丸山俊一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
NHKの「欲望の時代の哲学」収録インタビューをもとに書かれた本で、実際のテレビ番組ではカットされている発言も詳しく書かれているので、テレビ番組を補完する意味でも理解が深まりました。
ガブリエル氏はいくつかのキーワードを述べていますが、印象に残った言葉を列記します。
「入れ子状態の危機nested crisis」
「人間の意識の変化によって文明は終わりを迎える」
「資本主義はコンクリートよりも水のようなもの」
「日本は動いているにも関わらず同時に本質の感覚がある、そこには明確なカット(切断)がある」
またガブリエル氏は、日本独自の形而上学的、つまり非物質的な源を見つけるべきであって、日本人の -
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「倫理資本主義」利潤ばかり追求して一部の人びとしか潤わない社会ではなく、企業が市場経済で派生する倫理問題を解決する。そこに本当の利益は存在して万人が共有する社会となる。金銭のみを追求する利潤優先は市場も疲弊していく、倫理を改善してこそ資本主義の醸成へと向かう。著者マルクス・ガブリエルはリップサービスなのか、日本をこの倫理資本主義という概念を試す最適な場所だと述べているが、非正規労働者や男女格差など世界と比較して劣悪だと感じる人びとは少なくないはず。まだまだ日本は倫理面で途上国であり、一部の大企業の戯言でごまかさないように願うばかりなり。
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Posted by ブクログ
『貨幣論』、『二十一世紀の資本主義論』と続けて読んで、今回、著者の最新の本書を読んだ。上記2冊はいずれも今から30年近く前に刊行されたが、これらで展開された「貨幣」の本質は、たとえその姿形を変えたとしても、その実態は変わらないとわかる。その一方で、これらの本には存在しなかったビットコイン等の仮想通貨や昨今話題であるMMT(現代貨幣理論)に対する見解を述べており、これまでの著書ではカバーされていなかった部分を本書で補足されている。
本書全体を読んで、アリストテレスとカントの2人の哲学者の偉大さがよくわかる。著者曰く、アリストテレスは資本主義以前の世界で、貨幣の本質を見抜いたり、共同体のあり方 -
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経現代の済学を、ケインズやアダム・スミスと言った偉人たちの視点で分析する。
そもそも、資本主義は正義か悪なのか。資本主義自体には、それを持ち得ない。それを扱う人間によるものかなと。ただ、資本主義自体も、システムの上で仕事をしているだけとしたら、悪も正義もないなではと思う。
本書の中で登場した感情労働は、SNSやネットワークを通じて、働く人の気持ちをすり減らす。
昭和の頃の労働はノルマもあったかもしれないけど、人の繋がりがあったし、24時間監視されるものでもない。
それでも、過労死やパワハラが横行していたので、ネットワークにより、進んだり改善された世界観もあるのだろうけど、最適な資本主義の世界と -
Posted by ブクログ
NHKの『欲望の民主主義』がとても面白いので、こちらも読んでみましたが、現代の課題を考えるにはとても良い本だと思います。
民主主義も資本主義も、現代においては主流の政治経済理念ではありますが、これらはあくまでも歴史の流れの中で求められた思想であって、至高のものではありません。そして、現代においては、日本に限ってみても、どちらも行き詰まり、閉塞感を感じている国民が多いと思います。この閉塞感がどこから来ているのかを明らかにしているのが本書です。
どちらも当初は必要であり、むしろ大事な思想でした。ですが、どちらもそれぞれに課題を抱えているのは当然であり、長く延命した分、行き詰まりから抜け出られなくな -
Posted by ブクログ
経済学や貨幣について独学していくなかで、「これからの正義の話をしよう」「ビットコインスタンダード」を読んだ後にこの本を読んだ。
貨幣や経済を学ぶに連れ、学問は隔たりなく体系的に学ぶことの重要性と楽しさを覚えている。
また著者の思考をまずは読み取り、その上で対岸の思想を学ぶことも自分の思考を枠の中に留めないためにも柔軟体操として必要である。
前置きが長くなったが、アリストテレスのいうポリスを維持するための貨幣の必要性と、貨幣によるポリスの崩壊リスクというパラドックスについて共感したと同時に、そこに「欲望の貨幣論」の本質があることを理解した。
経済や貨幣を勉強する中で、自分自身これからの -