藤井一至のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
今までありそうで(あったかもしれないが)見つけられていなかったテーマ。いろんな分野の先頭を走る研究者が各々愛する論文を語るという、極めて興味深く面白かった本。各々の研究テーマが違うのはもちろん、各々の研究者の感性や語り口がそれぞれ全く違っていたのも面白かった。一般向けに少し噛み砕いてくれている人もいれば、専門用語もりもりで愛が溢れている人もいた。どちらも素晴らしいと思う。いわゆるオタク文化にも通ずるところがあると感じた。専門家から見た「私見を含んだ」サイエンス的エッセイは非常に面白かった。
大学時代を振り返ると、論文を読むのは嫌いではなかったし、面白かったがやはりどこかタスクの一つになっていて -
Posted by ブクログ
「生物学者なら遺伝子から40億年の生命史を、地質学者なら鉱物や化石から5億年の大地の歴史を私よりうまく語るかもしれないが、土の研究者が語る違いは、これからの生活に生かそうとする執念にある」(P182)そもそも「土の研究者」って光を浴びたことがあるかな?砂漠の緑地化のプロジェクトでは植林の専門家が、農地の土壌改造には農業の専門家が、出てきたような印象、「土の専門家」という存在を初めて知ったかもしれません。その専門家が「土は人間に作れない」とはっきり宣言するのに動揺しました。命でさえ実験室で埋めれるかも…という時代に、足の下の誰も知らないワンダーランドの扉を開けてもらったような気がします。そもそも
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Posted by ブクログ
土ってなんて複雑で面白いんだ…!面白かったんだけど、今まで知らなかったことが多すぎて、書いてあることの全てを理解できたとは言えない。46億年間地球の環境が変化しつづけているのは様々な循環や反応や蓄積の結果だということが分かったけど、どう変化してきたかテストで書けと言われたら書けない。ともあれ、そうして変化してきた今生きてる地球の環境は人間にちょうど良くなっている。けれど、人間自身の活動で二酸化炭素の循環のバランスを崩してしまうと酢酸からメタンを生成して酸素欠乏に陥らせたメタン生成古細菌のように地球環境を激変させてしまう可能性もあるのだなと思った。
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Posted by ブクログ
大変面白かったです。
結構、世界観、モノの見方が変わり得る1冊でした。
著者の言葉を借りれば、本の前半は研究者目線のお話で、かなりワクワクしました。5億年前からどうやって土が生まれて、生命と共に進化してきたのか語られています。
後半は専門家目線で、人の営みと土との関わり、現代の環境問題についても語られています。
土がこんなにも多様で、気候、岩などの無機物、植物や動物、人間の営みと密接で、変化している、させられているのだと、理解できました。
環境問題では、思いもよらない所で、土にも深刻な影響を与えて、後戻りできない状況にもなっていますね。
最善最高だと個人的に思ってる手段が、論理的に正当だと -
Posted by ブクログ
「人間に土を作ることができるか」という問いを掲げ、作るためには理解しないといけないと、土の誕生と進化を解き明かす本である。まず土とは何か、土とは岩石が崩壊して生成した砂や粘土と生物遺体に由来する腐食の混合物である。そのうち粘土は、アルミニウムやケイ素などからなる結晶構造を持つ鉱物で、生命のゆりかごでもあるという。そして、5億年前に植物が陸地に上陸して生物遺体が加わり、ついに土が誕生した。土は、今も多様な粘土と無数の微生物が相互作用する複雑なシステムとして進化している。しかし、人類は土を消費し続けてきた。著者は、インドネシアで土の再生に取り組んでいる。土は人類の危機を警告し、未来への希望も語る。
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Posted by ブクログ
ネタバレ「土」について、生物にとって重要だろうとは認識していたが、生命の誕生、動植物の進化と絶滅、人類、文明の栄枯盛衰に密接に関係していると考えたことはなかった。
本書では、「土」とは何か、どのようにせきたのか、から、生命の誕生、植物の進化、動物の進化、人類の進化、文明の栄枯盛衰を土との関係から解説し、土を作る試みまで幅広く論じている。
土とは「岩石が崩壊して生成した砂や粘土と生物遺体に由来する腐植の混合物」である。
現代の科学技術をもってしても作れない二つのものが「生命」と「土」。
一見地味な学問である「土」の研究だが、地質学はもとより、生物学、化学の広範な知識と豊富な現場経験をもとに読みやすい科学 -
Posted by ブクログ
土が岩石からの砂と生物(植物もそう記載)の有機物≒遺体が分解されたものが混ざったものであり、その地域の環境により12の大分類に分けている。
粘土集積土壌、強風化赤黄色土、オキソシル、ポドゾル、黒ぼく土、水田土壌、チェルノーゼム、若手土壌、泥炭土、永久凍土、未熟土、砂漠土
日本の土は若手土壌、黒ぼく土。高温多湿で土の中の生物の活動が活発で、土が生まれやすいが、二酸化炭素を多く放出するため酸性度が高く、必ずしも肥沃な土壌とは言えない。ここは石灰により中性にするとよく植物が育つ。水田土壌も水を引き込むことで中性になり、鉄についているリンが還元されることで肥沃な土壌になる。
一番肥沃な土壌はチェルノー -
Posted by ブクログ
すごいです!
現代の科学技術をもってしても作れない二つのもの、
生命と土。
このキャッチーな帯のコピーに誘われて、
手軽な薄さのブルーバックスを開いて、
ところどころにオヤジ的語呂合わせが散りばめられている読みやすい文章、わかりやすい例えに助けられて
なんとか本のあとがきまで流れ着きました?
今まで考えたこともなかった
土の歴史や正体を教えてもらいました。
粘土が生命誕生に深く関わっていた、という話も
壮大で本当に楽しかったです。
窒素がほしいとか、カリウムイオンを動物は求めるとか、自分不器用なんで自覚したことないですが、
そんな話のあれこれがとってもとっても面白かったです。