あらすじ
「ネステッド・クライシス」の時代を生きる日本人へ!
時事問題にも積極的に発言してきた「活動する哲学者」ガブリエルの目に映る、日本社会の「レイヤー」とは何か? 「90年代で足踏みしている」と評された日本人は、これからどうすればいいのか? 気候変動に始まった複合的な危機の時代を見通す視座を伝授する!
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Posted by ブクログ
NHKの「欲望の時代の哲学」収録インタビューをもとに書かれた本で、実際のテレビ番組ではカットされている発言も詳しく書かれているので、テレビ番組を補完する意味でも理解が深まりました。
ガブリエル氏はいくつかのキーワードを述べていますが、印象に残った言葉を列記します。
「入れ子状態の危機nested crisis」
「人間の意識の変化によって文明は終わりを迎える」
「資本主義はコンクリートよりも水のようなもの」
「日本は動いているにも関わらず同時に本質の感覚がある、そこには明確なカット(切断)がある」
またガブリエル氏は、日本独自の形而上学的、つまり非物質的な源を見つけるべきであって、日本人の気質がどのように21世紀のイノベーションの構造に貢献できるのかを考えよ、と述べています。これを読んで思い出したのが、長谷川櫂氏の本、『和の思想日本人の創造力』です。長谷川氏は、「和」とは外国からの「受容」「選択」「変容」という創造的プロセスを指すと述べていますが、日本はいちから何かを生み出すというよりは、ブレンドの達人であろうという点です。それが独特な文化のような雰囲気を出しているが、実は世界の様々な文化が融合・変容しているとも言えるのではないでしょうか。
さらにガブリエル氏は「存在」が失われたことこそが近代のすべての病の元になっていると論じています。これは宗教に限定される話ではありませんが、日本人にとっての存在は何か、それは祖先信仰であったり、八百万的、アニミズム的な感覚なのかしらと思いながら読んでいました。いろいろと考えさせられる良書だと思います。
Posted by ブクログ
「倫理資本主義」利潤ばかり追求して一部の人びとしか潤わない社会ではなく、企業が市場経済で派生する倫理問題を解決する。そこに本当の利益は存在して万人が共有する社会となる。金銭のみを追求する利潤優先は市場も疲弊していく、倫理を改善してこそ資本主義の醸成へと向かう。著者マルクス・ガブリエルはリップサービスなのか、日本をこの倫理資本主義という概念を試す最適な場所だと述べているが、非正規労働者や男女格差など世界と比較して劣悪だと感じる人びとは少なくないはず。まだまだ日本は倫理面で途上国であり、一部の大企業の戯言でごまかさないように願うばかりなり。