丸山俊一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
経済学者の安田洋祐と世界経済のトップランナーたちとの対談でNHKで放送されたものが元になっている。ノーベル経済学賞受賞のスティグリッツ、24歳でチェコ大統領の経済アドバイザーになったセドラチェック、ベンチャー投資家のフォードの3人が本書の主人公である。
スティグリッツは、不平等の拡大・拡散を懸念しており、政府の政策転換、具体的には「テクノロジー、インフラ、教育への投資を増やし、経済構造の転換を促し、不平等の是正に取り組む」ことが大切だと断じる。セドラチェックは、経済学と他の分野の英知を統合することが大切だと説く。そして、現在の経済学は成長に取り憑かれていると警告する。成長は大切だが最優先事項 -
Posted by ブクログ
最先端の意見は必ずしも一致しないが、おぼろげな方向性を指し示しているか。
◯余った資産を活用するための政策転換
→地球温暖化対策、インフラ、きょういく、テクノロジーなどに対する膨大な投資ニーズと過剰貯蓄過剰貯蓄
◯投資の調整機能は金利ではなく需要の拡大
◯イノベーションは本当に社会に貢献しているのか
→既存市場の奪い合い、既存法の目をかいくぐった短期的優位の可能性は?
◯経済の好況不況は躁鬱病
→ともに危険
◯成長資本主義ではなく、資本主義
◯利子はお酒
→節度を超えると二日酔い、ツケはいつか支払う
◯供給側を減らせばいい
◯オンデマンド需要の拡大
◯羨望、嫉妬、貪欲
◯「ほしいもの -
Posted by ブクログ
ネタバレセドラチェックの理論には結構?マークもあるものの、経済学者のスティグリッツとベンチャーキャピタリストのスタンフォード氏の視点にとても興味を持ちました。スティグリッツの場合、需要があるのは富裕層ではなく、中間層や貧困層の消費にあるので、中間層や貧困層にお金が行き渡るようにしないと「金」という経済の血流は滞り、経済は廻らなくなるというのは全く同感だ。倫理的に貧困層を救うとか、格差を是正すべきだとかそういうことではなくて、需要を喚起し、経済を活性化するための手法として、富裕層から中間層・貧困層に金を投入すべきということです。一方でスタンフォード氏は、未来の姿を我々に提示してくれている点で実に新鮮。い
-
Posted by ブクログ
丸山俊一『すべての仕事は「肯定」から始まる』大和書房
「ニッポンのジレンマ」や「ニッポン戦後サブカルチャー史」を生み出したNHKプロデューサー丸山氏の仕事の流儀を記した著書。
タイトルは、巷に溢れるどれも似たり寄ったりのビジネス書あるいはハウツー本の類のような臭気を発するが、中身はとっても面倒くさくて素敵。笑
先日、八重洲ブックセンターで催されたトークライブで、古市さんと話す丸山さんの内容やその考え方に親近感を覚え、まだ読んでもいない本にサインまで頂いた挙句、「入社3年目?なんか、今日の話や本の内容が悪い事教えてないかなぁ笑」なんて言われました。
ともすれば飄々としたおじさんの呑気な美 -
Posted by ブクログ
章立ては多いものの、一つ一つがしっかりとしているため読みやすい。また、筆者は自分の軸をしっかりと持った人物だが、うんと変な一割であることが本書を読み進めていくうちに分かってくる。
NHKの教養番組のそのほとんどが、この一人によって作り出されたと言っても過言ではない。それでいて、謙虚な姿勢を持ち、常に自分が楽しめる発想、ワクワクする方向へ向かっている筆者の人となりが、本書からは溢れ出している。
目の前にある人もモノも事も、すべては自分の見方、考え方次第である。そう考えたら、必然的に心のベクトルは面白い方、楽しい方に向くだろうし、仕事ももちろん、自分の人生さえも肯定的に捉えられるのではなかろう -
-
-
Posted by ブクログ
『最も危険なアメリカ映画』と違って、ディズニーなどアニメーション映画は登場しない。
自分の記憶が正しい限りオール実写映画で、各年代で話題になった作品を歴史と共に紹介。間に専門家のコメントも挟んでいるので、よりその映画について知見を深めることができる…と言ったところか。
話題になったもの、または、その時代を反映する作品であれば『タイタニック』や『アルマゲドン』『アバター』等も入ると思っていたが、本書では見受けられず。何を基準に作品を選んだのかは、未だに不明である。
初耳のタイトルも多かったけど、あらすじや解説がザッと分かりやすくまとめられていたので、観たい分がちょこちょこ輩出された。
『裏窓』 -
-
-
Posted by ブクログ
マルクス・ガブリエルは好きなのだが、今のところ読書の相性が良くない。『なぜ世界は存在しないのか』は難し過ぎたし、逆に複数のインタビュー内容が掲載されるようなオムニバス本は浅過ぎる。バリバリの哲学者ゆえ、論文調なら読み難いが、インタビュアーがいると途端に思考の深みが削ぎ落とされて、薄味になるのだ。更にオムニバスだとページ数も少なくなる。本書は、インタビュー形式だが、ガブリエル一人を取り扱う本であり、これならいけるか、と読書を開始。
結果、私にとっては、オムニバス寄り。何だろうな、哲学的思索に触れるならばインタビューでは辿り着けない、聞き手側の経験による出口側の限界というのがあるかも知れない。大 -
Posted by ブクログ
本書の中でのセドラチェクの言葉に考えさせられた。欲望の資本主義というタイトルに対し、欲望を満足するための労働における哲学のような話だ。
一つは、「必要もないものを買うために、したくもない仕事をする」これはエデンの園の呪いだ。アダムとイブの物語は、禁断の果実を食べたと言う「消費における呪い」を生んだのだという。禁断の果実が「不必要な消費」なのかは分からない。こじつけという気もするが、そこに顕示的消費を当てはめるならば、キリスト教の物語をそのように利用したこと自体が興味深い、と思った。禁断の果実を食した事は、罪とされているのだから、つまり、セドラチェクは、過剰な消費を罪と位置付けているという事に -