松村涼哉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ天使の微笑みを持った若い俳優SINが、突然の自殺。
本当に彼は自殺したのか?
その真相を追うことになった女子高生と、ファンの男の子のお話。
ファンじゃなくて、過去を知る友達だった長谷川くんと、
親友に自殺未遂された女子高生の南鶴ちゃん。
自殺をするものの心を知りたいというのが、彼女の行動原理。
それぞれの抱えてるものが重い。
二人の心の交流と、最後にたどり着いた結末に、ホッとした。
自殺の真相が、なかなかにエグくて。
新藤さんの行動は一種の復讐だよね。
というか、そもそもの事件は、どう考えても正当防衛だよね。
それでここまで追い込まれちゃうのは、不憫。
SINくんがそれだけ純粋だったという -
Posted by ブクログ
ネタバレ俳優SINの自殺した理由が気になったのも勿論あるのだが、それ以上に引き込まれる文章で、ブーストかかったようにぐいぐい読めた。
読めたというか、読まされたというか。
妙に自分と波長の合う、魅力的な文章を書かれる方だなと。
内容は決して明るい話ではないのだけれども。
自分と作者さまの解釈が合わずに苦痛を感じる場面がなかった。
自分が感じたことは、作中のキャラたちが代弁してくれたので。
重い話ながら、読後感も爽やかだ。
ただSINの自殺した理由というか、彼を追い込んだ最終的な人物となると、解釈が分かれそう。
答えは受け取り側の数だけあって、そして本当の理由は作中でも言及はあったが自殺した本人しか結 -
Posted by ブクログ
綺麗な瞳、澄んだ声。『天使』のような俳優SINは突如、その若い命を自ら絶った。
なぜ彼は、あの日に身を投げだしたのか?
すべてを捨てたくなる絶望の淵にいたのだろうか?
SINを知る者は真相を追い求め、SINを知ろうとする者は過去を追い求める。
求めた先の真実がどんなに辛くとも、それを受け止めなければ先を進めない者たちに贈る『罪(SIN)』とは?
感想です。
松村涼哉さんの代表作『15歳のテロリスト』と似て、若者の社会での生きづらさを本作も表現しており、各章の最後に真相へ近づくワードに惹きつけられながら、最後は少しばかりの救いが見える展開が持ち味の良作だと思いました。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレミステリーとして精緻な構成が練られていて、とても面白かった。
物語は、虐待やヤングケアラー、貧困、いじめ、ネットの炎上など、重めのテーマが盛りだくさんで、社会問題として解決されないものがそのまま若者に負担となっていることが如実に表れていた。
それぞれが抱えている課題と、それぞれの優しさが複雑に関係していた。
自分の見た自分の情報が1番正しい。「私だけが知っている」情報を頼りに、誰かを糾弾することで、排除し、安心を求める。
排除型社会というこの本のもう一つの軸も、最後まで関係していた。
4人それぞれが茨の道ではあると思うけど、前を向いて、逃げる道を全選択してでも、幸せに生きていてほしい。古 -
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ネタバレ少年法が題材のお話。
十五歳の少年による突然の犯罪予告。
そのあとに起こった新宿駅爆破事件。
加害者と被害者、その家族、部外者。
それぞれの心理が複雑で残酷に渦巻いている様子が読んでいて辛かった。
まだ子どもだからという理由で、殺人を犯しても真っ当な罰が与えられないのは考えものだなと思った。
被害者遺族の立場からしたらやるせない。
加害者という肩書きがあるだけで一方的に批判されるのも間違っている。
その家族を巻き込もうとするのも。
当事者にしかわからないことのほうが多いのだから、表面上の事実を見ただけでとやかく議論や無責任な忠告をするべきではない。
悲しいかな今の世の中ではネットでそれが