【感想・ネタバレ】欲望の資本主義―ルールが変わる時のレビュー

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Posted by ブクログ

現代資本主義の問題について、欲望という点から考察している本著。こういう企画をできるのはNHKならではと思う。


本著は三人のインタビューが載っているが、何よりセドラチェクの主張に感嘆する。

現代のGDP至上主義に対して、借金をして得た成長に意味がないと語る部分にすごく納得した。
たしかに、100万円借金しても金持ちになったとは言わないよね。。。


当たり前と思われている事に対して誰にでも理解し易く、かつ説得力のある説明ができる彼に一発で惚れ込んでしまった…

善と悪の経済学、絶対買おう。笑


彼のインタビューだけでも買う価値あります!


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2020年09月02日

Posted by ブクログ

スティグリッツさんの理論には、共感できたね。セドラチェクさんの理論も面白い。
もう、成長ばかりを追求するのは馬鹿げていると思いますね。
この2人の著書も読んでみよう!!

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2020年05月20日

Posted by ブクログ

ナビゲーターの安田洋祐さんとジョセフ・E・スティグリッツさん、トーマス・セドラチェクさん、スコット:スタンフォードさんの3名と経済について対談された本です。印象深かったのはトーマス・セドラチェクさんが旧共産主義国のチェコ=スロヴァキア出身でベルリンの壁崩壊後、若干24歳で大統領経済顧問に就任し、チェコの経済の舵取りを任されたというバックグランドを持っている事でした。対談ではケインズの”美人投票”の話や、聖書の話等、話す事全て大変興味深かったです。「資本主義は、成長が前提ではない」というセドラチェクさんの言葉は色々と考えさせられました。

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2020年05月14日

Posted by ブクログ

・人の欲望は無くならないのか
・人の欲望が今の社会システム(資本主義)をどう変えて行くのか
が主題の、知識人との対談。

人の生活がどうある「べき」なのか、については考え方それぞれあるが、技術特異点に達して人間の労働の価値が大きく揺らぐ事
その時、上手くやらないと致命的な不平等が生まれる事については意見が一致している模様。(それすら、「別に構わない」って人もいるけど)

個人的には、こんなに社会が発展しているのに、さらに良くするために同じ時間の労働を強制されるのはおかしくて
労働が個人の自由意思に任される社会が来てほしいと強く思っている。

声でスピーカーが動いてくれたら楽だし、
海外のスニーカーがすぐ届いたら嬉しいだろうけど、
そのために血眼になって競争して開発してくれなくて良いと思う。

とはいえ、技術がエイズや運転ミスによる事故を無くすのだろうし
何が欲望で何が使命なのか、分かりづらい時代が続くのでしょうね。

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2020年04月19日

Posted by ブクログ

「人間の業=欲望をキーワードに、複雑な経済システムの本質を解剖し、経済の在り方を考える」との触れ込みだったが、丁度自らが欲望に就いて勉強していたいと思っていたつながりでぴったりの本であった。本書は以下のような問い・コメントへの一つの答え・説明を提供してくれる。

・経済は成長し続けるべきか?(P25
・イノベーションは幸せをもたらすか?(P53)
・トリクルダウンは、非効率(P106)
・人間の”原罪”は過剰消費(P123)

3人の登場人物の内、スコット・スタンフォード氏の異色さが際立ったが、実業を代表するという観点から選ばれたと思うが、少々人選が思想的に極端化と思った(それはそれで面白くはあるが)。

最も興味深く読んだ点は、トーマス・セドラチェク氏の「過去の経済モデルを考察し、さまざまな分野を結びつける」という試みであり、今後是非行ってみたいと思っていた点と合致した。次はセドラチェク氏の本を手に取りたい。また、彼自身のミニマリスト振りにも感銘を受けた。

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2019年09月30日

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スティグリッツとセドラチェックすき!ってなりました。
成長資本主義に懐疑的になる必要は間違いなくあると思った。

下記、印象に残ったポイント

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2019年01月27日

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セドラチェックの考えは面白かった。
借金をして成長することの意味?
経済の躁鬱、強いことは怖い、神話歴史と経済

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2017年06月13日

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スティグリッツもセドラチェックもGDPを指標とすることに疑問を投げかけているのが面白い。そもそも成長を前提としない経済のあり方が本当に必要なだと思う。
無理やり成長を追っているところに無理が生じているという主張にいたく共感した。
十分豊かな先進国では生活に必要な富は一部の生産活動で賄われており、その再配分がされればいいはず。
ベーシックインカムの話は出て来ていないが、より一層経済のあり方としてのポテンシャルを感じた。

◯スティグリッツ
・GDPは成長を図る指標として適さない、環境や資源といった外部要因を考慮できてない。
・最低限の生活レベルを享受できてない人のために経済成長は必要だし、国の仕組みが変われば達成はかのう。
・アダムスミスは間違っていた、市場は独力では効率的に社会を良い方向に導けない。経済活動において利益を追求するセクターは一部でしかない。
・市場経済の基本設計が間違っている。0.1%が富を吸い上げている。

◯セドラチェック
・サブプライムローンに皆が投資したのはケインズの"美人コンテスト"と同じ。
・成長は良いことだという思い込みが問題、資本主義の本質的な意義は自由。
・今の状態は食欲がないのに効率よく料理を更に作ろうとしている。料理をやめて休むべきでは?豊かな国で過労死が起きる悲劇
・ゼロ金利、財政赤字という状態でGDP成長率は意味がない。
・金利は倒産リスクを考慮して設定されているにも関わらず、実際に倒産するとシステム全体が崩壊する。
・何が仕事で何が娯楽かはランダム、時代によっても人々の心理によっても変わる。無償のが優勝より質の良い仕事をする場合が多いという結果もある。
・成長しなくてもやっていける経済が望ましい。収支を合わせることが必要。

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2018年10月07日

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スティグリッツのイノベーションへの主張が印象的だった。
"イノベーションにより生産性は上昇しない"
シリコンバレーの企業の成長や利益の源泉は広告によるものが多い つまり、利益が他企業から移行しているだけで生産性向上にはつながっていないのでは?
新しいテクノロジーの成功例の一部は短期的に法をかいくぐっているものも多い ウーバーやエアビーなど

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2024年02月28日

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本当の問題はマイナス金利ではなく、中小企業が資金を調達できないことにある。

日本経済低迷の要因は、人口減少

高齢化が進む日本は、医療機器の分野で世界をリードできるかもしれない

豊作の年は、収穫したものを全て消費するのではなく、貯めておくことです

民主資本主義の本質的な意義は、「自由」にある

日本の資本主義は終着点に到達している。もう全て手に入れた。誰も欲しがらないものを作っても意味がないから、そんなに働かなくてもいい。一度きりの人生なのに、誰も欲しがらない物を作るラットレースを走り続けるのは馬鹿げたことです

経済ではなく、他の分野で成長すれば良いのです。芸術、友情、精神面など

本来、仕事は人生に意味を与えるものです

欲望は充たされない、欲望が望むのは増殖である。

消費者もハッピーになり、企業も稼ぐことができる。それがテクノロジーの利点です。

投資銀行は助言、銀行は貸付、ベンチャーキャピタルは投資です

シリコンバレーにいる人達は、
イノベーションをスローダウンさせそうな政府の規制に対しては、力を結集させます

もっと面白いのは、シリコンバレーにいる人達は、できることはすぐやるという精神に溢れていることです

自分のためだけに仕事をしている人なんてほとんどいないと思います。それに気づくのが大事だと思います。

変化のスピードを緩めることはできませんし、緩めるべきでもない。認めて受け入れて、その上で行動しなければなりません

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2021年09月25日

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成長を前提とした経済政策がいかにあぶないのか、繰り返し語られている。借金をして、GDPを一時的に膨らましたところで、成長が無ければ、利子負担だけが重くなり、行き詰まるのは目に見えている。個人の生き方でも、増殖する欲望に合わせて、働きづめとなれば、心や身体を壊し、持続可能性は低まる。収入に合わせて楽しみを調整する生き方は、なんのかんのと一番理にかなうのかも。そんないろんな事を考えさせてくれる本だった。

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2021年06月01日

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「資本主義」を考える月間2冊目。NHKスペシャル「欲望の資本主義」のインタビューを書籍化したもので、世界の知性と呼ばれる人たちの主張がじっくり読める。第1巻では、ノーベル経済学賞受賞のスティグリッツ、チェコのエコノミストであるセドラチェク、Uberを見出した投資家であるスタンフォードの3氏。スティグリッツは「総貯蓄が市場最高になってるのに、長期的投資が行われない。必要なのは温暖化対策など、結果に時間がかかる長期的な投資であり、それがあたらしい需要を産む」と説く。セドラチェクは「需要をお増やすのではなく、供給をコントロールすべき。成長に取り憑かれるのは誤りだ。金利3%で借金をして1%しか成長しない政策はおかしいと気づくべき」。スタンフォードは「投資家として、テクノロジーは社会を底上げすると信じている」と無邪気に語る。このシリーズ、大事なこと(切り口や方向性は多様)をとてもよくまとめてくれていてとても勉強になる。

ハッとさせられた一文。天動説の時代に、ロジカルに説明できないことがあっても、それは例外だとして無理矢理誤差の範囲に収め、改善と称してつぎはぎで対応してきた。古びた理論を手放せないあまり、世代交代・新時代に移行できなくなる罠。

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2021年02月08日

Posted by ブクログ

私が何となく学んできた経済の知識・常識を疑って見続けている人たちの話。
本書は、3名の著名な方々にインタビューしたもの。もとはNHKのドキュメンタリーがきっかけで作られた本とのこと。
NHKの番組は未見だが、ぜひ見てみたい。

ノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・E・スティグリッツさん
24歳の時にチェコ初代大統領の経済アドバイザーを担ったトーマス・セドラチェクさん
元ゴールドマン・サックス社員でベンチャー投資企業を設立したスコット・スタンフォードさん

それぞれの人の経済を見つめる視点の違いが興味深い。
セドラチェクさんの借金の解説やスタンフォードさんが紹介している使い捨てキットを使った病理検査の話等、何かしら新しい発見や新しい視点に出会うことができた。シリーズで同名の書籍が3巻まで発売されている。
書店で見かけたら、手に取ってみたい。

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2019年09月03日

Posted by ブクログ

ETVでやってた欲望の資本主義、結構面白かった(中だるみしたけどな)ので書籍が出ていると知って購入。なかなか面白かった。

だが、小林喜光、おまえはダメだ!
なにが「日本の若者も車やモノに興味を持たなくなっています」だよ。十分なお金と時間を提供できないだけじゃないのさ。

スティグリッツ氏の主張には耳を傾ける価値があった。法規の抜け穴でしかない<Uber

セドラチェク氏の主張は面白いモノの、耳をかしげることが多い。やはり、社会主義がどうしてうまくいかなかったのかが本質的に理解できていない/納得できていないのでは無いか?「欲望」の存在をシステム無いに取り入れることができないのが、机上の空論になった主たる原因なのでは?
その主張のおかしさは、最後の対談でより鮮明になっている。「政府が借金をするのでは無く、無借金の政府が逆にお金を貸すべき」とか入れて、どんな顔をすればいいのやら。
借金は未来からお金を取り寄せることだと見抜いている知性、どこに行った!

スタンフォード氏、耳を傾けたくなるのだが、やはりUberみたいな「シェアリングエコノミー」は、単なる法規制がかかるまでの間に稼いで逃げるビジネスモデルなのでは?

そして、「利子」が古くから多くの宗教で禁じられてきたというのは、それだけ利子を取ることが一般的だった証なのでは?
(誰も行っていないことを重ねて禁止することはあり得ない)

鵜呑みにするモノでは無く、刺激を受けて、自分で考えるヒントには良いのでは?

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2018年10月14日

Posted by ブクログ

アルコールはお金に似ている。
翌日の体力をタイムワープさせる。

■スティグリッツ
・不平等の是正のためには政府の介入を。

・目先の利益ではなく、長期的な投資ニーズと貯蓄に目を向ける。

・市場の論理とは、お金さえあれば誰でもプレーヤーになれる平等性。
そこに共同体の論理が入ることの是非もある。

■セドラチェク
・経済は、うつ病ではなく躁うつ病。

・ケインズの美人投票。
相手が投票しそうな美人を選ぼうと探り合うさまに、投資の世界は似ている。確固たる基準がない。
→ルネ・ジラールの「欲望の三角形」
欲望とは、主体的なものではなく、他者の模倣。相手が欲しいものを自分も欲する。

・経済成長は、必ずしも大事ではない。
本質は、自由である。

・原罪の解釈。イヴは需要、アダムは供給の呪い。

・クレイトン・クリステンセン。イノベーションとは、「一見関係なさそうな事柄を結びつける思考」

・悪は、世界を面白くするためにある。



■スタンフォード
・イーロン・マスクの最大の武器は、「想像力」。

・生命の歴史とは、DNAがプラットフォームからプラットフォームに移動していること。

・神なき時代、テクノロジーこそが宗教。



すべての経済学者は、「妄想家」である。
時代の無意識である社会の潜在的な欲望を解き明かそうとした。

・欲望と欲求は違う。
 欲望の中でも原罪は「羨望」が強まっている。
 承認欲求、他者が持っていて自分が持っていないことへの怒り。自爆テロ。

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2018年09月09日

Posted by ブクログ

スティグリッツは、「不平等の是正」。
チェコの経済学者、セドラチェクの話は示唆に富んでいる。ここだけも、この本の価値はある。

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2018年06月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

番組は10回くらいのシリーズだったのか?本が面白かったので番組も見たかった、それこそ"オンデマンド"で見られないものか。

本書はスティグリッツ氏、セドラチェク氏、スタンフォード氏3名の回(+おまけ?でセドラチェク氏と小林氏の会談有)に絞ってまとめられている。
経済学者2名vs資本家1名というか、前の2人の資本主義は成長にこだわるべきではなく、神の見えざる手なんか存在せず、国は適切に市場を制御すべきという概ね一致した意見を読んだ後、技術革新とそれに伴う成長はいやでも起こり続けるもの、従前の資本主義が機能しないなら新たなモデルCがこの世を席巻するまでよ、というイケイケな意見の洗礼を受ける構図かと。

「成長すべきという思い込み自体間違っていたのだな」と納得しかけた後でスタンフォード氏の「資本主義は先進国における生活水準の全体的な底上げには成功した」という話に揺り戻され。結局今の経済は変化しているのか停滞しているのか?現状のこの停滞感は現実か幻か。

ただ経済学者2名の話から、生活水準の底上げの恩恵に預かりきれていない国があることと、先進国が浅慮で無理に成長しようとすると他の地域の経済を大いに歪ませ得るらしいことはうっすら理解できた。そしてこれらを改善することのほうがツチノコ探しみたいな停滞感の正体探しより余程急務で重要で効果もはっきりしていることのように感じた。自分がこれにどう協力できるかは、難しいけれど常に考え続けていきたい。

セドラチェク氏はかなりの知の怪物のようで、著書の「善と悪の経済学」も是非チェックしたく。

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2017年10月13日

Posted by ブクログ

この本はNHKテレビで放送されたものの書籍化らしいですが、見ていなかったので読んで見ました。読んだ後にテレビで観たかったなぁと思ったのは、Tesla P85Dが『IN-SANE MODE』で走る姿くらいで、後はむしろ書籍でじっくり『欲望』の加速感を味わうことができたのではないかと思っている。

安田洋祐氏(経済学者)が現在の経済の歩んでいる方向をインタビューを通じて、読者(視聴者)に伝えていく手法で進んでいく。最初にノーベル賞学者スティグリッツ、そして異端の奇才エコノミスト・セドラチェクと続いていくのだけれど、
私はセドラチェクが引用した古代ギリシャの話がこの番組を見事にイメージさせてくれたと思っている。
(以下)
〜〜ストア派《ヘレニズム哲学の学派。始祖はゼノン。徳を重んじ、欲望を抑制し人格の完成と心の平穏を追求した》とエピクロス派《欲しい物がこんなにあるのに、これしか持っていないと、需要に対して供給が足りないと主張します。》が論争する中で、ストア派が『供給に合わせて需要を減らせば幸せになる』
という場面が、後にインタビューするスコット・スタンフォード(シリコンバレーの投資家)をエピクロス派に、そしてセドラチェク自身をストア派として例えてイメージした構成したのではないかと感じたのだ。〜〜


というのは、セドラチェクの見つめている視点は訪れるかどうかわからない、“希求する人類の幸福”という未来からのものであるのに対して、スタンフォードの視点は、人間の“欲望”を見事に捉える感性を身につけた、時代を疾走するハンターの見る未来にある。
この対照性をテレビを観た人、本を読んだ人はどの様に捉えただろうか?

スタンフォードとのインタビューのあとで安田氏は『「禁断の果実」の味を知ってしまった人類はこれからも「進歩」の海を進み続けるのだろう。未来は空恐ろしくもあるが、やっぱりこの目で見てみたい。それが僕の欲望だ。』と語っているが、このような時代の流れのなかからの感想めいたインタビューで幕を閉じるわけにはいかない。
【セドラチェクと小林喜光との対談】は「現代の経済は安定を犠牲にすることで成長するシステム」と引き継いだあとに、
丸山俊一(NHKエンタープライズエグゼクティブ・プロデューサー)は、ルネ・ジラールの「欲望の三角形」(人の欲望というものは主体的なものではなく、往々にして他者の模倣であり、人が欲しいものを欲してしまうものだ。)という説、
メラニー・クラインの『人間は本能が壊れた生物』(本能の欠落を擬似的に埋めるのが文化というわけだが、その文化も規範を徐々に失い、記号が氾濫する中、いよいよ自分で自分がわからなくなった哀れな、アダムとイブの物語は流転し続く。)という説を紹介し最後に、

クラインの「羨望」の根源的・破壊的な性格である本質は「良いものほど壊そうとする」こと。人間が最も深いところに抱え込んでいるのが「羨望」という「欲望」の奥に潜む、恐ろしくなる洞察を紹介している。

でも、私にも微かにそういった幻影が見え始めてきている。
……この本で少し目が霞んでしまったのだろうか?

次は『知性の転覆』(橋本 治)を読んでみる。

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2017年08月15日

Posted by ブクログ

経済学者の安田洋祐と世界経済のトップランナーたちとの対談でNHKで放送されたものが元になっている。ノーベル経済学賞受賞のスティグリッツ、24歳でチェコ大統領の経済アドバイザーになったセドラチェック、ベンチャー投資家のフォードの3人が本書の主人公である。

スティグリッツは、不平等の拡大・拡散を懸念しており、政府の政策転換、具体的には「テクノロジー、インフラ、教育への投資を増やし、経済構造の転換を促し、不平等の是正に取り組む」ことが大切だと断じる。セドラチェックは、経済学と他の分野の英知を統合することが大切だと説く。そして、現在の経済学は成長に取り憑かれていると警告する。成長は大切だが最優先事項ではないという言葉は今後の社会を考える上で大切だろう。フォードはイノベーションの大切さを語っている。「ぼくたちが考えるのは、大きな市場を獲得し、大きな収益を生み出し、客をハッピーにすることだけなんです」という言葉は楽観的とも受け取れるし、短絡的だとも感じられる。いずれにせよ、これからの社会を考える上でこれら3人の考えは間違いなく参考になる。

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2017年05月11日

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最先端の意見は必ずしも一致しないが、おぼろげな方向性を指し示しているか。

◯余った資産を活用するための政策転換
→地球温暖化対策、インフラ、きょういく、テクノロジーなどに対する膨大な投資ニーズと過剰貯蓄過剰貯蓄
◯投資の調整機能は金利ではなく需要の拡大
◯イノベーションは本当に社会に貢献しているの
→既存市場の奪い合い、既存法の目をかいくぐった短期的優位の可能性は?

◯経済の好況不況は躁鬱病
→ともに危険
◯成長資本主義ではなく、資本主義
◯利子はお酒
→節度を超えると二日酔い、ツケはいつか支払う
◯供給側を減らせばいい

◯オンデマンド需要の拡大

◯羨望、嫉妬、貪欲

◯「ほしいものが、ほしいわ」の捉え方

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2017年04月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

セドラチェックの理論には結構?マークもあるものの、経済学者のスティグリッツとベンチャーキャピタリストのスタンフォード氏の視点にとても興味を持ちました。スティグリッツの場合、需要があるのは富裕層ではなく、中間層や貧困層の消費にあるので、中間層や貧困層にお金が行き渡るようにしないと「金」という経済の血流は滞り、経済は廻らなくなるというのは全く同感だ。倫理的に貧困層を救うとか、格差を是正すべきだとかそういうことではなくて、需要を喚起し、経済を活性化するための手法として、富裕層から中間層・貧困層に金を投入すべきということです。一方でスタンフォード氏は、未来の姿を我々に提示してくれている点で実に新鮮。いつかどこかに地点で全てがテクノロジーに取って代わられたら一体どんあ社会が生まれるのだろう。想像力をかき立てられる彼の説は実に興味深い。

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2017年04月09日

Posted by ブクログ

昔観た番組が面白かったので。経済学のコペルニクス的転回があるかというコンセプトも大いに共感できるし、そう言えばマクロ経済学って面白かったよなぁと思い出させてくれた。
スタンフォードはあまりにも立場というか物事の見方が違い過ぎて、論点がかみ合っていない印象。

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2022年01月08日

Posted by ブクログ

この番組が好きで他のシリーズも見ている。映像では聞き流している部分が多いので、書籍を見つけて嬉しくなった。

全く方向性の異なる3人の有識者(スティグリッツとセドラチェクは成長資本主義に懐疑的で概ね似た意見)のそれぞれの言い分が面白い。立場や興味の対象が全く違うので当然といえば当然だが、テクノロジーの変化によって社会のあり方を変化させなければならないという落とし所が同じだったのはちょっとした希望だったように思える。

経済に関する本を読むと必然的に哲学や政治や思想、芸術、日常生活全てに派生していくのが面白い。人間として社会で生活していく上で絶対に切り離すことができないからこそ、魅力的なんだと思う。

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2020年12月30日

Posted by ブクログ

NHK番組の書籍化
スティグリッツ、セドラチェク、スタンフォード3人へのインタビュー
番組見れば良かった。

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2019年03月05日

Posted by ブクログ

 現在の資本主義国では、マイナス金利、デフレなど長期停滞などの問題とともに貧富の差が拡大し、経済理論あるいは経済学者は適切な解を見つけられないでいる。
 そんな状況のなかで、日本の若手経済学者をナビゲーターなる解説者を用意して、NHKのプロデューサーが各国の経済学者を語り合ったTV番組を書籍にしたものである。
 TVと違って画面や動画がないこともあり、ゆっくり楽しめるが、どこか中身が薄まったような感もあり、内容がいまいち理解できなかったせいか、この現在の状況を切り開くような感心する論説はなかったように思う。

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2017年08月01日

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