【感想・ネタバレ】欲望の民主主義 分断を越える哲学のレビュー

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Posted by ブクログ

・大統領の役割=何が起きているか分かっている人がいるフリをする役割、というのが腹落ち。

たかだか10人くらいの組織でさえ、トップは部下が何をしているか把握していない。1億、2億の民のトップが、すべてを見通しているわけがない。

民主主義が、中産階級の価値を最大にするための組織(集団の力を使って個人の自由を最大化する)であり、それが現状機能しなくなっている。

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2020年07月18日

Posted by ブクログ

ずっと「民主主義」を無条件でとてもいいもののように思っていたけれど、どうもそうではないかもと思って手に取った本。
民主主義の政治が衆愚政治にならないためには何が必要なのか、とか、ただの民主主義ではなくて「自由」民主主義が大事なんだとか、じゃあ自由ってなんなんだろうか、とか、そういったことを考えるヒントがいろいろあった。

「ドイツ史上、最も若くして大学の哲学科教授に就任した」マルクス・ガブリエルが「自分があの人だったかもしれない」と認識すること、他人や動物の苦しみを理解する度量が民主主義の基盤だと言っているのが印象に残った。

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2019年12月16日

Posted by ブクログ

自らの人生を受けとめ、真摯に思考する時、誰もが実存主義者となる。生まれ落ちた時から抱える実存、所与の条件、意識を持った頃にはすでに課さられていた宿命を、引き受けざるを得ない存在が覚悟を決める時、実存主義の門を潜るのだ。だが、そうしたありようは、時に固着した視点を生み、それゆえの不自由を生むこともまた事実。他者からの視点という想像力を欠き、熱い情念に囚われることでますます視野狭窄に陥る不幸も、背中合わせとなる。その呪縛を解こうとしたのが構造主義だったのであり、そうした柔軟な視点を獲得した時、皆、構造主義者となる。すべては関係性だという認識がもたらす、自己という存在の相対性に思考を開く可能性をそこに見るのだ。そしてさらにその関係性すらも固定化しないダイナミズムを導入しようというのがポスト構造主義だった…
真摯に思考する時、人はすべて実存主義の洗礼を受け、構造主義の門を潜る。

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2019年02月18日

Posted by ブクログ

NHKの『欲望の民主主義』がとても面白いので、こちらも読んでみましたが、現代の課題を考えるにはとても良い本だと思います。
民主主義も資本主義も、現代においては主流の政治経済理念ではありますが、これらはあくまでも歴史の流れの中で求められた思想であって、至高のものではありません。そして、現代においては、日本に限ってみても、どちらも行き詰まり、閉塞感を感じている国民が多いと思います。この閉塞感がどこから来ているのかを明らかにしているのが本書です。
どちらも当初は必要であり、むしろ大事な思想でした。ですが、どちらもそれぞれに課題を抱えているのは当然であり、長く延命した分、行き詰まりから抜け出られなくなっています。
特に資本主義はその性質上、もはや人類は太刀打ちできないところまできています。なので、もう一方の民主主義をアップデートし、本来の民主政治を取り戻し、維持しながら、資本主義に立ち向かっていくしかありません。
時代は、ちょうど分岐点にあります。我々の選択が、子どもたちの将来を作るのであれば、正解も誤りも含めながら一人一人が真剣に考えなくてはいけない、そういう時代です。

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2022年09月19日

Posted by ブクログ

本書が出版された2016年、トランプ氏が大統領選挙で当選した年、民主主義は世界的に危機にあった。ポピュリズム政党、政治家が欧州で躍進、日本の都知事選も国際的にはポピュリズムと評される。
これまでも投票率の低さ、政治への無関心は言われてきたが、昔の無関心は、投票しなくても無難な結果、という空気だった。だが今は、政治への信頼が失われている。選挙で選ばれた者は民意を代表しない、つまり代表制民主主義そのものに疑念が抱かれている。これは時代の変化に民主主義が対応できないのか、それとも民主主義そのものに欠陥があるのか。

本書は、そんな時代の空気の中、米国とフランスの政治学者、心理学者、哲学者へのインタビューを通じて民主主義への処方箋を模索する。民主主義の原点といえるホッブスのリヴァイアサン、ルソーの社会契約論に立ち戻り、共同体を維持するツールとしての民主主義、平等と平和の理念のための民主主義、哲学としての民主主義、様々な視点から民主主義を説き直す。どの論者にも共通するのは、民主主義は所与のものでなく、一人ひとりの協力が必要という点である。しかし現代のネット社会は、一人ひとりの意見を分断して増幅する。そのため、選挙で選ばれた代表者の議論よりも、変動が早く極端である。そのような意見に政治家が左右されて愚策に走るか、逆手にとってポピュリストとなるか。どちらにしても危機的だ。

本書の出版後、パンデミックにより再び政治は信頼を失っている。恐怖、脅威は人々を結びつけ、民主主義が再び上手くいく条件となるはずだが、政府よりも国民の方が情報の量とスピードが大きいこと、人の特性である自信過剰のバイアスにより、議員よりも自分たちの方が解決できる、と思ってしまうのだ。

ヒト、モノ、カネ、情報のグローバル化の中、私たち一人ひとりが民主主義を再定義する必要がある。

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2021年04月19日

Posted by ブクログ

アメリカの自国主義、EUの分断等民主主義の混迷、世界の現実を知る本です。
後退している民主主義はこのままでは、破滅の道、戦争へといってしまうのではないか?危惧を感じる。人間は弱肉強食から逃れられない。
著者は「民主主義とは何か自分に問い続ける限り」より良くなって行くと言う。
印象に残った文章
⒈ 人々はとにかくすべてを焼き尽くしたかったのだ。
⒉ 問題その1ーグローバル化
⒊ 問題その2ー代表制民主主義
⒋ 問題その3ー分極化

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2020年07月17日

Posted by ブクログ

「欲望の資本主義」が書籍も番組も良かったので買ったが、哲学よりだった。
で、内容も「欲望の資本主義」ほどの知的興奮は得られなかった。
まあ、補助線としては使えるけど、点線?

フランス人がむやみに偉そうなんだよね。
「トランプを放逐できたら、民主主義の勝利」とかもう意味不明だし。

むしろ、著者が懐かしがって高く評価している五月革命の内幕が受けた。

ガソリンの供給が再開されると、(学生がドライブに行くので)デモが休みになった。
とか
フランスの学生の抗議活動は、バカンスの時期には(バカンス優先で)休みになる。
とか。

あいつらの「社会運動」って、子供の反抗期以下じゃねえかwww
何であんなのをありがたがる人が居るの?

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2018年10月14日

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