丸山俊一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
今の資本主義がいい意味で機能していないという方に結論が傾いているだろう。そして、今の資本主義というシステムが、これからも同じように存在し続けることもない。今ままではなく、変化したシステムになる。なる必要があると。
例えば、GAFAは市場を独占的に覆い尽くしている。これから何年もGAFAによって、「新たな(イノベーションの)芽が摘まれてしまう」「市場による自由な競争が成立しない」状況や影響力を持ってしまうことにになれば、政府から規制をかけなければならない。しかし、ビッグデータ、AI、ブロックチェーン、などのテクノロジーは世界を救済する手段にも、脅威をもたらすものにもなり得るなかで、歴史は浅く、どう規制をかけるべきか、正解も最適解も導くことが難しい状況なのは確かである。
経済学だけでなく、社会学、心理学、生物学、法学、歴史など、さまざまな分野の知恵を結集し、今は資本主義の行く末を考え、再構築しなければならない段階に来ている。
この状況は、哲学者や経済学者だけが問題意識を持つものではない。一般消費者としても、ビジネスパーソンとしてでもある私たちも、これからが変わり続ける世の中で生きていくために、本当の個人主義を理解して、考えていこう。 -
Posted by ブクログ
この番組が好きで他のシリーズも見ている。映像では聞き流している部分が多いので、書籍を見つけて嬉しくなった。
全く方向性の異なる3人の有識者(スティグリッツとセドラチェクは成長資本主義に懐疑的で概ね似た意見)のそれぞれの言い分が面白い。立場や興味の対象が全く違うので当然といえば当然だが、テクノロジーの変化によって社会のあり方を変化させなければならないという落とし所が同じだったのはちょっとした希望だったように思える。
経済に関する本を読むと必然的に哲学や政治や思想、芸術、日常生活全てに派生していくのが面白い。人間として社会で生活していく上で絶対に切り離すことができないからこそ、魅力的なんだと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレガブリエルとセドラチェクの対談は話が難しすぎるのだが、いくつか理解できる主張があった。また、最初のコーエンの話は「なるほどね。確かに。」と納得するものだった。
特に、テクノロジーが進歩しているのに景気が低迷している理由に、失われた雇用の受け皿となる産業がないことをあげた。AIで仕事を奪われた人が、次に職を探すときは生産性の低い仕事しか残っていない。テクノロジーで生産性の向上の恩恵を受けるのは富裕層である。
こうしてテクノロジーの進歩は、富裕層はより生産性高く、中産階級は生産性の低い仕事に流れ、貧困層は変化なし、という現象を引き起こしているために、経済成長せず、景気が上向かないのだと。
農業から工業社会に移行しているときは、農家は工場へと、より賃金の高い仕事に就くことができた。つまり、工業が成長産業となり、農業から工業へと失われた雇用の受け皿が存在していたのだ。
今、私たちはテクノロジーが進歩、AIに仕事が代替されていくなかで、次なる成長産業への雇用を見いだせないでいる。だからといって、何の抵抗もなく時間が流れるように生産性の低い仕事に就くしかないのか。いや、それは違う。私たちはテクノロジーが常に日進月歩で進化する産業だからこそ、その産業の知識やスキルを身に付けて、挑戦していくことが、求められるのではないか。
資本主義は、いや、今の資本主義によって成り立つ社会システムが変わらない限り、格差は広がる一方だ。それを甘んずることなく、自ら未来への可能性を切り開いていかねばならいのだ。 -
Posted by ブクログ
私自身、ガブリエル氏の思想に関してベースがないのと、あくまでインタビューをまとめたものであるので、それほど強い印象はなかった。
ただいくつか、正に今(2020/12)に起こっていることを示唆していることがあるのは流石と感じた。
民主主義のイディアが法律であるはずであるが、それはもはや民主主義ではなく、その他の何か。今、アメリカで戦われている内容であり、是非ガブリエル氏に意見を聞いてみたい。
またSNSはコミュニケーションのツールではなく、あくまで意見発信のツールでしかないそうだ。
特に非常に重要な意見として、ポストモダンに独裁者は、
あなたを、あなたが知っていることを、本当は知らないと信じさせたい
つまり、気候変動は本当にあるのか、シリア内戦も本当は大丈夫で、そこで何が起こったのか
など、正にアメリカ大統領選挙でおこっていることも同様でないか。
ガブリエルはいう
知恵を持つ勇気を持てと。 -
Posted by ブクログ
「資本主義は完全に過渡期を迎えている」
この状況を理解している人が、一体どれぐらいいるだろうか。
普通に会社で働いていても、資本主義を意識することは少ないだろう。
もちろん経済活動が資本主義前提のシステムだから、決算数字などを見れば意識することもあるだろう。
マクロな視点でみれば気が付くが、普段の生活の中でのミクロレベルでは意識のしようがない。
それを敢えて「14歳にもなれば意識しろ」と説く。
なぜなら、これからの社会は大きな変革を迫られているから。
社会がテクノロジーの変化によって変わっていくのは理解できるし、予測ができる。
ただし、資本主義に代わる「◎◎主義」は未だに誰も見いだせていない。
それも、今現在でも資本主義の問題点が指摘されているというのに。
これが、これからの社会がどう変化していくのが読めない点なのだ。
貨幣経済は数千年の歴史があるし、そのお金を貸し付けて利息を得るということも昔から行われていた。
しかしそれが「経済発展」という歯車が回りだしたのは、産業革命と資本家というものが生まれてからだ。
どうすれば「富」を得ることができるか。
何もないところから、大きな価値を生むにはどうするか。
この仕組みを作り出したのが、まさに「資本主義」なのだ。
未来に生み出されるであろうイチの価値に対して、先んじて今のゼロに資本を回す。(投資する)
単なる利息でなく、富が重ねて富を生む「複利」を基本に考える。
こういう発想の転換はすごいと思う。
しかしそれだけだといつか破綻することを経済学者たちは見抜いていて、社会主義などの他の方法を模索した。
それなのに、社会主義が先に破綻し、資本主義は今でも様々な問題を抱えて過渡期を迎えたまま進行中だ。
代替え案がいまだに見いだせないという状況。
今の14歳はこういう社会を生き抜いていかなくてはいけない。
番組が反響を呼ぶのは当然だ。
大人がきちんと子供たちに教えなければいけない。
(2019/8/2) -
Posted by ブクログ
最近はコロナショックのせいで、多くのニュースが消えてしまっているように思いますが、その一つが次世代技術と騒がれていた人工知能(AI)があると思います。この本はコロナ騒動が起きる前に、もう懐かしい思い出になりつつありますが電車通勤していたときに読み終わったものです。
今後、人工知能がどのように進歩していくのか、そして人間はどのように付き合うべきかを感がなければいけない時期に来ているようです。コロナ騒動が収まるのは時間がかかると思いますが、収束した暁には多くの場所で新しい世界が広がっていることでしょう。そのときにもう既に人工知能が働いているかもしれません。
在宅勤務をしていると通勤時間、移動時間がない分、考える時間が増えたと思います。数年後の仕事の進め方に、人工知能とどのように共存していけば良いか、今年のGWは普段の活動ができずステイホームということになりそうなので、自分なりに考えてみよう思いました。
以下は気になったポイントです。
・未来のAIの計算速度は私たちよりはるかに速いので、人間の動きはスローモーションのように感じられるだろう。ハエを叩き殺そうとしてもハエの方が先に飛んでしまう。体が小さいため脳の動きがとても速い。ハエにとっては、人間の手はとてもゆっくり近づいてくる(p39)
・AIによって人間はどうなるのだろうか、と問うのは間違えで「どうなりたいか」を問うべき(p43)
・仕事が私たちにもたらす3つのもの、収入・目的・友達は必要である。そこで、AIによって生み出される富のすべてを確実に人類が共有し、誰もがより豊かになるようになる方法を考えなければならない(p45)
・人間とAIの決定的な違い、1)意識を持たせることができない、2)感情がない、3)計画と想像する能力無い、人間はこの3つが合わさることで、物事に意味を見出し、相手を理解することができる、意味付けと理解する能力の有無が基本的な相違である(p80)
・私たちがAIにできないことに専念したら、人間はもっと賢くなるだろう、ただしその代償として、今はできて当然と思っている多くのことができなくなるだろう(p116)
・私たちは多くのAIの中から選択することになる、さまざまなAIが市場で競争するようになる、様々な型の車やカメラがあるように(p139)
・AIは人間が作り出したものの中で最も強力な発明品である、なぜなら人間そのものを変えてしまうから。AIによって私たちは変化し、社会も変化する(p140)
・医療においても碁の世界においても、人間とAIの両方が組んだチームが最強となる、双方が違う知性を持ち、異なる考え方をするから(p153)
・AI以後は、ある朝劇的に変化している光景ではない、いつの間にか変わっているのだ、あなたが気がつかないだけで。その変化の連続性に私たちは、日々目を凝らして見逃さないようにしなければならない。それは、ささやかな生活の一場面にあり、また思いもよらぬ身近な場で出合う存在の抱える「他者性」に気づくこと。(p195)
・感性の微分こそが多様性との対話を可能にし、その積分が社会を作る(p195)
2020年4月25日作成 -
Posted by ブクログ
哲学は難しい。平易な言葉で語られたら理解が進むのかと思いきや、特に第1章の「つぶやき」はよくわからなかった。他方、第3章の石黒教授との対談は、自分なりに咀嚼しながら読むことが出来た。石黒教授が常に会話を整理し、ご自身との考えとの比較を提示しながら進めてくれたからではと思った。
実は、これがNHKの番組内容を新書化したものだとは読んだ後に知り、それでこんな口語体で載せちゃったわけね…と理解はした。番組を見た人には改めてこの本を読むことで、TVを見た時に抱いた感想や疑問点を整理するのに役立つのかもしれないが、そうでない人にはさっぱりな本になってしまってると思う。
TVで反響があって本にするときは、TVを見てなかった人にもきちんと伝わるようにという、最低限の仕事をしてほしい。そのまま活字にしちゃいました感が否めなかった。 -
Posted by ブクログ
欲望の資本主義の第三巻目である。欲望は資本主義を発展させるとともに、それが行き過ぎれば停滞も崩壊も齎らすのだ。そのメカニズムとその未来を世界の識者に聞いたのが本書である。インタネットの普及が正にその功罪の原因となり、未来のことは識者の中でも意見は分かれる。ビットコインについても、その推進者は、国の規制が外れることによって、より自由な経済活動が可能になるとし、一方哲学者は、いずれ失敗するだろうとの見解だ。哲学者によれば、インタネットの普及によりフェイクニュースや詐欺などの欺瞞が横行し、為政者の虚偽や隠蔽工作が加速すると予測している。実はその現象は、すでに現実となって表面化しているのだ。アメリカのトランプ、イギリスのボリス・ジョンソン、フランスでの極右政党の台頭、そして我が国の現状である。哲学者の言うように、民主主義の危機が迫っているのだろうか?
-
Posted by ブクログ
【文章】
読み辛い
【ハマり】
★★★・・
【共感度】
★★★・・
【気付き】
★★★・・
敗戦国の日本とドイツ、ドイツはアメリカ化をやめたが、日本はアメリカ化を進めている。
コンピュータサイエンスの根源は哲学。
実存主義:自分の人生以外に、自分の人生に意味を与えるものは何一つない。
人は存在が先にあって、その意味は後付けされる。
言葉を話すことの仕組みを考えると、時間は未来から過去へ向かっている。
「ghost in the shell」ではなくて、「"Geist" in the shell」の方がしっくりくる。
人間である事の最低限の条件は、人間である事の意味を考えること。
システムがある程度の複雑さに達した時、意識が生まれるのかもしれない。