丸山俊一のレビュー一覧
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シリーズ四作目。今回は、ファーガソンとスティグリッツとの対談(別々)だが、どちらも面白いし独自の視点により視界が広がる。ちなみに、欲望の資本主義シリーズはどこから読んでも楽しめる。
ファーガソンは、19世紀後半以前にはネットワークと言う用語が滅多に使われてなかったと述べる。例えば、シェイクスピアの戯曲には出てこない。ネットワークが今日の意味として使われ始めるのは、鉄道が登場してから。一方で、階層制という言葉は、原始キリスト教時代から使われている言葉。私たちは長い間、社会についてはネットワークではなく「階層構造」として理解していた。
分散型ソーシャルネットワークでは、中央による集中管理がない -
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わかりやすい表現で夏目漱石の「私の個人主義」に端を発する個人主義について、現代の状況を踏まえながら考察していた。
承認欲求や同調圧力など昔からある日本人っぽい性質に対する疑問の投げかけ、マインドフルネスやアドラー心理学など近年注目されている自分らしく生きるための考え方の要素など多面的に個人というものを捉えている。加えて、古典とも言える昔の哲学者、思想家の文章を引用することで有史以前から人は「生きる」ということに矛盾を抱えながらここまできていることが示唆されている。
14歳「からの」という表現がぴったりだなと思うぐらい年齢に関わらず折に触れて読みたいと思った。 -
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岩井氏の本は毎回感銘を受けているので本書も早速手に取りました。岩井氏と言えば、貨幣論、資本主義論を、アリストテレスやゲーテ、シェークスピア、カントなど、古今東西とは言わないまでも(西&古に偏っていますが)、経済学以外の巨人の視点を通じて分析するというのがユニークな特徴だと思っています。つまり経済学という領域にこだわらないところに面白さがあるわけです。
本書では、どちらかといえば貨幣論を中心に同様のアプローチがとられていました。その意味では、岩井氏の本をこれまで何冊も読んだ人からすると、そこまで新しいことは書かれていないものの、とにかく主張がわかりやすく解説されているというのが本書の価値でしょ -
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トーマス・セドラチェクと斎藤幸平の対談がエキサイティングだった。二人のイデオロギーの定義が微妙に噛み合わず互いに何度か確認し合う。チェコ出身のセドラチェクは、コミュニズムに生理的嫌悪感がありそうだ。
この討論で気になったのは、共産主義、社会主義、資本主義が税率で規定されるかの論。9割税率は共産主義、社会主義は5割未満だと。一義的に言い当てているかは微妙だが、分かりやすい整理。共産主義イコールソ連の失敗例と捉えるのは誤りと斎藤幸平は言うが、税率が高いという事は、それだけ中央の権力が強いという事。集権的な体制が膠着され易く、ファシズムを生みやすいだろう。勿論、低い税率で一党独裁を成し得る国もある -
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同じことを違う言い方で表現し、同じものを違う物差しで測ってみせたりする時代。どんな問題を扱っても死の目前と叫ぶ人々。視聴率が声の大きさになり、見失わせるために正しさが聞こえ、引き寄せて集団を作り、かつて殺戮を生んだ行為を繰り返している。
手柄が欲しくて問題を大きくする。共感する心は消費させるための教育になってしまい、どちらでもいいようなものにこだわりを持たされて、感情のために人は金を払い、共感、わかりやすい、満足、本当の環境など、入手困難に見せるほど高い値が付き、ブランド値が上がる。現実にどうしても必要なものから離れるほど高額化していく。自分を見失って時間が経つので、もはや異常に気付けない。 -
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GAFAと現代市場経済の是非という、2よりも分かりやすいお題だったので自分みたいなもんにも読み進めやすかった…
共通して、GAFAの企業倫理と市場独占方針には大批判的
健全な競争原理を回復すべく、政治・経済からルールの改善・徹底を強化するべきという感じ。
ホスキンソン氏とティロール氏が、仮想通貨が公益に寄与するか否かについて真逆の意見だったり
世界最高の頭脳の最高の倫理感を持ってしても、方向性って定まらんのやなあ…と切ない気持ちになったり。
良い特集なだけに、文末の丸山氏のナルシスティック(故に不必要に冗長で難解)な文章はもうちょっと控えめになると良いな…
引き続き、資本主義に参加しな -
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Posted by ブクログ
著者の岩井克人先生、この方は本当に経済学者なんですか。読み始めてスケールのデカさにびっくり。どこから読んでも面白く、永遠に読んでいたい感。経済学的な見地にとどまらず、全ての学問に通じた壮大な貨幣論が繰り広げられる。
あのアリストテレスが資本主義の本質を見抜いていた?
ギリシャ哲学、自然科学、民主主義、孤独、そしてその孤独から生まれるギリシャ悲劇などの文学も、貨幣が起源?
そう言われてもにわかには信じ難いと思う。でも、騙されたと思って読んでみてほしい。経済学に興味の無い方こそ、驚きと知的興奮に震えること間違い無し。
もちろん、最近流行りのMMT理論とか、仮想通貨についても言及されています -
Posted by ブクログ
資本主義を考える月間5冊目。ジャーナリストのファーガソン。日本は「定常状態」。成長は止まり、高齢化がすすみ、変化を求めない人が多くなる。サッカーの日本代表になることも、ウィンブルドンで優勝することもない、絶頂期は過去のものという諦念に満ちている。これを政策等で変化させるのは困難。歴史上、定常状態を脱するきっかけとなったのは、戦争や大災害、疫病の流行など。これで考えると、東日本大震災とコロナ禍は日本が変わるチャンスかもしれない。なお、経済成長は栄養状態の改善、衛生面の向上、住環境の充実などをもたらした。定常状態で生き延びた社会はないということも覚えておかなければならない。一方、スティグリッツは、