あらすじ
理想、喪失、そして分断…アメリカはどこへ行こうとしているのか? 欲望の正体を求めて。想像力の旅が始まる――。NHK「世界サブカルチャー史 欲望の系譜」アメリカ編を完全書籍化。番組では放送されなかったインタビューも収録。格差、Black Lives Matter、テロとの戦い、暴力、銃、ポピュリズム…「偉大なる」実験国家の光と影。戦後から2010年代までを、主に映画のスクリーンから証言者のコメントを織り交ぜながら考察する。
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Posted by ブクログ
そしてまたトランプへ。
戦後から現在までのアメリカの歴史。
「ローマの休日」から(これが最初じゃないけど)
「ジョーカー」まで。
見てない映画も多かったので、
簡単な内容では無かったけど、
とても勉強になりました
Posted by ブクログ
アメリカは良くも悪くも、民主主義、資本主義、人種差別、LGBTQ、戦争、そして文化を引っ張ってきた。それぞれ映画ではどう描かれてきたのか。
映画というサブカルチャーで戦後史を学ぶ。
むちゃくちゃ面白かった!
Posted by ブクログ
『最も危険なアメリカ映画』と違って、ディズニーなどアニメーション映画は登場しない。
自分の記憶が正しい限りオール実写映画で、各年代で話題になった作品を歴史と共に紹介。間に専門家のコメントも挟んでいるので、よりその映画について知見を深めることができる…と言ったところか。
話題になったもの、または、その時代を反映する作品であれば『タイタニック』や『アルマゲドン』『アバター』等も入ると思っていたが、本書では見受けられず。何を基準に作品を選んだのかは、未だに不明である。
初耳のタイトルも多かったけど、あらすじや解説がザッと分かりやすくまとめられていたので、観たい分がちょこちょこ輩出された。
『裏窓』(1954)は、『サイコ』(1960)で有名なヒッチコックの監督作品。こちらも御多分に洩れずサスペンスだ。
骨折のため療養中のカメラマンが望遠レンズでアパートの住人の生活を覗き見していく…という、もうこの時点で背筋が凍る設定。そこから彼は奇妙な変化を感じ取っていくのだが、誰もそれを信じてくれない。
邪悪で恐ろしいものが覆い隠されている、不穏な冷戦時代。思い返してみれば、その頃の空気感について自分は何も知らない。『裏窓』ではそれが巧妙に分析されているようなので、これは要チェックだな。
『ゴッドファーザー』(1972)も、実はアメリカそのものを表しているという。
グループの利益を第一と捉えているところが、アメリカという資本主義社会に通じるのだと…。単なるマフィアの抗争話と思い込んでいただけに、再鑑賞の余地がありそうだ。(馬のシーンはごめんだけど泣)
面白いと思ったのが、時代ごとの「カウボーイ」の描かれ方。
カウボーイといえば、日本人から見ても正義のヒーローのような存在。『赤い河』(1948)のジョン・ウェインは、寡黙でありながら拳で全てを解決していく。その勇姿(?)は、(昔ながらな)男らしさだけでなく、「偉大なるアメリカ」をも体現している。
しかし『真昼の決闘』(1952)では、ゲイリー・クーパーが演じる窮地に陥った保安官を誰も助けようとしない。これは共産主義者を摘発する「赤狩り」で、仲間を売って口をつぐんだ人々を表しているんだとか。たった4年で真の正義が揺らいじゃってる…!
『ブロークバック・マウンテン』(2005)主人公の男性2名は、カウボーイ風の衣装に身を包み牧場で働く同性愛者。「男らしさ」の象徴であるカウボーイ・ファッションを敢えて導入するとは、なかなかにチャレンジングな試みである…。
「誰もが交じり合おうとしているけれども、じつは誰もが孤立している」(P 261)
スマホやSNSの普及によって「皆が同じものを見て同じことを考える時代は終わった」と、本文にある。それは映画の感想にも言えることだろう。
しかし、『アメリカン・スナイパー』(2013)では、保守・リベラル共々その内容を絶賛したという。
人種や思想と日々分断を生む中で、一つの映画が人々を結びつけた…。戦争映画だけに、これの良し悪しを判断するのは難しい。
だが、一つのストーリーに皆でじっくりと向き合う…というのは、真の”United”への一歩にならないのだろうか。