本村凌二のレビュー一覧

  • 興亡の世界史 地中海世界とローマ帝国

    Posted by ブクログ

    「ローマ帝国の歴史には人類の経験のすべてがつまっている」(思想家丸山真男)

    どんな教科書にも載り、数々の研究書や解説書、小説、映像作品を生み出した時代。
    西洋文明の最も誇らしい“古代”
    〈興亡の世界史〉というテーマからして、王道中の王道、ローマ

    私的ではあるが時代は三つに分けられる。
    〈黎明期、イタリア半島統一からカルタゴとの戦い〉
    〈絶頂期、カエサル、オクタビアヌス〉
    〈衰退期、ローマ帝国とキリスト教〉

    千年近いローマの通史を350ページで連ねた本は、よく知られているカエサル時代はサラリと、そのかわり皇帝ネロ以降を極力漏れのないように描いている。
    戦いと陰謀に明け暮れるローマ、特に紀元

    0
    2025年11月15日
  • 教養としての「世界史」の読み方

    Posted by ブクログ

    13世紀に中国を支配した元は、代々の国王がチベット仏教に夢中で、チベット仏教の寺院を建てるために空になった国庫をカバーするために交鈔を乱発したことで激しいインフレーションが起きて経済が傾き、社会が混乱状態に陥ったところに、治水事業の失敗による黄河の氾濫が起きた。
    元の宮廷はそうした混乱に対して、人々に重税を貸すことで乗り切ろうとしたが、負担に耐えかねた人々の間で白蓮教徒の乱が起こり、やがて朱元璋が明を打ち建てた。

    しかし実は元で信仰されていたのはチベット仏教だけではなく、景教(ネストリウス派キリスト教)、カトリック、道教、イスラム教など、多様な信仰が容認されていた多宗教国家だった。
    とくにネ

    0
    2025年10月12日
  • 名作映画で読み解く世界史

    Posted by ブクログ

    SNSで名作ランキングを検索しても、ハリウッドのスペクタルばかりが上位にきて、何か納得できない。たしかに、そういう作品は娯楽としては楽しいが、違うんだな⁈
    感動を、哀愁を、記憶を、ずっと心に刻む作品が知りたい。そこで古代ローマを専門にする大学教授が書いた、この本に行き着いた。21の名作と作品当時の社会状況、歴史を教えてくれる。
    「風と共に去りぬ」「スティング」「アラビアのロレンス」「ドクトルジバコ」「ニューシネマパラダイス」「カサブランカ」大好きな作品たち。次は「薔薇の名前」「山猫」「ライフイズビューティフル」を観たい。
    「ショーシャンクの空」「ライムライト」「リバティバランスを射った男」あた

    0
    2025年10月05日
  • 教養としての「ローマ史」の読み方

    Posted by ブクログ

    素人が古代ローマ史を俯瞰したいと思ったら、塩野七生氏の『ローマ人の物語』を通読するのがいいと思っている。
    ただしそれは大著なので、ダイジェスト版として本書は大変参考になる。

    0
    2025年08月28日
  • 教養としての「ローマ史」の読み方

    Posted by ブクログ

    ローマに行くので読んだけど面白かった。
    民主主義を謳う以上は民意を汲み取るのが政治の役割だからポピュリズムという批判は当たらないと、なるほど。

    変革期にある日本の政治を考えるのにも一役買う本だと思った、また読みたい。

    0
    2025年07月28日
  • 地中海世界の歴史3 白熱する人間たちの都市 エーゲ海とギリシアの文明

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    二分心論仮説による心性史。イリアスとオデッセイアは聴く叙事詩であり、神々は英雄たちに囁く。
    ・イリアスの神々は正義も罰もないが、オデッセイアでは終幕至り正義・罰・報いの観念が生じる。

    0
    2025年07月03日
  • 地中海世界の歴史2 沈黙する神々の帝国 アッシリアとペルシア

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    二分心仮説(「神々の沈黙──意識の誕生と文明の興亡」ジェインズ)によるオリエントの帝国興亡史。アルファベットによる文字の普及と唯一神信仰が、神々の声を聴こえなくさせ意識を醸成したとする。文字から神の声が聴こえたのが、たんなる意味を読み取るものになり黙読も生じる。アルファベット、唯一神、貨幣(交換手段としての)は、単純化と普遍化。
    神々が沈黙すると古来の神話だけでは世界を理解することが困難になり、千年紀前後の「枢軸時代(ヤスパース)」を生む。

    0
    2025年05月31日
  • ビジュアルマップ大図鑑 世界史

    Posted by ブクログ

    学生時代以来歴史にたずさわっていない私にはとてもわかりやすく、一気に読み終えました。地図になっていて位置と史実が一度に把握できます。
    人類は紀元前から戦争を起こしており、その時の争いが現在に繋がっていることを知り、驚き、怖くなりました。さらに深く知りたいと思わせる本です。

    0
    2025年05月04日
  • 教養としての「ローマ史」の読み方

    Posted by ブクログ

    ◾️編年体ではなく紀伝体で書かれた本
    ◾️古代ローマ史の権威によるローマ史
    ◾️わかりやすく読みやすい
    ◾️トスカーナという地名の由来
    ◾️ギリシャは民主政、ローマは共和政。その違いは…P49
    ◾️民主政ではポピュリズムへの移行は当然
    ◾️ではポピュリズムのリスクを孕む民主政を正しく機能させるには…P53
    ◾️ヒットラーも大日本帝国も、攻撃されたから他国に侵出したわけではなく生存権の主張で侵略。
    ◾️古代ローマにもファシズムあり。先手防衛という価値観は当時は当たり前だった。
    ◾️ローマ人は国家に対する強い自負心があった。
    ◾️ローマの有名なヒト、モノ、コトはほぼ網羅されている。
    ◾️第5章英雄

    0
    2025年04月01日
  • 独裁の世界史

    Posted by ブクログ

    「独裁」といえばヒトラーやムッソリーニなど、
    第二次世界大戦の負債として悪の側面が強いイメージのある言葉だと思います。

    ただ、歴史を振り返った時に、
    決して悪い面だけでなく、
    識者が正しく導く「独裁」については悪くないのかもしれないと考えさせられる内容でした。

    「各部署たらい回しで効率よく決め事ができない、決まらない」みたいな事は現代の企業ではよくある事なので、そういう面も考えた時に良い独裁もあるのかなと思いました。

    0
    2025年03月02日
  • 東大名誉教授がおしえる やばい世界史

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    今回、これを読んで、心に残った人物はエカテリーナ大帝と言う人物です。エカテリーナ大帝を最初は知らなくて、どんな人なのか全然わからなかったけど、倒して皇帝となり、ロシアを拡大したと言う事がとてもすごかったです。でもこの本でイケメンが好きすぎて、彼氏にイケメンを探させると言うところがギャップがあってとても面白かったです。

    0
    2025年02月08日
  • 教養としての「ローマ史」の読み方

    Posted by ブクログ

    ホモサピエンスは変わらないということを認識した。
    王政→帝政→共和制という流れがあるが、どれが良いということではなく、その時の時代背景によって何が良いかは変わってくる。
    やはり国が大きすぎると統治が難しくなってくるので、それが崩壊の綻びになっていく。
    かといって、チャンスがある時に国の拡大を止めるという判断をするのも難しいと思う。
    もし、オクタウィアヌスが1000年生きていたとしてもローマ帝国は崩壊すると思う。
    何が正解かわからないが、人に慕われる、活躍させたいと思う皇帝が治めることで、五賢帝時代みたいな平和なときが訪れるのかな。

    0
    2025年01月06日
  • 地中海世界の歴史4 辺境の王朝と英雄 ヘレニズム文明

    Posted by ブクログ

    古典期の終盤には、ギリシャとアジアを繋ぐアレクサンドロスによる東征が際立つ。

    本書は人類史上最初のグローバル化という観点から、その東征が引き起こしたヘレニズム文明を、そこに生きていた人々の心性を丁寧に描いている。

    『ヘレニズムは読み書き能力できる人が増える時代、心性が変貌する時代であった』
    ここまでの説明で、伏線を回収するように腑に落ちた。

    文字を使わなかったソクラテス。
    文字を使ったプラトン。
    共同体から個人としての救済へ。
    心性の変化が神の声を探す密儀へと誘う。

    興味深いテーマばかり。世界史の観点から意味をもう一度考えることができ、良い勉強になった。

    特に、シンクレティズム(宗教

    0
    2024年12月08日
  • 教養としての「世界史」の読み方

    Posted by ブクログ

    自分はあまり歴史が詳しくないのだが、本書は楽しく読むことができた。何故文明は川の畔で発達するのか、何故人は大移動するのかなど一つ一つのテーマがとても興味深かった。単に歴史を知るだけでなく、そこからどのような教訓が得られるのか事細かに書かれている。これから歴史をどんどん学んでいこうと思った。

    0
    2024年12月02日
  • 地中海世界の歴史1 神々のささやく世界 オリエントの文明

    Posted by ブクログ

    紀元前1000年を節目として神々の声が聞こえなくなる。これに関しては言語(文字)が発達したこととの関連性が示唆されており、大変興味深い。神と人間の狭間、揺れ動きが今日の宗教を形作ったのだろうか。AIの発達も歴史を振り返って考えると面白い。
    全体を通して太古の人々のくらしや生き方を読みながら思いを巡らし、楽しく学ぶことができた。次巻も楽しみたい。

    0
    2024年11月10日
  • 教養としての「ローマ史」の読み方

    Posted by ブクログ

    著者の言うとおり本書はローマ通史ではなく、もっと高いところから全体感をもって王制ローマ、共和政ローマ、帝政ローマを俯瞰している。現代に生きるわれわれが直面する今の世界の問題の背景を理解するうえで参考になる。著者の言うように古代ローマ衰亡期の問題と現代の問題の共通点が見えてくる。歴史に学ぶことは多い。

    0
    2024年11月01日
  • 20の古典で読み解く世界史

    Posted by ブクログ

    本村凌二先生の本はどの本を読んでもとても面白い。
    1冊あたり20ページほどで世界の古典の中から20冊を厳選して紹介。
    僕にとってはこういう本は本当にありがたい。あまり書きすぎると原作を読んだときの感動が減ってしまう。これくらいが適度な情報量で、あとは自分の感性に頼り、その本を読むかどうかを決めるだけだ。
    印象に残る2冊について書きたい。
    まずは一冊目。
    この中で唯一日本人作家の島崎藤村『夜明け前』。
    この小説は有名ではあるが、残念ながら最後まで読んだ人は多くない、と紹介している。僕もそうだ。本書ではその理由を「暗さ」だとしているが、僕の場合は「長さ」が挫折の理由だ。とにかく長い。
    この小説の舞

    0
    2024年08月29日
  • 教養としての「世界史」の読み方

    Posted by ブクログ

    ▼本村凌二さんは「ローマ史の大家」として知っていて、1~2冊読んだことがありました。それらは大変にオモシロかった。先日、「名作映画で読み解く世界史」という本を書店で発見衝動買い。読みやすく興味深く大満足。近年、木村さんはこういう一般向け柔らか世界史本も手掛けてらっしゃるんだなあ、ならそれは読みたいなあ、と。何しろPHPさんですからね。というわけで探したらこれがあったので。

    ▼講演の速記本みたいな感じです。意識的に専門語やディティールを避けて分かりやすく語られています。個人的にはル・ゴフさんの「子どもたちに語るヨーロッパ史」と同等の分かりやすさと納得さで、大満足。

    ▼個人的には、「なぜ」を徹

    0
    2024年08月24日
  • 名作映画で読み解く世界史

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    鑑賞したことのある作品を中心に…
    つまり、全部は読んでないと

    作品毎の情報量が少ないのは残念ですが、作品に関する付帯情報を知ることができてよかったです

    『ニュー・シネマ・パラダイス』
    劇中に上映される作品なにか、題名だけでもわかってよかったです。

    0
    2024年07月15日
  • 教養としての「世界史」の読み方

    Posted by ブクログ

    専門書の中ではトップレベルに面白いと思う。歴史の繋がりが感じられて世界史の面白みが上手く書けている。

    0
    2024年06月26日