あらすじ
偶然ショート動画に収めたのは、真実をほのめかす、4秒間の〈殺人〉の手がかりだった――
「オレは、ルールの下に死んでいく」――人気絶頂のなか、謎のメッセージを残し自ら命を絶った俳優SIN。
動画投稿に没頭する女子高生の詠歌は、ある出来事から、死の直前の彼の姿を偶然撮影してしまったことに気づく。不審人物が映り込む、たった4秒間の事件の手がかり――SINは誰かに殺された?
憶測で過熱する報道を傍目に、詠歌は彼の死に疑問を抱く少年翔とともに真犯人を追う。だが、意味深な遺言に仕掛けられた謎に気づいた時、驚愕の事態にのまれていく。
25万部突破『15歳のテロリスト』松村涼哉が放つ、慟哭の衝撃ミステリー。2年ぶり待望の書き下ろし長編がついに!
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Posted by ブクログ
人気俳優が自殺。本当に自殺だったのか、死の真相を追うミステリー。
真相はもちろん気になるけど、それとは別で松村先生の文章は心にすっと入ってくるから読む手が止まらなかった。
でも、自殺、闇バイト、現代の社会問題に深く関わる作品なだけに、重くやるせない気持ちでいっぱいになった。
彼らの過去は確かに許されたことでは無いけど、殺人に関しては正当防衛だし、正直主人公と同じ気持ち。
それでも彼らは正面から向き合おうとしたし、真っ当に生きようと自身に重く厳しいルールを課した。
それだけに、余計に自分で自分の首を締める結果になったのが悔しい。
正面から向き合えないのなら、応援は愚か、接触すらしなければ良かったのになと思ってしまう。
ルールの下に死んでいく。気持ちは分かる勇気がないだけで。
みんなもルールに殺されないといいな。
Posted by ブクログ
3.6というぐらいの評価。
少しずつ謎が明らかになっていき、何度もこうくるか! の嵐を味わった。
エンタメ小説の読者を飽きさせない構造を持ちつつも、物語の革新に迫っていくところがよい。
最後も一応のハッピーエンドでそこそこスッキリした。
Posted by ブクログ
松村涼哉さんの新作!
あらすじを読んだだけでは想像出来なかった展開でした。
少年が関わる事件や社会問題をテーマにすることが多いですが、今回は少年の闇バイトがテーマ。
色々と考えさせられたお話でした!
やはり、松村涼哉さんの作品はずっと読み続けたい。
Posted by ブクログ
死と向き合うことは生と向き合うことなのだと思った。
自殺者が減って欲しいと言うことは簡単だが、実際には難しい。そんな中、長谷川の生き方が綺麗事過ぎなくてよかった。
Posted by ブクログ
天使の微笑みを持った若い俳優SINが、突然の自殺。
本当に彼は自殺したのか?
その真相を追うことになった女子高生と、ファンの男の子のお話。
ファンじゃなくて、過去を知る友達だった長谷川くんと、
親友に自殺未遂された女子高生の南鶴ちゃん。
自殺をするものの心を知りたいというのが、彼女の行動原理。
それぞれの抱えてるものが重い。
二人の心の交流と、最後にたどり着いた結末に、ホッとした。
自殺の真相が、なかなかにエグくて。
新藤さんの行動は一種の復讐だよね。
というか、そもそもの事件は、どう考えても正当防衛だよね。
それでここまで追い込まれちゃうのは、不憫。
SINくんがそれだけ純粋だったということなんだろうけど、彼らの周囲にちゃんと守ってくれる大人がいなかったという事。
そして、現実にも同じような境遇の子はいるだろう。
そんな社会にしてしまった大人の一人として、非常に申し訳ないなと思ってしまった。
それは、それとして。
表紙のイラストが素敵で、久々にジャケ買い。
あまり読まないタイプのお若い方が読者層かな?っていう小説。
ウェルテル効果とパパゲーノ効果の件、勉強になった。
で、感じたのは。
やっぱりネットが主流なんだーっていうね。
マスコミとか情報発信の媒体としてテレビというものが全然重要視されてないのが、おばちゃんには新鮮でした。
本当にテレビはオールドメディアになってしまったんだね。
Posted by ブクログ
俳優SINの自殺した理由が気になったのも勿論あるのだが、それ以上に引き込まれる文章で、ブーストかかったようにぐいぐい読めた。
読めたというか、読まされたというか。
妙に自分と波長の合う、魅力的な文章を書かれる方だなと。
内容は決して明るい話ではないのだけれども。
自分と作者さまの解釈が合わずに苦痛を感じる場面がなかった。
自分が感じたことは、作中のキャラたちが代弁してくれたので。
重い話ながら、読後感も爽やかだ。
ただSINの自殺した理由というか、彼を追い込んだ最終的な人物となると、解釈が分かれそう。
答えは受け取り側の数だけあって、そして本当の理由は作中でも言及はあったが自殺した本人しか結局分かるはずもない。
残された側が勝手に解釈して、勝手に答えを導き出すだけだ。
自分に都合のいい答えを。
自分なら納得できる答えを。
自分がこれから生きていくために。
ただこれだけは言えると思う。
SINはタイトル通り『殉教者』だったのだろう。
自分に課したルールに則った殉教者。
願わくば、今を生きる自分たちが誰かのルールに、自分自身が用意したルールに殺されることがありませんよう。
Posted by ブクログ
綺麗な瞳、澄んだ声。『天使』のような俳優SINは突如、その若い命を自ら絶った。
なぜ彼は、あの日に身を投げだしたのか?
すべてを捨てたくなる絶望の淵にいたのだろうか?
SINを知る者は真相を追い求め、SINを知ろうとする者は過去を追い求める。
求めた先の真実がどんなに辛くとも、それを受け止めなければ先を進めない者たちに贈る『罪(SIN)』とは?
感想です。
松村涼哉さんの代表作『15歳のテロリスト』と似て、若者の社会での生きづらさを本作も表現しており、各章の最後に真相へ近づくワードに惹きつけられながら、最後は少しばかりの救いが見える展開が持ち味の良作だと思いました。
Posted by ブクログ
松村涼哉さんの新作ということで即購入。
キリスト教は「赦し」の宗教だ、と好きなドラマの台詞で聞いたことがあります。
「赦す」ことで自身を保っていた元被害者遺族と、「赦される」ために新たな人生を踏み出した元加害者の絶妙な関係性がなんとも言えない気持ちになりました。
個人的な感想になりますが、前作たちの方がすっと頭に入ってくる感じはありました。
Posted by ブクログ
現代社会特有の問題、闇バイトとかSNSとか最近の問題を上手く落とし込んでるなといった印象。
松村さんの書く本のメッセージ性みたいなのが好きで最新刊も買ったが、今回は人間として成長したが故の自殺ってことだと解釈した。
何でもかんでも完璧主義的に生きてしまう苦しさから自殺願望を抱える身としては、自殺の原因は人間だからという帰結はすっと腑に落ちた。
人生を終わらせるっていうのは実は1番簡単な逃げ方だから。目先の問題から逃げても新たな問題が起こるどころか、逃げたせいで問題が殊更大きくなることの方が多いと感じる。
今回は元闇バイトとか自殺とかなんかとっちらかってて焦点あてたい部分がぼやけてしまっているように感じたのが少し残念だった。自殺にフォーカスをあてるならもっとそこの概念的なものを現代的解釈に落とし込んで深堀りして欲しかった。松村さんの咀嚼の仕方が知りたかった。闇バイト経験というややこじつけっぽいノイズが入ったことで全体的に厚みが減っていたのが勿体無い気がしてならない。好きだからこそ。。