西浦博のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
日本には政府から独立し、しかも政府に提言できる科学者集団(アメリカのCDCのような)ものがないというのはこういうことか、と暗然たる思いになった。
突然国立感染研から北海道大学の先生が呼び出され、そのつてで何とかコロナ対策班を作る。急拵えで、しかもボランティアに支えられているというお粗末さ。
この西浦先生は今はアドバイザリーボードにいるようだが、第一線でずっとやってくれている尾身先生は本当にご苦労が絶えないと思う。科学的な分析結果をどのように伝えるか、どのように判断するか、誰が決断を下すか(これは政治に決まっているが)、はっきりしていなかったことに驚きを覚える。 -
Posted by ブクログ
海外にいたこの1年間で、コロナ対策に関して日本でどのようなことが起きていたのかキャッチアップの意味も込めて読みました。
いわゆる第一波といわれる初期の混乱の中で、著者の一人である西浦教授がどのように行政に「巻き込まれ」(敢えての表現)、時の人となりつつも専門家として熱意をもって仕事をされていたのかが伺えました。
前半で述べられている、行政とメディアに挟まれるサイエンティストとしてコミュニケーションに苦心されていた問題は多角的に議論できると思います。複雑な問題をマネジメントするリーダーの立場であれば、サイエンティストとしてのバックグラウンドであってもコミュニケーションへ投下するリソースが多く -
Posted by ブクログ
新型コロナウイルスへの対応で数理モデルがどのように活用されたのかに興味があり、この本を読み始めた。
前半は、西浦さんをはじめとする多くの人たちが、どのように行動していたかが書かれており、とてもワクワクした気持ちで読むことができた。
想像以上に泥臭い現場であったかがよくわかった。
後半は、政府や政治家とのやりとりにおける現場の葛藤が書かれている。
なぜここまで政治に関する話が出てくるのか?と疑問を抱えながら読んだが、あとがきを読んでその理由がよくわかった。
それは、数理モデルの活用をする上で、いろいろなチャネルとのコミュニケーションがいかに重要かということだった。
最後に、西浦さんと自分の -
Posted by ブクログ
本書は八割おじさんこと西浦教授が新型コロナウィル騒動の前夜である2019年の12月(一年前だ!)をプロローグに本格的に騒動が始まった2月のダイアモンドプリンセス号の対応から第一波を乗り切るまでのクラスター対策班の中心人物として過ごした体験を記したものです。殺害予告まであったようなので、政治家や官僚のとの軋轢も相当なものと思われますが、そのあたりはとてもソフトな書き方をしているのがとても印象的、もう少し毒があったほうが面白かったかもです。感染症の危険があまりなかった日本では感染症疫学の研究者は少なく、とりわけ感染症の数理モデルを扱える研究者は西浦教授とその研究室しかなかったようです。大変お疲れ様
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Posted by ブクログ
コロナ禍をテーマにした、識者たちの短いインタビュー記事が集められたものだが、人間の生死について、人間どうしの関係性について、また経済について(これに関しては私自身の基礎知識がなく、よくわからなかったが…)など、コロナ禍に限らず、人間社会が抱える普遍的で本質的な事柄が多岐にわたって言及されていた。
色々なるほどと思う言葉に出会ったが、特に、世界的な傾向にある「分断」が抱える問題について、アメリカ人経済学者の言葉が腑に落ちた。彼は、それは誰か一人の責任ではなく「差異を超えて互いに話し合うことを妨げている深い分断そのもの」が問題であると語った。特定の人物に責任を転嫁させるような報道に違和感があったが -
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