畠中恵のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ『まんまこと』シリーズ第5作。町名主・高橋家の跡取りである麻之助は、まだ悲しみが癒えない。一方、盟友・清十郎は、周囲からの嫁取りの圧力が、いよいよ強まり…。固定フォーマットながら、気になる展開もある。
「まったなし」。まだ若い他家の町名主に泣きつかれた結果、三家分の相談事を一手に抱えた麻之助。同時に揉め事が降ってくるのはお約束だが、そもそもの発端とは…。個人的に、彼を責める気にはなれない。一人前になってほしい。
「子犬と嫁と小火」。タイトル通りです。町名主としても、処遇に苦慮するであろうケース。現代社会にあてはめても、難儀するだろう。決着はさせたものの、苦い読後感が残る。これでよかったのか。いつまでも悩み続けるに違いない。
「運命の出会い」。このシリーズとしては珍しい、大変説明しにくい内容。そういうことなのだろうと、読みながら想像はつく。あちらのシリーズだと考えると、納得できなくはない。やや尻切れとんぼな結末に、不安が残るが…。
「親には向かぬ」。病に冒され、店を畳むことにした店主。すると、やっかいな問題が…。現代社会でも聞く話だろう。実力行使に出た相手に、どう対抗するか。本気で怒らせてはいけない男を、敵に回してしまったようだ…。
「縁、三つ」。麻之助が知らぬうちに、勝手に裁定をした輩がいた。尻拭いをする麻之助。本格っぽい解決編がある上に、裁定は思わぬ方向に転がる。顛末がとても気になるところだが、最後の最後に急展開。めでたしめでたしか?
急展開を受けて「昔から来た文」。ところが、とんとん拍子には進まない。その原因を調べると…。詳しくは書けないが、なぜこんな仕打ちを、と苦い気分にさせられた。これは一応決着なのだろうか。何だか波乱含みの結末で、すっきりしないなあ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレしゃばけシリーズ第14作は、何やら不穏なオープニングである。神様から宿題を言い渡された一太郎。曰く、来世何になりたいのか? 冗談が通じない神様だけに、一太郎の答え次第で、世の中がひっくり返るかもしれない…。
単行本のタイトルが『なりたい』で、全5編とも「○○になりたい」というタイトルで統一されている。いずれも無理筋の依頼ばかりだが、無下に断るわけにはいかないというシチュエーションである。一太郎を中心とした面々は、どうやって誤魔化…ではなく納得させるか、知恵を絞るというわけである。
新薬の材料の仕入を、村の名主に打診すると、条件として「妖になりたい」と言う。そこになぜか、勘違いが絡み…という典型的なシリーズのフォーマット。一応両方とも解決なのか? それにしても、冗談が通じない佐助…。
殺人事件の謎に迫る「人になりたい」。日限の親分が話を持ってこなければ、一太郎が首を突っ込むこともなかったろうに…。しかし、彼らが乗り出さなかったら、収拾できたかどうか…。しゃばけの世界の中で、謎は合理的に解かれる。
今度はある裁定を求められる「猫になりたい」。長崎屋に住まう妖の思惑も絡み、何の勝負なのかぐちゃぐちゃになってくる…。お前が原因かっ!と言いたくなるが、で、そういう裁定でいいの? ま、まあ、一件落着だからいいか。
他の4編とは一線を画す「親になりたい」。親になるのは大変だが、喜びもある。事情が事情だけに、やむを得ない結末なのかもしれないが、気持ちを思うとねえ…。遅かれ早かれ起きる事態なのだろうから、これでよかったのかもしれない。
最後の「りっぱになりたい」は、一太郎と同年代の死が発端だった。「本人」の頼みを無下にはできない。ところが、葬儀の場でトラブルが起きて…。悲しみの裏で交錯する意図とは。死をきっかけに丸く収まった、ある意味シリーズならではの1編。
複数の思惑が絡み合うのが、このシリーズのお約束だが、まさにお約束通りの全5編。宿題を出された一太郎の、回想という形で並んでいるが、「なりたい」という願望を描いたこれら全5編に、ヒントが隠されているのか。……。うーむ、一太郎が出した答えは、シリーズのすべての作品に当てはまるのでは。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ空を飛んでみたいなぁー「妖になりたい」
忘れられた道祖神の夢見たものー「人になりたい」
可愛い弟をずっと見守ってー「猫になりたい」
子ができないからと離縁されたけれどー「親になりたい」
身体の弱い跡取りが亡くなって霊になったー「りっぱになりたい」
以上の5本。
このシリーズ、読み始めこそ「なんでだよ」ってつっこんでばかりなんですが、1本目の途中からは世界にずっぽりはまってしまう。
冬のこたつのような、心地よい抜けられない温かさ。
今回あまり心配症の兄やたちは出番が長くなくて、若旦那が人や妖に頼られて相談事をもちこまれます。
心優しい若旦那はどんなに虚弱だったとしても立派だと思います。
いつもどおり、優しくカワイイお話たち。
ほっこり。 -
Posted by ブクログ
「しゃばけ」という人気小説を原作とした、漫画アンソロジー。
色々な漫画家が書いているのに、作品世界がブレない。
私は読んだことがないが、原作が確固たる世界を持っているのでしょう。
マンガ家達が実力者揃い。
皆この小説のことを愛しているのだろう。どの人も楽しんで書いているのが伝わってくる。
(そして、鳴家という小さい鬼たちは、どの漫画家が描いても、かわいい。)
話としては、「仁吉の思い人」(みもり)が面白かった。
人情時代劇、輪廻転生の千年ドラマ、満たされない想い満載の恋愛、と、とにかくロマンチック要素抜群で、ぐいぐい引き込まれた。
「ドリフのゆうれい」(鈴木志保)のクールな絵。素晴らしくかっこいい。
女性漫画家が多かったからなのか、女性読者のBL的な人気もあるのかなと、ふと思った。