教養としての「世界史」の読み方

教養としての「世界史」の読み方

ビジネス・実用
1,699円 (税込)

8pt

「混迷の現代」を読み解くカギは「歴史」の中にある。古代ローマ史研究の第一人者によるはじめての世界史講義。教養としての「世界史」の読み方とは、「歴史に学ぶ」ということ、「過去と現在との関わり合いを知る」ということ。東京大学教養学部で28年間、教鞭をとった著者が教養として世界史をどう読むかを教える1冊。文明の発祥、古代ローマとの比較史、同時代史、民族移動、宗教、共和思想……世界史を読み解く上で大切な視点を新説や持論を織り交ぜて、わかりやすく、面白く講義する。 (目次より)第1章 文明はなぜ大河の畔から発祥したのか/第2章 ローマとの比較で見えてくる世界/第3章 世界では同じことが「同時」に起こる/第4章 なぜ人は大移動するのか/第5章 宗教を抜きに歴史は語れない/第6章 共和政から日本と西洋の違いがわかる/第7章 すべての歴史は「現代史」である

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  • カテゴリ
    :
    ビジネス・実用
  • ジャンル
    :
    学術・語学 / 教育
  • 出版社
    :
    PHP研究所
  • タイトル
    :
    教養としての「世界史」の読み方
  • タイトルID
    :
    434520
  • ページ数
    :
    304ページ
  • 電子版発売日
    :
    2017年04月07日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    10MB

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    Posted by ブクログ

    13世紀に中国を支配した元は、代々の国王がチベット仏教に夢中で、チベット仏教の寺院を建てるために空になった国庫をカバーするために交鈔を乱発したことで激しいインフレーションが起きて経済が傾き、社会が混乱状態に陥ったところに、治水事業の失敗による黄河の氾濫が起きた。
    元の宮廷はそうした混乱に対して、人々に重税を貸すことで乗り切ろうとしたが、負担に耐えかねた人々の間で白蓮教徒の乱が起こり、やがて朱元璋が明を打ち建てた。

    しかし実は元で信仰されていたのはチベット仏教だけではなく、景教(ネストリウス派キリスト教)、カトリック、道教、イスラム教など、多様な信仰が容認されていた多宗教国家だった。
    とくにネストリウス派キリスト教は、元の王室内にも信者が多く、時代によってはネストリウス派キリスト教徒が優遇されるといったこともあった。
    元のラッバーン・バール・サウマ(Rabban Bar Sauma)も、元出身のネストリウス派キリスト教徒だった。


    彼は1280年頃に、弟子のマルコスを伴いエルサレムへの巡礼の旅に出て、シルクロードをたどりイルハン国へたどり着いた。しかし師弟はそこで、イルハン国とマムルーク朝が激しく敵対しており、モンゴル民族の国家であるイルハン国の方向から、モンゴル民族の国家である元出身の二人がマムルーク朝に入れば、必ずスパイだと疑われ、拷問の末に殺されることが確実だということを知る。

    二人はイルハン国にあるネストリウス派キリスト教の教会の高位聖職者と接触したが、折り悪くその頃は、ネストリウス派キリスト教総主教が死去した直後であり、次の総主教選びが難航していた。当時の総主教は、元を含めた周辺のモンゴル民族国家群と友好的な関係を結べるように、モンゴル語やテュルク語に堪能であることが求められていたが、当時のイルハン国には適切な人物がいなかったのだ。
    それを知ったサウマは、モンゴル語を含めた東方の言語に堪能で、モンゴル王室とも関係があり、非常に敬虔であった弟子のマルコスを総主教に推薦した。そういった経緯でマルコスは、若干25歳にして東方総主教マール・ヤバラーハー3世として選出され、イルハン国の君主に仕えることになる。

    そしてマール・ヤバラーハー三世の伝手でイルハン国君主と面会したサウマは、当時のハンであったアルグンの使節として、ヨーロッパのキリスト教国の国々に対して、マムルーク朝を挟み撃ちにするための軍事同盟を結ぶという使命を帯びてヨーロッパへ出発した。サウマにとってこの使命は、東方のキリスト教徒を保護し、モンゴル民族の諸国家の安定に重要なものだった。彼にとっては、個人的な巡礼の旅の目的は果たせなくなったものの、神によって意義深い使命を与えられたのである。

    そうして1280年後半にヨーロッパへ旅立ったサウマは、後のアナーニ事件(1294年)でローマ教皇ボニファティウス8世を誘拐して憤死させるフランスのフィリップ4世や、ローマ教皇ニコラウス四世など、多くのヨーロッパの君主と面会した。当時、ヨーロッパ世界では東方にプレスター・ジョンが治めるネストリウス派キリスト教国の伝説が有名だった。ヨーロッパの君主たちには、その伝説の通りにネストリウスのキリスト教徒であるサウマは、伝説の国からやってきた人物に感じられたのだ。

    しかし、当時のヨーロッパ世界は失敗に終わった度重なる十字軍で疲弊しており、その失敗に終わった十字軍によってローマ教皇の威信は低下し、ヨーロッパ諸国の君主の対立も深刻で足並みがそろわず、再び聖地を取り戻すための十字軍遠征を行える状態ではなかった。

    そのうえ、1241年にワールシュタットの戦いでポーランド・ドイツ連合軍を血祭りにあげたバトゥ・ハン率いるジョチ・ウルスと同じモンゴル民族国家への根強い不信感のため、同盟という成果を得ることはできなかった。

    しかしサウマのヨーロッパ諸国訪問は、ヨーロッパに東方の情報をもたらし、ローマ教皇ニコラウス四世によって、フランシスコ会モンテコルヴィーノが元朝へ派遣されるきっかけとなった。元を訪れたモンテコルヴィーノは、布教とともに多くの孤児を養い、崇敬と尊敬を集め、元で没した。

    ヨーロッパからイルハン国へ戻ったサウマは、弟子が総主教を務めるイルハン国にとどまり、時々故郷である元に西方の情報を伝える便りをするなどして、一生を送ったとされている。

    0
    2025年10月12日

    Posted by ブクログ

    ためになった!
    私の近年培った薄いヨーロッパに対する知識がかろうじて役に立ったおかげで、8割は理解しながら読み進めることができたと思う。(細かい固有名詞はさておき)
    印象的だったのは、「言葉の誕生で自分で考えるスキルが身につき、一神教が生まれた」のくだり。やはりこのへんは全て繋がっているのだ。

    学べば学ぶほど無知を知るなあ、人生忙しい。

    0
    2023年07月14日

    Posted by ブクログ

    本書は通史の要約的な本ではなく、著者なりの「教養を深める歴史の読み方」である。
    どちらかと言うと、通史がある程度頭に入っていてもう事実の列挙を学ぶのに飽きた人ほど、面白く感じると思う。

    例えば、個人的に読んでいて興味深かった(通史の勉強では触れられずあまり知らなかった)内容をいくつかピックアップすると
    ・「文明」と「文化」の違いは
    ・メソポタミアやエジプトでは発達しなかった民主政が、ギリシア文明で発達した背景は
    ・ローマ帝国衰退の一因にインフラの維持管理問題があった
    ・アルファベット、一神教、貨幣の誕生に共通の背景があった(かも)
    ・ゲルマン民族大移動から予測する現在のヨーロッパ難民が引き起こす(かもしれない)問題
    ・人間にとって「神」とは何か
    ・太古の人間には「神の声」が聞こえていた
    ・文明の発達とともに聞こえなくなった「神の声」の代替品とは
    ・アメンホテプ4世とモーセの繋がりは
    ・共和政と共和制の違い
    ・なぜギリシア諸ポリスは閉鎖的で、ローマだけが開放的だったのか
    ・東洋に共和政・民主政が根付かないのはなぜか

    歴史の教科書には書かれていない、歴史の「奥行き」とでも言えるようなもの。そういった知識がちりばめられているだけでなく、歴史家は、歴史を読む中でどのように想像力をめぐらし、どのように現実世界を眺めているのか。そんな一端が感じられるようで、非常に興味深い一冊であった。

    0
    2022年10月01日

    Posted by ブクログ

    もっとアカデミックな内容かと思って読み進めましたが、歴史を通じて人間の生きざまそのものに対する示唆が随所に書かれていました!

    0
    2020年11月30日

    Posted by ブクログ

    audiobookにて。

    「今を理解するために歴史が役に立つ」ということの意味を始めて理解できた。
    さすが専門家の丁寧な解釈はもちろん、それを一般の教養としてのどう読み解けば良いのかを丁寧に教えてくれる良書。

    学校で教わる歴史は、それぞれの時代、地域をぶつ切りにして覚えるだけの受験のための勉強。そうではなく、歴史を知り、今の問題はどの歴史と同じ流れになっているかという観点で比較することの方がずっと面白く役に立つ。

    締めに今のアジアの状況、中国の立ち位置まで踏み込まれている。今現在の国家間の問題が、歴史や地政学的観点から見てどう理解したらよいのかが分かって目からうろこ!

    こういう見方で世界史を教わったら、世界を見る目が変わっただろう。今からでも、学校教育が変わって欲しいと思う。地政学というのも初めて聞いた。これも学校教育で教えて欲しいものの見方だと思う。

    一度聴いたくらいでは自分の中にぜんぜん定着しないから、長いけど何度も聞きたいし紙の本でも読みたい。
    本村先生の「ローマ史」の方も読んでみたい。

    0
    2019年11月09日

    Posted by ブクログ

    読書録「教養としての世界史の読み方」4

    著者 本村凌二
    出版 PHP

    p264より引用
    “ 戦後日本の西洋経済史の大家である
    大塚久雄氏(一九〇七〜一九九六)は、「正確
    に書くのとわかりやすく書くのと、どちら
    が大切か」と聞かれたとき、「わかりやす
    く書きなさい」と、はっきり答えています。
     どれほど正確なものであったとしても、
    それが人々に読んだり聞いたりしてもらえ
    なければ何の意味もないからです。”

    目次より抜粋引用
    “「歴史に学ぶ」とは何か?
     文明はなぜ大河の畔から発祥したのか
     ローマとの比較で見えてくる世界
     世界では同じことが「同時」に起こる
     なぜ人は大移動するのか”

     古代ローマ史を専門とする大学教授であ
    る著者による、自らの専門外の領域の歴史
    にも勇気を持って言及した歴史解説書。
     歴史を学ぶ事の意義についてから、歴史
    上の問題と現在進行系の問題との類似性に
    ついてまで、定説も主観による仮説も共に
    記されています。

     上記の引用は、“人に読まれない「歴史」
    は何の意味もない”と題された項での一節。
    読まれないまま埋もれる正確な歴史書だと、
    書いた専門家が亡くなってしまうと、誰に
    も知られずにいつかこの世から消えるのか
    も知れません。
     p49の文明発祥と乾燥化の関連を読むと、
    ここ二年位の冬の干ばつに際していても、
    新しい時代への苦難として少し希望を持っ
    て頑張れそうです。
     歴史というものに対して、歴史化自身の
    生きる時代とか経験が、記述に影響を与え
    る。それ故に全ての歴史は現代史であると
    いうのが、著者が本書を通して書かれてい
    る主張のようです。
    どれ程客観的であろうとしても、自分の体
    から離れて何かを行うことが出来ない以上、
    人は主観で今を見る事しか出来ない。こん
    な感じでいいのでしょうか。
     歴史そのものよりも、歴史を学び知る事
    の大切さを説く一冊ではないかと思われま
    す。参考文献一覧が無かったのが、少し残念
    なところでしょうか。

    ーーーーー

    0
    2026年02月20日

    Posted by ブクログ

    ローマ史を専門とする著者が、現代社会の教養として世界史を読み解く。歴史とは過去を知るだけではなく、現代を生きるための普遍的な真理や世界観を身につけるための指針だ。?

    なぜ、文明は大河のほとりから起きたのか。なぜ、産業革命はアジアで起きなかったのか。なぜ、民族は移動するのか。そうした理由を追求することで、人類はより良い環境や関係を築くことができ、未来につなげることができる。

    0
    2025年10月29日

    Posted by ブクログ

    奴隷のせいでローマが衰退した、二分心、中国とEUの類似点、ローマやギリシアの欧米人の位置付けなどなど勉強になった。読んだあとでもローマよくわからん感がまだあるからまた別の本も読みたい。グローバルスタンダードの教養は古典と歴史だそうなので、古典にも触れないといかん。「ローマの歴史の中には、人類の経験のすべてが詰まっている」。人間が意識を持ち始めたのが、前3000年という話も面白い。

    0
    2024年04月06日

    Posted by ブクログ

    「教養」として現在までの歴史と国のあり方がわかりやすく、とっても面白い本でした。

    「唐=漢文化」だと思っていましたが、実際には唐王朝は漢人ではなく胡族の王朝、というような「へえ!」もいっぱい。

    疫病(ペスト)の蔓延が元の滅亡を加速させた、というところ、コロナの蔓延が世界にどんな影響を及ぼすのか怖くなってしまいました。

    「違ってあたりまえ。違うのだから、完全にわかり合えなくてあたりまえ。そうした意識をもって、わからないなりに、相手を理解しようとするのが、歴史や異文化を学ぶということなのではないでしょうか。」
    国家間だけでなく、人と人のお付き合いでも深く心に刻みたいことです。

    0
    2024年03月04日

    Posted by ブクログ

    木村先生の本はどれも分かりやすく、勉強になります。「かつて人間は神々の声が聞こえていた」という見方、これは当時の感覚で歴史を捉える、ということなのでしょうが、そう考えれば腑に落ちる点もありますよね。他方、常に「いま」のフィルターがかかって歴史を見ている、という指摘も納得。歴史の見方を教えて頂きました。先生に現在のウクライナを解説して頂きたいくらいです。

    0
    2022年04月04日

教養としての「世界史」の読み方 の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    ビジネス・実用
  • ジャンル
    :
    学術・語学 / 教育
  • 出版社
    :
    PHP研究所
  • タイトル
    :
    教養としての「世界史」の読み方
  • タイトルID
    :
    434520
  • ページ数
    :
    304ページ
  • 電子版発売日
    :
    2017年04月07日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    10MB

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