【感想・ネタバレ】欲望の資本主義3―偽りの個人主義を越えてのレビュー

あらすじ

最高の知性が問う未来!

巨大化するGAFAへの懸念、
そして仮想通貨への期待と不安が交錯する今、
資本主義の行きつく先はどこなのか?

「市場」「自由」「個人主義」をキーワードに、
多角的な視点から社会のあり方を再考する。

大反響! 異色のNHK経済教養ドキュメント 待望の書籍化!
未放送部分も多数収録

「今回お届けするのは、次の5人の言葉だ。
GAFAに対して舌鋒鋭く、巨大プラットフォーマーの功罪を、独自の視点から生々しく語る、異色の起業家にして大学教授、スコット・ギャロウェイ。
ビットコインに続く仮想通貨の開発者にして、天才数学者、仮想通貨が世界にフェアな競争をもたらす夢を語る、チャールズ・ホスキンソン。
精緻な分析で経済学の可能性を広げ、GAFA、仮想通貨をはじめ資本主義の今を冷静に分析する、ノーベル経済学賞受賞のフランスの理性、ジャン・ティロール。
『サピエンス全史』以来、文明論的な視点から歴史を読み解き、科学技術と資本主義の親和性から現代の危機、行く末を読む、ユヴァル・ノア・ハラリ。
「新実在論」ブームを日本にも巻き起こし、社会制度の根本の概念を解きほぐすことから、資本主義、民主主義の混乱、迷走を斬る、若き天才哲学者、マルクス・ガブリエル。

番組では、彼らの発言も敢えてフラグメントとして構成していく中で、多角的な視点を提示していったわけだが、ここでたっぷり、それぞれの言葉を味わっていただきたい。行間からにじみ出るものも含め、想像力とともに読んでいただければ、また新たな現代の経済現象、世界、社会へのアプローチの可能性が浮かび上がることだろう。
では、資本主義を巡る知の冒険へ。どうぞ、ご一緒に。
――「はじめに」より」

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

GAFAと現代市場経済の是非という、2よりも分かりやすいお題だったので自分みたいなもんにも読み進めやすかった…

共通して、GAFAの企業倫理と市場独占方針には大批判的
健全な競争原理を回復すべく、政治・経済からルールの改善・徹底を強化するべきという感じ。

ホスキンソン氏とティロール氏が、仮想通貨が公益に寄与するか否かについて真逆の意見だったり
世界最高の頭脳の最高の倫理感を持ってしても、方向性って定まらんのやなあ…と切ない気持ちになったり。

良い特集なだけに、文末の丸山氏のナルシスティック(故に不必要に冗長で難解)な文章はもうちょっと控えめになると良いな…

引き続き、資本主義に参加しながらも、それに全BETするような生き方をしないようスタンスを考え続けたい、等思う。

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2021年12月30日

Posted by ブクログ

資本主義を考える月間4冊目。見えざる手による競走で最適化するはずの市場だが、GAFAの支配に警鐘を鳴らすギャロウェイは、GAFAによりイノベーションが起こらない時代になっていると主張する。将来有望なスタートアップを買収することで将来の競合を潰す。インスタ、YouTube、WhatsAppなど。適切に納税もしない。会社を分割して、競争させることが社会に利益につながると説く。ノーベル経済学賞受賞のティロールは、資本主義は統治の形態、市場経済は企業の競争であり、いずれもルールと規制が必要と主張する。確かに大企業や大富豪に有利なルールでは、正しい統治も競争も起こらない。そしてガブリエルは、ポストトゥルースを「真実やまやかしが存在しないかのようにふるまうこと」「知識よりも意見が尊重されること」と見抜く。事実よりインフルエンサーの意見に振り回されることがあることを思いだす。

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2021年02月13日

Posted by ブクログ

シリーズものを読み進めているが、テーマは一貫して資本主義を問う内容ながら、一冊ごと読み切れる作り。で、本作はお待ちかね(私にとって)ユヴァルノアハラリ、他には、ギャロウェイやマルクスガブリエルのインタビューを含む内容。

一つの論点を掘り下げていくような深い話ではないが、示唆に富む、考え抜かれた言葉の一つ一つが刺さる。例えば、大学からの人材を企業が採用するのだから、卒業生を採用した企業から、学生の採用料を徴収する制度が有効である。これは、ギャロウェイの意見だし、過去に似たような論説も耳にしたが、いや、そうだよなと思う。まあ、そうなると大学のもつアカデミアの普遍的価値が損なわれ、完全に資本主義の再生産システムに組み込まれ、大学が単に企業の前工程としての訓練校に成り下がってしまいそうだが。これはつまり、女性の出産を労働者の再生産機能として社会構造の頼りにした日本の男性労働社会みたいだが、結局、既に資本主義のために社会が存在するのだから諦めて生産性と機能性を追求しなよ、というメッセージにも聞こえる。それをより高次元に脱構築させる知性を生むのが大学であって欲しいが。

アメリカでは、最大の電話通信会社マーベルが長距離通信市場の80%を独占していたが、司法省の命令により8から9社に分社化された。また石油会社のスタンダードオイルは34社に分割された。Googleは2014年に検索ビジネスの93%を独占。GAFAを分割することが社会的にも有益、とか。分割すれば何とかなる論は、果たして正しいのだろうか。

最後に。経済成長の宗教性を問う発言。世界中が成長市場主義に取り憑かれている。取り残されると、この世界で奴隷になる事が、意識下に分かっているからだろう。支配による構図が、武力から資本に変わり、資本は就労契約に細分化されヒエラルキーを形成し、教育や世襲の弱者を小単位で奴隷化する。国ごとにも存在したこの構図は、資本主義とグローバル化によって、個人単位の世界戦になっている。だから、人生の大半を疑問に感じもせず当たり前に労働に費やす。奴隷化せぬためのセーフティネットが主義転換には必要だ。

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2024年06月23日

Posted by ブクログ

ちょっと前の経済や資本主義の話でしたが、仮想通貨やGAFAの弊害等を学べました。

まだまだ無知なので、学んでいこうと思います。

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2024年08月04日

Posted by ブクログ

ギャラウェィのGAFA批判は、興味深かった。利用者が増えることでより多くのデータが集まるネットワーク効果は、確かに莫大な利益を産むと思いました。

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2021年06月30日

Posted by ブクログ

五人の対談が特集される中、ほぼ皆が仮想通貨とトランプ大統領について語っているのが印象的。

特に仮想通貨を開発者であるホスキンソンの話は理解しやすい。何のこっちゃわからない状態だったが、仮想通貨が作られた背景や目指すもの、またブロックチェーン技術の一端の一端は理解できた。それだけでも価値があるかな。
続いて、仮想通貨に対して懐疑的な意見を持つティロールの対談が載せられているのも良い。
政府の介入がない自由な通貨の可能性と、自由すぎるが故に危険性があり制約すべきだと言う意見それぞれが聞けるので面白い。

一方、GAFAについて語るギャロウェイの話は余りピンとこない…
the fourも読んだけどなんだか当たり前の事をそれらしく言ってるだけに感じて。考察に深みが無いと思ってしまう。苦笑

後、ガブリエルはこのシリーズで知ったけど相変わらず主張が難しい…
この話についていくには自分の脳味噌だと、後3回は読み直さないといけなさそうです、ハイ…

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2021年03月15日

Posted by ブクログ

このシリーズは知識欲を刺激したいときに丁度いい読み物だと思う。経済学者、哲学者が考える現在の問題と解決案は新しい視点を与えてくれる。生活の質は確実に向上している。だけど人は幸せを感じない。過去に起きたことと現代の問題では性質が違う。全人類が今より多少マシになるにはどうすればいいのか、興味が尽きない。

だからこそ、このシリーズに出てくるスピーカーにもっと多様性があればもっと優れた本になるのにとおもう。

言い方が悪いが、研究する環境に恵まれた人たちの集まりという偏りがあるように見える。確かにそれぞれの生い立ちを見れば様々なバックボーンがあるだろうが、実際この世に生きてる人たちはもっと多様だ。知識を持った人間だけで経済の話が完結するとは思えない。

人は自分が経験していない出来事を知ることは出来ても自分の事として理解することはできない。だから多様性が必要だと思っている。男性、女性、富裕層、貧困層、健常者、障害者、難民、権力者、老人、青年、子供…それらのミクロな経済の視点を知らずにマクロが語れるのか。たしかにそれら全てを網羅することは不可能に近い。だからこそ偉大なる知識人たちにはその不可能に挑んでほしい。

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2021年01月16日

Posted by ブクログ

今の資本主義がいい意味で機能していないという方に結論が傾いているだろう。そして、今の資本主義というシステムが、これからも同じように存在し続けることもない。今ままではなく、変化したシステムになる。なる必要があると。
例えば、GAFAは市場を独占的に覆い尽くしている。これから何年もGAFAによって、「新たな(イノベーションの)芽が摘まれてしまう」「市場による自由な競争が成立しない」状況や影響力を持ってしまうことにになれば、政府から規制をかけなければならない。しかし、ビッグデータ、AI、ブロックチェーン、などのテクノロジーは世界を救済する手段にも、脅威をもたらすものにもなり得るなかで、歴史は浅く、どう規制をかけるべきか、正解も最適解も導くことが難しい状況なのは確かである。

経済学だけでなく、社会学、心理学、生物学、法学、歴史など、さまざまな分野の知恵を結集し、今は資本主義の行く末を考え、再構築しなければならない段階に来ている。
この状況は、哲学者や経済学者だけが問題意識を持つものではない。一般消費者としても、ビジネスパーソンとしてでもある私たちも、これからが変わり続ける世の中で生きていくために、本当の個人主義を理解して、考えていこう。

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2021年01月08日

Posted by ブクログ

少し期待外れだったかな。。
それぞれすごい人にインタビューしてるんだけど、残念ながら紙面が限られるため、浅い内容になっている。勿体ない感じがした。
各学者さんの本をそれぞれ読んでみようと思い、まずはハイエクの「隷属への道」をポチッとしてみました。

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2020年06月03日

Posted by ブクログ

世界最高峰の知性が、未来をどう語るのかが、興味があり読んでみた。資本主義、AI、仮想通貨、民主主義、自由、そして人間の倫理と哲学が絡み合う。

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2020年04月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これからの時代を読み解くうえで、とてもヒントになると思った。
スコット・ギャロウェイの、GAFAが人間の基本的な欲求「神、セックス、愛と消費」に対応している、という論は、やや強引なこじつけのように感じた。
ユヴァル・ノア・ハラリの「AI時代に守るべきは仕事ではなく人間だ」は、なるほどと思った。
このシリーズの他の本も興味がでてきた。

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2020年01月04日

Posted by ブクログ

欲望の資本主義の第三巻目である。欲望は資本主義を発展させるとともに、それが行き過ぎれば停滞も崩壊も齎らすのだ。そのメカニズムとその未来を世界の識者に聞いたのが本書である。インタネットの普及が正にその功罪の原因となり、未来のことは識者の中でも意見は分かれる。ビットコインについても、その推進者は、国の規制が外れることによって、より自由な経済活動が可能になるとし、一方哲学者は、いずれ失敗するだろうとの見解だ。哲学者によれば、インタネットの普及によりフェイクニュースや詐欺などの欺瞞が横行し、為政者の虚偽や隠蔽工作が加速すると予測している。実はその現象は、すでに現実となって表面化しているのだ。アメリカのトランプ、イギリスのボリス・ジョンソン、フランスでの極右政党の台頭、そして我が国の現状である。哲学者の言うように、民主主義の危機が迫っているのだろうか?

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2019年08月31日

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