あらすじ
独裁者が消えないのは、なぜだ?
なぜプラトンは「独裁」を理想の政治形態と考えたのか? 独裁者の台頭を防いだ古代ローマの知恵とは? 革命家ロベスピエールはなぜ独裁者と化したのか? 古代ローマ史の泰斗が2500年規模の世界史を大胆に整理し、「独裁」を切り口に語りなおす類例なき一冊。悪政に抗う知恵は歴史に学べ!
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Posted by ブクログ
「独裁」といえばヒトラーやムッソリーニなど、
第二次世界大戦の負債として悪の側面が強いイメージのある言葉だと思います。
ただ、歴史を振り返った時に、
決して悪い面だけでなく、
識者が正しく導く「独裁」については悪くないのかもしれないと考えさせられる内容でした。
「各部署たらい回しで効率よく決め事ができない、決まらない」みたいな事は現代の企業ではよくある事なので、そういう面も考えた時に良い独裁もあるのかなと思いました。
Posted by ブクログ
ロシアのウクライナ侵攻のタイミングで読んでみた。独裁について、ギリシアとローマ、そしてロシアやドイツについて説明している。私は、独裁=悪い というイメージは持っていない。政治体制のひとつであり、民衆が求める独裁もあれば、権力者が暴走した結果の独裁もある。日本だって安倍総理大臣の時代はほぼ独裁といってもよいだろう。結局、よきリーダーがよき政治をするのにつきると思う。ロシアが独裁政になる原因は歴史からも分かる。そして、独裁を含めて共和政や民主政でよりよき政治を行うには、あらゆる政治体制を経験したローマや1000年以上も共和政を維持したヴェネツィアの歴史を知るべきだと強く思った。
Posted by ブクログ
共和政、独裁政その2つを軸に論理が展開されていく。
その相反する2つの政治形態が、実は相互に絡み合っていることに、驚きを隠せない。
最終章ではデジタル独裁について、記載されていた。
このパンデミックの中で、人と人とのコミュニティが薄れていくことで、実はデジタル独裁に近づいているのか?と考えてしまった。
歴史を学び、教える立場として、社会の変化に対応し、道を示すこの歴史学を大切にしていきたい。
Posted by ブクログ
⚫︎ギリシャやローマなど、一見とっつきにくい内容なのにやたらスラスラ読めるなと思ったら、動画講義を書籍化したのか。どうりで…
⚫︎民主主義は本質的にポピュリズムというのはまさにそうだなと。
⚫︎ローマは本当によくできていると感心する。現代より政治感覚は全然優れているのではないか。
⚫︎もう現代なんて言葉は軽いわ、フェイクニュースだわで無茶苦茶だし…
⚫︎はるか昔のローマでここまで精緻に政治体制ができているなんてなあ…ロマンがあるよなあ…
Posted by ブクログ
古代ギリシャ、ローマから中世ヨーロッパ、近代までの独裁体制の歴史を追っている。カタカナの名前が多くて読みづらいジャンルだが、かなり読みやすく書かれている。要所で「繋がり」を重視して書かれているからかも。
独裁=必ずしも悪とは言えず、民衆がそれを支持したがゆえの体制が人類史で何度も繰り返されてきたことがわかる。先人達が長い歴史の中で、時に痛い目に遭いながら理想の政治体制を知恵を絞って構築してきた努力に頭が下がると同時に、同じ過ちを何度も繰り返してきてもいる。
独裁を支持する国民の心境には、「強力なリーダーシップに引っ張ってもらう」中で「考えなくて良い」楽さがあることを指摘している。デジタル技術が発達してきて人間の生活を楽にしてくれる可能性があると同時に、それをうまく使いこなす必要があると結んでいる。
Posted by ブクログ
独裁自体は決して悪いものではないというのが、目鱗だった。共和制、民主制、独裁制、結局、国家や人心が落ち着くのであれば、それが正しい。しかし、1人の人間が強い権力を持ちながら、長い期間正気を保ち続けるのは難しいのだとも思う。
Posted by ブクログ
独裁制、民主制、共和制などの政治体制に
ピックアップして世界史を断片的に解説され、
とても楽しく読める本です
それぞれの政治体制の共通点や相違点などが
はっきりと分かり、今日の各国の政治体制と
比較しながら読むとなお理解が深まると思います
特に、独裁制に興味がある人、独裁者になりたいと思っている人、「進撃の巨人」のマガト隊長が好きな人にオススメです!
Posted by ブクログ
独裁は絶対悪なのかを歴史を紐解き考察している一冊。
これまでの独裁政、民主政、共和政について詳細に解説され、それぞれの可能性を検討しています。
得手不得手や安全危険は各々にあり、独裁について感情で否定せず理性で理解することが重要に思えました。
古代ローマの期限付き権力者の独裁官のような仕組みは、非常・緊急事態ではとても有効と考えます。
負の歴史の印象が強すぎるものですが、常に平和ではない今はまさに再認識と再検討の時期ではないでしょうか。
皆でよく話し合うべき課題です。
Posted by ブクログ
民主主義の走りがアテネから、というくらいにしか知らなかったが、古代ギリシャでも政治の形が色々模索されていたのは興味深かった。
そして、民主主義とはもとからポピュリズムで問題を抱えているものなので、共和制や独裁制から学ぶべきこともあるというのが面白かった。最後はハラリの言うデジタル独裁にも言及されていたが、たしかに歴史から学んでおかないとこれからくる未知の時代に愚かな選択をしてしまいそうだと改めて感じた。
Posted by ブクログ
古代ギリシア、ローマ帝国、ナポレオンやビスマルク、ロシア、ムッソリーニとヒトラー、最後にヴェネツィア共和国を取り上げ、それぞれに見られる、「独裁政」、「共和政」、「民主政」の姿や歴史を明らかにし、今の時代にどういった政治がふさわしいのか、「デジタル独裁」の到来する時代にどんな教訓が得られるか、歴史、とりわけ古代史あるいは前近代史を学ぶことの意義について議論したもの。
全体としては、「独裁」と聞くと色々な権利が制限されたり弾圧されたり、「民主主義」に対置するものとして悪く捉えられがちであるが、
「独裁政であろうと民主政であろうと、優秀な指導者がいなくなったあとなのです。次期有力者は、必ず民衆の不満に乗っかるかたちで台頭し、ポピュリズムに走っていってしまう危険がある」(p.51)、「民主政でも独裁政でも、結局はリーダーの資質が物をいうのです。」(p.64)、ということから、著者は民主主義は「ましなポピュリズム」(同)であり、「民主政は基本的にはポピュリズム、つまり多数者である民衆による支配ですが、それがましな方向に向いていればまだいいでしょう。しかし、民衆の独善的意見や欲得に流されてしまうと、それは否定的な意味でのポピュリズム、大衆迎合主義になってしまいます。(略)もちろん、国民にも自覚と見識が求められます。フェイクニュースに振り回されたり、ラクな話や得する話に飛びついたり、聞こえのいい話になびいたりするようでは、危険なデマゴーゴスや独裁者をのさばらせることになるでしょう。」(pp.64-5)というのが一つの結論であると思った。ローマ帝国の歴史も、「悪帝が立てば政治は混乱し、辛酸を舐めることになります。それでも強さと賢さのバランス感覚を併せ持った賢帝を擁することができれば、強力に改革を推し進め、国を反映させることができる」(p.144)ということを教えてくれて、プラトンが哲人政治が理想、って説いたというのは倫理で習って、その時はあまり何も思わなかったが、こういう話なのか、ということが分かった。
以下、具体的な部分で気になったことのメモ。まず古代ギリシアというと、民主主義が徹底されて哲学者も生まれた古代にあって先進的、という浅い理解があるが、例えば有名な陶片追放なんかは「民主政の代名詞のようにもいわれ」(p.42)るが、「実際には政争の道具に使われるようになってしまいます。政敵のリーダーの名を陶片に記して陥れようとしたり、ときには独裁者となる危険があるかどうかに関わりなく、単に気に入らないという理由で陶片に名を刻んだり、周囲の人に呼びかけて追放票を集めようとする例もありました。民主政を独裁者から守る防波堤として、必ずしも正しく機能したわけではありません」(p.42)ということで、しかもその原因の一つは、現在と同じ「無記名投票」だからという問題があった、というのは知らなかった。そして著者も述べるように、これは現代のSNSやネットと同じ、ということなので、世界史の勉強の初めに出てくるギリシアの歴史からも現代人が学ばないといけないことがあるというのを感じる。その中でも前五世紀後半のアテネに現れたペリクレスという人が語った民主政の理想が、pp.48-9に紹介されていて、すごい立派だった。「(略)よし隣人が己の楽しみを求めても、これを怒ったり、あるいは実害なしとはいえ不快を催すような冷視を浴せることはない。私の生活においてわれらは互いに征肘を加えることはしない、だが事公けに関するときは、法を犯す振舞いを深く恥じおそれる。時の政治をあずかる者に従い、法を敬い、とくに、侵された者を救う掟と、万人に廉恥の心を呼びさます不文の掟とを、厚く尊ぶことを忘れない」という部分は、本当に崇高な感じで、理想論かもしれないけど、憧れる。あと、独裁=全体主義=ファシズム、というなんとなくそんな理解があったが、「実はファシズムという言葉には、もともと独裁の意味はありません。ファシズムの語源は、ラテン語の『ファスケス』。これは、古代ローマで権威の象徴とされた斧飾りをさす言葉です。そして、ローマ貴族にとって権威は、武功・武勲と直結するものでした」(p.111)ということで、あくまで民衆から尊敬され支持を得る象徴となるものだったそうだ。この本の中ではローマの共和政が割と高評価を得ている感じがして、シェイクスピアにも出てくる「元老院」とかの役割とかしれたのが良かった。後の近代の歴史の話の中でも、「民主的な社会においても、熱に浮かされたように戦争へと突入していくケースはあります。民主政を徹底すれば戦争は避けられる、というのは思い違いです。しかし、独裁政、民主政、貴族政の要素が三つ巴になって互いの暴走をチェックし、牽制する機能を備えた共和政には、『悪政・苛政』を避ける知恵が含まれています」(p.179)という話だったが、そんなローマでも、領土が拡大していき、五賢帝時代の後になると、次々に皇帝が暗殺されたりする時代になっていき、「次は誰にするかー人選に窮したのか、それとも面倒だったのか、こともあろうに帝位は競売にかけられることになりました。」(p.138)という時代もあったそうで、金で帝位が買えるとか、冗談のようなことが本当に起こっていたということを知った。あと時代は飛んで、ロシアのスターリンの独裁、とか今でこそ恐ろしい感じがするが、実はこれも後になって分かったこと、というのは意外だった。「私が小中学生の頃の日本の共産主義者は、そんなことが起こっているとは知らず、スターリンを肯定的に評価し、無邪気にソ連万歳を叫んでいました。状況が一変したのは、一九五三年にスターリンが他界してややあってからです。(略)フルシチョフは、党第一書記に就任して二〜三年たった頃からスターリン批判を始め、そこで初めてスターリンによる恐怖政治と大粛清の実態が明るみに出たのです。日本をはじめ、世界中の共産主義者が受けた衝撃は計り知れません」(p.188)というのは、そんな大きなことがその時には分かられていなかった、ということ自体も恐ろしい。「東西で異なる王権の強さ」(pp.188-90)の話は面白かったが、「ユーラシア大陸の西側では、時の権力者が積極的に民衆の前に姿を現し」(p.189)て、民衆との距離が近かったのに対して、「ユーラシア大陸の東側では多くの場合、権力者は御簾の奥に座しており、権力者の姿や立ち居振る舞いが一般大衆の目に触れる機会はほとんどありません。(略)権力者が表に出てこない存在だったからこそ、呵責な独裁を行えたという面は否定できないでしょう。ロシアはヨーロッパに近いこともあり、革命中は民衆の前に現れて鼓舞したりもしていますが、西欧諸国と違って秘密主義的なところがあり、精神的・文化的土壌としては東洋に近いものがある気がします。」(pp.189-90)ということで、ロシア独特の土壌というものがあるらしい。あとは「ムッソリーニはヒトラーの人種政策に対して極めて批判的でした。そもそも独裁政権を確立する過程でも、ムッソリーニはスターリンのように政敵や反対勢力を徹底粛清することもありませんでした。第二次世界大戦に関しても、ムッソリーニは当初、中立の立場を取り、『非交戦国』を宣言しています。」(p.203)ということで、なんかヒトラーもムッソリーニも全部独裁の悪い人、みたいなイメージしかなかったけど、やっぱりちゃんと勉強しないとダメだなと思った。最後にヴェネツィアの話はあまり知らなかったが、「議員の世襲制」を認めていた、という話で、日本では悪いこととされているが、「ローマの元老院貴族的な考えもありましたし、貴族政のほうがいいというアリストテレスの主張もありました。(略)世襲制の中で培われてきたものがあることに目を向けてもいいのではないでしょうか。」(p.219)という、確かに「現代の日本人にとってはピンとこないかもしれません。しかし、国を運営する『安定装置』として共和政をフラットに捉えなおし、学ぶべきは学ぶという姿勢が、私たちに求められています。」(p.220)ということも勉強になった。確かに「親の七光り」とか、あんまり良いイメージはないけど、それでも全体の混乱を避ける一つの手段、というのは新しい視点だった。
ということで、世界史の勉強をしながら、より良い政治、国家とは何かを考える、という本。でももしかしたら、実は政治や国というより、もっと身近なところで、自分の属している会社や組織が民主政っぽいのか独裁政っぽいのか共和政っぽいのか、そして何が問題なのかを考えるという意味で解釈しても面白いかもしれない、とか思った。(26/09/06)