あらすじ
形なき資本の渦が世界を飲み込む
夢か? 悪夢か?
コロナで顕在化した格差問題、資本主義の構造的な歪みをどう解決するのか?
「資本なき資本主義」は経済をどう変えるのか?
緊迫する米中関係をどう捉えるべきか?
不透明な世界情勢の中、「異色のノーベル賞経済学者」シラー、「現代文明を読み解くフランスの知性」トッド、「民主主義と自由に注目する経済学者」アセモグルら、世界の知性と共に、資本主義の変質を捉え、社会構造の問題を解剖する。
大人気シリーズ! 緊急「特別編」も再編
未公開部分も多数収録
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
テーマは格差社会。
無形資産の肥大化と、グローバリゼーションやインターネットが組み合わさり、格差を広げている
という。デジタルプラットフォーマーの一人勝ちで富が集中する図式と、一部コンテンツは無課金で楽しめるものだから、それで満足する低所得階層の構図が現代の特徴だろうか。
大企業はロビー活動に巨額な資金を投入し、規制当局や行政サイドにまで圧力をかけることができるため、政治への影響力を行使してより強力になる。これはアメリカの話だが、金持ちに有利に操作できれば、永遠に格差は縮まらない。不満を原動力に革命を起こすモチベーションは、無課金の娯楽で満たされて上がらない。
無課金娯楽だけではなく、トリクルダウンならぬ、スピルオーバーがある。新しいがんの治療法や、コロナの予防法、高齢者介護のより良い方法など、これらは無形資産として、分け与えられる。一部は統計的なデータ取得も目的とされるが、あまり表には出ない。
ー アメリカは所得税と給与税を合わせて25%の税が課税されるが、設備やソフトウェアの投資に対しては税率5%以下。そのため、企業は従業員を雇用する代わりに機械を使おうとする。
ー 集合的信仰は拡大する貧困層の間に生まれるかもしれない。貧困層の大集団は共同体の結束を促す。あるいは国家の集合的信仰は外部との対立によって促される。フランスで見られるイスラム嫌悪のようにスケープゴートを作ることが共同体への進行の欠如の解決策になる場合もある。
AIが知能補助になり、知能格差を埋めるという人がいる。知的労働はネットに掲載されない個別情報を交渉により得たり、それを分析して、最適判断を議論する情報活用の民主主義的プロセスの一部として存在するが、情報を集める仕事は残り、後の手続きが自動化される可能性がある。その時、搾取の形はどう変わるだろうか。
Posted by ブクログ
コロナ後の経済社会や格差などを5名の知識人が考察 する。
今後の社会について、世界の知識人が様々な考察や意見を述べているが、共通しているのは今後のことは誰にもわからないということ。世界が多様化して予測が難しい。彼等へのインタビューの中でよく出てくるのはケインズの話。彼の考えは、結果的に正しかったという意見が多かった。でも彼が現場まで見通していたかどうかはわからない。この5人の識者の意見も、いずれ誰かが正しかったのかが結果論として考察されると思う。
目次より
ハスケル~無形資産について 無形資産が拡大する社会
シラー~ ナラティブ経済 物語が経済を動かす
アヤモグル~ 経済への見方 税,生物,歴史
ドッド~ グローバル資本主義の終わり 人口的観点から
ロー~ 適応的市場仮説