本村凌二のレビュー一覧
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講談社学術文庫
本村凌二 「 地中海世界とローマ帝国 」
ローマ帝国史の本。共和制ファシズム と ハンニバルとの戦いにより、ローマが地中海世界の覇権をとり、平和、政治不安、東西分裂、異民族侵入、一神教へ転換を経て、文明が変貌し 帝国が終焉したという流れ
皇帝を中心に多くの人物を取り上げているが、カエサルとアウグストゥスは別格なページ数の多さ。「あとがき」で取り上げた三人(マルクスアントニウス、ドミティアヌス帝、アンブロシウス)も興味深い
ローマ帝国の始まりと終わりについては、著者の特徴が出ているように思う。ローマ帝国の始まりであるカルタゴ壊滅を ローマ人の「父祖の遺風」の精神か -
Posted by ブクログ
馬にフォーカスして世界史を捉え直す本。馬の家畜化から始まり、アケメネス朝ペルシアやらフン族やら中国北部の騎馬民族やら、世界史には馬を巧みに操った人々の影響が常に存在したことを書いている。これを読むと馬を見るだけで歴史に思いを馳せることができるようになるのでおすすめ。カウボーイが乗ってる馬を見て「アメリカ大陸では紀元前1万年頃に馬が絶滅してるから、あれはヨーロッパから移住してきた人が一緒に連れてきた馬の末裔なんだな」とか。
著者は競馬好きらしく、そのせいか産業革命以後の話がかなり競馬に偏っていたのがもったいない。第一次世界大戦の頃にも軍馬が用いられていたが、そのことについては一切触れていなか -
Posted by ブクログ
ネタバレ突然ですが、人はなぜ歴史学ぶのでしょうか。
私は、歴史の流れに人間の典型を見ることができるから、だと考えます。
現代に生きる我々ですが、対人関係に悩んだり、いがみ合ったり、恋したり、諸々のことに思い悩むのは今も昔も変わりません。先が見えない未来への対処に悩んだとき、過去にも類似のことがあったと推測するのが自然だと思います。つまり、歴史の中に「模範解答」を見出そうとするのではないでしょうか。
そう考えるならば、本作で描かれるローマ帝国の歴史は、人間とは何かを学ぶ上ではうってつけの教材であると思います。「正解」「不正解」かは別として、それはもう多くの解答例を得られるはずです(大部分、微