本村凌二のレビュー一覧
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古代ローマの公認殺人競技である剣闘士興行。当時の熱狂はすさまじく、各地に円形闘技場が作られ、祝祭日などは民衆がこぞって闘技場に集うような最大のイベントであり、
政治家も剣闘士興行の人気にあやかり、当選するための手段として剣闘士興行をいかに多く開催するか、いかに派手な演出を凝らした舞台を用意するかといった公約も考えて選挙に望んでいたようだ。
剣闘士を構成する立場の人達は、下層奴隷や犯罪者といった人達が多く、それゆえに自分たちとは立場の違う人達の流血試合を催事として楽しむことに罪悪感はなく、むしろ高揚感の方が勝っていたのだろう。
しかし、紀元前1世紀~紀元1世紀ぐらいの平和なローマ時代では、健闘した闘士は敗北しても生かすチャンスが与えられるなどの恩赦もあり、死者数もそれほど多くなく、あくまでも当時の倫理観のなかでの興行として生活のなかに溶け込んでいたが、時代とともに徐々に流血を求める願望が強くなり、剣闘士興行は終わりを迎える。
剣闘士興行ごとに必ず死者を出さなければならないことは、育てた剣闘士を失うことでもあり、剣闘士団体を維持していくコスト増に見合わなかったことが原因だったようだ。
剣闘士興行に対して批判的だったり、肯定的な哲学者や宗教団体もいたそうだが、倫理や人道的な問題ではなく、最後は結局予算的な都合による幕引きとなってしまったのがなんとも現実的ではある。 -
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ネタバレローマ史専門の先生が世界史を語る。
ギリシャ・ローマ中心だけど同時代を平行に見るとか、わかりやすくて面白い。昔勉強したことが今では違う解釈になってたり、知らなかった情報も入ってきました。
宗教の辺が特に興味深かった。
~宗教を抜きに歴史は語れない
かつて人々は神々の言葉にしたがって行動していた。ジュリアン・ジェインズ「二分心」の時代。
二分心は左右の脳が生み出したものらしい。すなわち、神々の声は右脳の声。
言葉が発達するにつれ、左脳が発達し、次第に神々の言葉が聞こえなくなった。
そこで人間が生きる指針として造り出したのが全知全能の唯一神なのではないか
という説が面白かった。 -
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audiobookにて。
「今を理解するために歴史が役に立つ」ということの意味を始めて理解できた。
さすが専門家の丁寧な解釈はもちろん、それを一般の教養としてのどう読み解けば良いのかを丁寧に教えてくれる良書。
学校で教わる歴史は、それぞれの時代、地域をぶつ切りにして覚えるだけの受験のための勉強。そうではなく、歴史を知り、今の問題はどの歴史と同じ流れになっているかという観点で比較することの方がずっと面白く役に立つ。
締めに今のアジアの状況、中国の立ち位置まで踏み込まれている。今現在の国家間の問題が、歴史や地政学的観点から見てどう理解したらよいのかが分かって目からうろこ!
こういう見方で世界史を教わったら、世界を見る目が変わっただろう。今からでも、学校教育が変わって欲しいと思う。地政学というのも初めて聞いた。これも学校教育で教えて欲しいものの見方だと思う。
一度聴いたくらいでは自分の中にぜんぜん定着しないから、長いけど何度も聞きたいし紙の本でも読みたい。
本村先生の「ローマ史」の方も読んでみたい。 -
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人類の経験のすべてが詰まっていると言われる古代ローマ史について。
以下、本書より。
【ローマ人の特異性】
なぜローマ人だけがあの巨大な帝国を築く事ができたのだろうか。
異邦人であるポリュビオスだけではなく、古代でも現代でも誰もが興味をそそられる問題である。
ローマ人とはどういう人々であるのか、という問いかけは避けようもない。
住民の数ではヒスパニア人より少なく、活力ならばガリア人より弱く、多才さではカルタゴ人に譲り、学芸ではギリシャ人に及ばない。
そう指摘したのはキケロ。
しかし、神々への敬虔さと慎みではいかなる人々にも引けを取らない、と述べたのもキケロ。
万物は神々の力によって支配されている。
それはどうしようもない宿命としてローマ人の意識の底に潜んでいた。
それら神々の怒りに触れない為には、ひたすら祭儀を怠らない事である。
この事はギリシャ人ポリュビオスの目にも異様に映っていたらしい。
この歴史家はこう語っている。
思えば、ローマは宗教によって他の国々に勝るのではないだろうか。
他国でなら迷信とされる事でも、ローマでは国家統合の要をなすものである。
いずれの宗教行事も壮麗に執り行われ、公人としても私人としても市民の生活をはっきりと規制している。
こうした役割において宗教を凌ぐものはない。 -
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ローマ史を概括 塩野七生氏の衰亡史へ行く前に全体像を理解することは大事
偉大なローマ史も前半から5賢帝ぐらいで終わり 以降は蓄えを食いつぶしていた
今の日本と同じようにも思えた 歴史は繰り返す
歴史を学ぶ意義 必然のプロセスがある
exローマは帝国になり、ギリシアは都市国家で終わった 知識レベルはギリシア高い
1.国家の度量
敗戦将軍を受け入れた ギリシアはダメ 日本も戦陣訓でダメ ここは大事 明治は?
リーダーの品格・矜持 スピキオは捕虜女性を婚約者へ返した 身代金は祝儀!
2.カルタゴの抹殺
巨額の賠償金は軍事放棄が経済成長を高め、前倒しで実現
カルタゴに対する潜在的恐怖心があった
3.トラヤヌス帝 パックス・ロマーナ(ローマの平和)
支配者の素晴らしさの証明=彼が選んだ後継者がどのような資質を持っているか
4.軍人皇帝時代へ 権威による統治から権力による統治へ 3世紀の危機
50年間に70人の皇帝 24人は暗殺・戦死
奴隷制の安定がイノベーションを拒んだ 労働集約の継続
奴隷供給の減少 一般自由人を小作人に 農奴制へ
インフラの劣化 インフラは富裕層が個人で提供 経済低迷により余力を喪失
→巨大なテルマエは維持不能へ
時代の変革期 -
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塩野七生「ローマ人の物語」シリーズ読破を挫折した身として、1200年のローマ史を新書本1冊でまとめてくれるのは非常にありがたい。
ローマはオオカミに育てられたロムルスによって、紀元前753年に建国される。東西に分裂し、紀元後476年に西ローマ帝国が滅亡。本書では、その期間をローマ史として取り扱い、起承転結の4期に分けて解説している。
総括すると、ローマ史は変革の歴史だ。1200年続いたというより、続かせたといえる。君主制の時代もあれば、共和政もあるし、皇帝独裁もあるし、その皇帝が金銭で売買された時代もあった。それでもローマは滅ばない。全く異なる政治形態になってもローマは続いたのだ。その理由はスッラやカエサル、アウグストゥスら英雄の活躍もあったが、継続することにこだわったローマ人の執念がローマを支えたのだ。
そして、ローマも滅亡する。しかし、滅亡につながる決定的な事件があったわけではない。金属疲労を起こし、静かにゆるやかに滅んだのだ。それもまたローマの特殊性だ。 -
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人は不条理に出会って宗教を求める。そう考えていた。だが、順序は逆なのかもしれない。人は間違った世界観の中に生まれる可能性を、自分では選べない。
親が信じる神を知り、共同体の善悪を教えられ、何を尊び、何を恐れるべきかを覚えてゆく。それが正しいかどうかを選んでから生き始める者はいない。
やがて「私たちは正しい」が「彼らは間違っている」に変わる。しかも本人には、暴走しているという自覚さえない。生まれたときから、それが世界だったからである。
ならば宗教の暴走を止めるものは、信仰を捨てることではあるまい。
自分が立っている場所もまた、絶対ではないと知ること。
「私は間違っているかもしれない」。その小さな疑いこそ、他者とともに生きるための、最初の祈りなのかもしれない。