あらすじ
この星は欲望でつながっている。
やめられない、止まらない、欲望が欲望を生む世界。
わたしたちはいつからこんな社会を生きているんだろう?
放送時にSNSで大反響のNHK教養エンタメ番組『欲望の資本主義』、待望の書籍化!
未放送インタビューも多数収録した拡大版。
経済のルールはいつどのように変わってきたのか?
利子という「禁断の果実」は何をもたらしたのか?
お金に代わる新しい“通貨”とは?
「アダム・スミスは間違っていた」、「ケインズは誤解されている」……。
ノーベル賞学者スティグリッツ、異端の奇才エコノミスト・セドラチェク、シリコンバレーの投資家スタンフォードら、世界の知性との対話を通して、人間の業=欲望をキーワードに資本主義の本質と新しい経済を問い直す異色ドキュメント。
ナビゲーターは気鋭の若手経済学者・安田洋祐准教授。
特別対談「セドラチェク×小林喜光」も収録。
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Posted by ブクログ
番組は10回くらいのシリーズだったのか?本が面白かったので番組も見たかった、それこそ"オンデマンド"で見られないものか。
本書はスティグリッツ氏、セドラチェク氏、スタンフォード氏3名の回(+おまけ?でセドラチェク氏と小林氏の会談有)に絞ってまとめられている。
経済学者2名vs資本家1名というか、前の2人の資本主義は成長にこだわるべきではなく、神の見えざる手なんか存在せず、国は適切に市場を制御すべきという概ね一致した意見を読んだ後、技術革新とそれに伴う成長はいやでも起こり続けるもの、従前の資本主義が機能しないなら新たなモデルCがこの世を席巻するまでよ、というイケイケな意見の洗礼を受ける構図かと。
「成長すべきという思い込み自体間違っていたのだな」と納得しかけた後でスタンフォード氏の「資本主義は先進国における生活水準の全体的な底上げには成功した」という話に揺り戻され。結局今の経済は変化しているのか停滞しているのか?現状のこの停滞感は現実か幻か。
ただ経済学者2名の話から、生活水準の底上げの恩恵に預かりきれていない国があることと、先進国が浅慮で無理に成長しようとすると他の地域の経済を大いに歪ませ得るらしいことはうっすら理解できた。そしてこれらを改善することのほうがツチノコ探しみたいな停滞感の正体探しより余程急務で重要で効果もはっきりしていることのように感じた。自分がこれにどう協力できるかは、難しいけれど常に考え続けていきたい。
セドラチェク氏はかなりの知の怪物のようで、著書の「善と悪の経済学」も是非チェックしたく。
Posted by ブクログ
セドラチェックの理論には結構?マークもあるものの、経済学者のスティグリッツとベンチャーキャピタリストのスタンフォード氏の視点にとても興味を持ちました。スティグリッツの場合、需要があるのは富裕層ではなく、中間層や貧困層の消費にあるので、中間層や貧困層にお金が行き渡るようにしないと「金」という経済の血流は滞り、経済は廻らなくなるというのは全く同感だ。倫理的に貧困層を救うとか、格差を是正すべきだとかそういうことではなくて、需要を喚起し、経済を活性化するための手法として、富裕層から中間層・貧困層に金を投入すべきということです。一方でスタンフォード氏は、未来の姿を我々に提示してくれている点で実に新鮮。いつかどこかに地点で全てがテクノロジーに取って代わられたら一体どんあ社会が生まれるのだろう。想像力をかき立てられる彼の説は実に興味深い。