藤井一至のレビュー一覧
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『土と生命の46億年史 土と進化の謎に迫る』(ブルーバックス)は、現代科学が未だにゼロから作り出せない二大要素——「生命」と「土」——の共進化を、大きなスケールで描く。
「土」を触媒とした地球システム系の再構築
1. 「土」を化学反応の場(リアクター)として捉え直す
土壌とは単なる「泥」ではない。岩石由来の無機物(粘土鉱物)と、生命由来の有機物(腐植)が高度に混ざり合った「地球最大のバイオリアクター」だ。
著者は、初期地球の粘土鉱物がアミノ酸の重合を促進した可能性から説き起こし、生命誕生の舞台としての「土(粘土)」の物理化学的特性を鮮やかに提示している。
2. 5億年の共進化:生命が土を変 -
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AIに聞いたところ、オタクとは、アニメ、漫画、ゲーム、アイドルなど特定の趣味分野に強烈なこだわりを持ち、時間や金銭を極端に費やして深い知識や情熱を持つ人を指すらしい。趣味、ではないが特定の分野に強烈なこだわりを持つ面では研究者もオタク気質なのだろう。オタク達が自分の推しを語る際の勢いは凄まじい。5W1Hを駆使して推しの尊さを押し出してくる。多分、相手に伝えたいのではない、語りながら自分の中で推しの尊さを整理している。この本に登場する研究者達もそんなオタク達だ。自分の愛する分野での推し論文をピックし、尊さを語っている。研究分野も、文章から覗く著者の性格も、どれも多様だけど、愛する論文のために筆を
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【感想】
森と土は、栄養をめぐって延々と戦いを続けている。樹木は「酸性化していく土壌からいかに栄養分を摂取するか」を、5億年もの間徹底的に突き詰めて来た。
また人と土も、耕作と土壌の酸性化の間で延々と戦いを続けている。農業は酸性雨の10倍以上の影響力を持っている。土の栄養を吸い上げて作物を育て、それを収穫しているのだから、栄養素は大地に還元されず、徐々にやせ細っていく。
本質的に、農業は地球に悪影響なのだ。それでも人は、さまざまな形で土の肥沃度を維持するように努めてきた。その努力の歴史が、一万年もの間人類を大地の上で生かし続けている。
本書は、土壌が誕生してからの五億年を追った歴史書だ。同時 -
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土が誕生して5億年ということを初めて知ったが、本書は、そんな5億年にわたる土と生き物たちの関係、相互に影響してきた歴史を、世界の様々な地域を巡りながら解説してくれる。
例えば、土壌の酸性化ということを良く聞くが、どうしてそうなるのかという化学的メカニズムや、農耕、栽培作物への影響などについて多くを知ることができた。(もっとも化学式やpHについての知識はだいぶ疎くなってしまったので、どこまできちんと理解できたかは怪しいが)
「第4章 土のこれから」では、私たちの便利で豊かな日常生活や食生活が、世界の農業により支えられていること、そうした需要に応じ現金収入を得るため、現地住民は熱帯雨林 -
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ネタバレ土 地球最後のナゾ
100億人を養う土壌を求めて
著者 藤井一至(かずみち)
2018年8月30日発行
光文社新書
地球温暖化のニュースで流れる氷河が海へと倒壊する映像は、氷河が成長して押し出された縁の部分が陸地の支えを失って崩壊しているだけで、温暖化で融解しているわけではない。
この本で最も印象に残る一文。バブル象徴映像として、バブル崩壊後にオープンしたジュリアナ東京の映像が流れるのに似ている。
著者は、土の研究者で、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所主任研究員。NASAが本気で目指す火星への入植。注目される火星の“土”よりも、100億人を養える足もとの土の可能性にもっと