの反スパルタ的姿勢はアテナイ市民の共感を得られず
テミストクレスは陶片追放の憂き目にあう。ペルシア王に救いを求める。そもそもペルシア王はテミストクレスの機略に痛めつけられての敗北だったので彼を捕まえた者に多額の賞金を出すと約束。みずから出頭したのだからとその賞金を彼に渡した。
〜アリステイデスの逸話〜
陶片追放の憂き目にあった日のこと。
無筆の男が彼とは知らずアリステイデスと書いてくれと陶片を渡したので、その理由を尋ねると「どこもかしこも正しい人という評判だったのでいやになっただけだ」という答えだった。それを聴きながら、アリステイデスは黙って自分の名前を書いたという。
私腹を肥やすには絶好の立場にありながら現在無私の態度をくずさなかった。
「貧乏人として出かけていき、ますます貧乏になって帰ってきた」
全5世紀のアテナイ社会は新教育の正論と旧教育の邪論の対立の中にあった。
庶民、富裕とで教育格差あり。
若い頃のキモン:大酒飲みでふしだら
指導者になったキモン:親分肌な申し分ない指導者として書かれている。
公共奉仕、建築活動、貧民への食事、衣服提供など。
ペリクレス:知友キモンを弾劾。
同じ名門貴族でも余裕のないペリクレスは別の形で民心を得ようとした。
民衆裁判所の裁判員に日当を支給、筆頭アルコンへの就任資格を拡大。
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Posted by ブクログ
いよいよ塩野七生先生のローマ人の物語を読んでみようと思い、その前におさらい(予習?)したくてこちらを手に取りました。物語調ではないですが一冊でローマの歴史が分かり著者の先生の見解も書いてありとても分かりやすかったです。
歴史は好きでローマも結構好きな方ですが、これまでの認知が点と点(有名な出来事や人物を切れ切れに知ってるレベル)だったので、この本でひとつの流れとして理解できました。
学校の世界史の授業は点と点でこっちの歴史やったと思ったら今度はあっちに行って…的な感じなカリキュラムで年号と地名人名を覚えて終わりがちですが、歴史は過去に学ぶものなので、こうやって流れで教わりたいものです。 -
Posted by ブクログ
本村凌二著「地中海世界の歴史」の3巻。
いよいよ舞台は古代ギリシアに。前3000年頃に始まるエーゲ文明(クレタ文明、ミュケナイ文明)、ペルシア戦争、アテネ、スパルタに代表されるポリスの時代を扱う。
古代ギリシアの時代は、資料が豊富にあり、歴史の詳細を今の時代に鮮やかに伝える。
まずは、吟遊詩人。我々は、ホメロスの『イリアス』『オデュッセイア』を文字で読むことができる。ホメロスは盲目の詩人。そもそもこの著書は音声からなる物語。この物語、口から口へと世代を重ねて伝承してきた。つまり、暗唱していたということだ。
ちょっと待って、『イリアス』『オデュッセイア』は岩波文庫でともに上下巻あり、各巻400ページ前後ある。これを全部暗唱していたというのか!現代人の感覚からすると想像を遥かに超える超人ではないか。
人間の心をゆさぶる言葉は、文字ではなく、音声にこそある。おそらくホメロスの歌声は人々の心に訴える魅力的な力があったのだろうと思う。
叶うことなどないが、ホメロスが歌う『イリアス』『オデュッセイア』を聞いてみたいと思う。