藤井一至のレビュー一覧
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「生物学者なら遺伝子から40億年の生命史を、地質学者なら鉱物や化石から5億年の大地の歴史を私よりうまく語るかもしれないが、土の研究者が語る違いは、これからの生活に生かそうとする執念にある」(P182)そもそも「土の研究者」って光を浴びたことがあるかな?砂漠の緑地化のプロジェクトでは植林の専門家が、農地の土壌改造には農業の専門家が、出てきたような印象、「土の専門家」という存在を初めて知ったかもしれません。その専門家が「土は人間に作れない」とはっきり宣言するのに動揺しました。命でさえ実験室で産めれるかも…という時代に、足の下の誰も知らないワンダーランドの扉を開けてもらったような気がします。そもそも「土とはなにか。」さえ知りませんでした。今、現在、人間が作れない二大オブジェクト、土と生命…『土と生命の46億年史』売れているのを納得しました。特に第5章「土が人類を進化させた」第6章「文明の栄枯盛衰を決める土」第7章「土は作ることができるのか」と続くラストのドライブ感は新しい感覚を与えてくれます。読み終わって聖書において神が土からアダムという命を作ったという物語と循環しているような気分になりました。宇宙というマクロでもなく量子というミクロでもなくミドルサイズの日常生活のサイエンス、面白い!家庭菜園のプランターのオクラの大宇宙、大神秘!
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Posted by ブクログ
土ってなんて複雑で面白いんだ…!面白かったんだけど、今まで知らなかったことが多すぎて、書いてあることの全てを理解できたとは言えない。46億年間地球の環境が変化しつづけているのは様々な循環や反応や蓄積の結果だということが分かったけど、どう変化してきたかテストで書けと言われたら書けない。ともあれ、そうして変化してきた今生きてる地球の環境は人間にちょうど良くなっている。けれど、人間自身の活動で二酸化炭素の循環のバランスを崩してしまうと酢酸からメタンを生成して酸素欠乏に陥らせたメタン生成古細菌のように地球環境を激変させてしまう可能性もあるのだなと思った。
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大変面白かったです。
結構、世界観、モノの見方が変わり得る1冊でした。
著者の言葉を借りれば、本の前半は研究者目線のお話で、かなりワクワクしました。5億年前からどうやって土が生まれて、生命と共に進化してきたのか語られています。
後半は専門家目線で、人の営みと土との関わり、現代の環境問題についても語られています。
土がこんなにも多様で、気候、岩などの無機物、植物や動物、人間の営みと密接で、変化している、させられているのだと、理解できました。
環境問題では、思いもよらない所で、土にも深刻な影響を与えて、後戻りできない状況にもなっていますね。
最善最高だと個人的に思ってる手段が、論理的に正当だと思っていることが、実はそうでもなくて、生命は、世界はもっと複雑な有機体ですよと、この本から、土から教えてくれています。
私たちが普段の思考から抜け落ちている事、領域に踏み込んでいく、科学的に明らかにしていく研究は大変意義深いと思います。多方面でそのような研究が必要で、議論が必要だとよく分かります。
著者の事は、YouTubeのゲームさんぽというチャンネルの、スターウォーズのゲーム中の惑星の土を観察してみるという動画で知りました。こちらも面白かったです。
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Posted by ブクログ
土が岩石からの砂と生物(植物もそう記載)の有機物≒遺体が分解されたものが混ざったものであり、その地域の環境により12の大分類に分けている。
粘土集積土壌、強風化赤黄色土、オキソシル、ポドゾル、黒ぼく土、水田土壌、チェルノーゼム、若手土壌、泥炭土、永久凍土、未熟土、砂漠土
日本の土は若手土壌、黒ぼく土。高温多湿で土の中の生物の活動が活発で、土が生まれやすいが、二酸化炭素を多く放出するため酸性度が高く、必ずしも肥沃な土壌とは言えない。ここは石灰により中性にするとよく植物が育つ。水田土壌も水を引き込むことで中性になり、鉄についているリンが還元されることで肥沃な土壌になる。
一番肥沃な土壌はチェルノーゼムであり、ウクライナ、北米プレーリーの土壌。中性で、粘土と植物遺体が程度に混ざっている稀有な土壌である。 -
Posted by ブクログ
ノンフィクションで、目から鱗がぼろぼろ落ちる本がたまにあるのだが、これはまさにそういう本だった。
「土」という観点から自然科学だけでなく、歴史や文化、環境問題まで見るなんてことを、なかなか考えつく人も書ける人もいないと思う。以前稲垣栄洋の『イネという不思議な植物』にも似た感想を持ったが(実際重なるところもあった)、よりスケールが大きく、深く、詳しかった。稲垣さんのは中学生にもわかるように書いてあったが、こちらはもう少し難しい分、面白さも深まっている。読めるなら中高生にもおすすめしたい。
世界に分布する土は大陸移動によって説明できるとかはまだ「なるほど」レベルだが、大河に近い乾燥地が一番肥沃だとか(四大文明は皆そこから始まっている!)、焼畑農業は人口が少なければ持続可能で理に叶った農業であるとかは本当に驚いた。
「酸性土壌」をどう克服するかが、人類の歴史と言っても過言ではないということがわかった。
ハーバー・ボッシュ法とか大豆の窒素固定とか、これまで知識として点で存在していたことが、歴史や文化と一気に繋がって形になったように感じた。
文庫なのに写真や図版を全てカラーで入れた山と渓谷社は偉い!本体価格1,100円は納得。
(藤井先生直筆の絵もカラーで載っていてちょっと「ふふっ」となった)
こんな面白いものを(読めるのに)読まない人は損してるなと思う。それほど良かった。 -
Posted by ブクログ
知らないことばかりでした。よんでいて、自分自身植物の進化に疎いことがよくわかった。
1.土ができたのでのは5億年前。(それまでは無機物だけの岩、砂礫)
2.ダーウィンは土壌の研究をしていた。
3.日本の土をドイツ人研究者に見せると、それは土ではないと言われる。
4.シロアリはアリではなくゴキブリの仲間。
5.柏木由紀のシングルデビュー曲は火山灰だった。
6.植物は有機物からではなく無機から栄養を得ている。
7.カブトムシの幼虫の胃は強いアルカリ性で、セルロースを消化できる。
8.ブラキオザウルスの主食は針葉樹アロウカリアの葉であったが、現存する爬虫類で針葉樹を、食べるものはいない。
などなど。 -
Posted by ブクログ
痛快な本だ。学問するのは、楽しいと思わせる。世界中をスコップを持って飛び回り、蚊に刺されながらも土を掘る。そこで、土の何かを発見する。まさに、学問は現場にあるのだ。
人口爆発、食糧危機、環境破壊、砂漠化、土壌汚染。土は、地球最後の謎と言われている。
藤井一至は100億人を養う土壌を求めるのである。土だけで、これだけ楽しく語るのは素晴らしい。世界の土壌には大まかに分けて12種類ある。大まかに分けると黒い土が三つ。赤い土が一つ。黄色い土が一つ。白い土が二つ。茶色い土が一つで、残りは、凍った土、水浸しの土、そして何の特徴もないのっぺらぼうの土。まさに、多様な土が存在する。
とにかく、12種類の土を、スコップで掘って確かめるのだ。地球上で、最も肥沃な土地が、チェルノーゼムだと言われていた。それは、私もそう思い込んでいた。チェルノーゼムは、①黒海からウクライナのチェルノブイリ辺りで、ウクライナが世界の30%が集中している。ロシアの侵攻は、豊かな土を欲しがった。 ②北アメリカの五大湖近辺から南北に貫くプレーリー、③南アメリカのアルゼンチンにあるパンパである。チェルノーゼムは、黒い土なのだ。 日本の黒い土や泥炭土に比べて、ずしりと重い。粘土や砂の粒子を覆うように腐食がくっついている。土は中性である。プレリードッグ、ジリス、ミミズが土を掘り返している。それでもチェルノーゼムは毎年1センチメートルづつ減少している。
ところがである、農作物が一番とれ、そして人口密度が高いのは、黒ぼくの土だった。甲子園の高校球児の白いユニフォームを黒く染める土。松尾芭蕉も「足袋 ふみよごす 黒ぼこ土」と詠んだ。黒ぼこ土は、北海道から東北、関東、九州に至るまで全国に分布している。その分布は、火山や温泉の分布と一致する。土が黒いことは、腐食の多い肥沃な土の証しだ。実は、チェルノーゼムより腐食が多い。(知らなかった)結局、CO2が一番蓄えられているのが黒ぼく土だった。
チェルノーゼムの腐食と比べて、黒ぼく土は10倍の埋蔵量だった。素晴らしい。
日本は、国土の70%が森林で、黒ぼく土は30%ある。ある意味ではCO2を一番蓄えている国でもある。黒ぼく土の発達が異常に速い。平均すると1万年の間に1メートル、100年に1センチメートルの厚さができる。これは南米やアフリカのできるの10倍速なのだ。縄文時代の人々が暮らしていた1メートル下の地面から盛り上がってきた。年中湿潤で温暖な日本生まれ、日本育ちなのだ。食べ物が腐りやすい気候は、土壌の微生物が旺盛なのだ。レタスがたくさんとれる野辺山高原サラダ街道は、縄文時代からの土の作り上げた土だったのだ。黒ぼく土は落ち葉が一年もすれば跡形なくなる。チェルノーゼムでは、五年経過しても落ち葉の半分が残存する。水が足りなく、微生物が働かないのだ。
人口増加の時代に、人口減少する日本の土が、一番人間を養うことができるのだ。
結局、腐食の多い黒い土と雨が多く降る地域が人を養うことができ、また水田が連作障害が起こらない農法だった。
この土を巡る物語と人口100億人を養う土が日本の土だったという結論は、大きな希望を持たせる。この土を大切にしていないなぁと痛感して、地球規模で土を巡る研究が旺盛になされていることに、藤井一至の大きな活躍の意味があった。いい本を読んだ。そして、いい気づきがたくさんあった。もう一度土をしっかり見つめて、土の期待に応えよう。 -
Posted by ブクログ
1012
「地球にしか土がない」というのは、勉強を始めたばかりの頃、私にとっても意外だっ
私たちは、記憶や愛が〝風化〟すると 喩えるように、風化=劣化・消失と捉えがちだが、風化はただ岩を分解するだけではなくて、そこから土を生み出す現象を含んで
まだ見ぬ世界には農業に適さない土があるという。北欧が一例だ。サンタクロースの故郷であるフィンランドは、寒冷で肥沃な土壌も少ない。フィンランドの人々は、なぜ自分たちの祖先がフィンランドを選んで定住したのか? と自分たちの生活を面白おかしく笑いの種に
フィンランド人の起源は明確ではないが、岩と沼地が多いという土に関する記述は正しく、凍っていない湖さえあれば水泳をしようとするフィンランド人の習性は今も健在である。プータロと呼ばれるサウナ小屋と湖を行っ���り来たりする。断っておくが、現在のフィンランドは、世界で最も教育水準の高い国の一つで
緑豊かな熱帯雨林とハイビスカスの花のように赤い土壌。コントラストが鮮やかな景色はエキゾチックだが、赤色の土なら日本にもある。それも東京都だ。山手線を浜松町で降りてフェリーに乗り継いだ1000キロメートル先、小笠原諸島で
チガヤは日本でも道端に生えているイネ科の雑草だ。窒素やリンは乏しいが、カリウムを多く含む。乾いた草原はしばしば火事を受け、その灰が土に加わる。そこには再び、チガヤが育つ。圧倒的な生命力
私の専門は、土壌学という。研究対象が地味な上に、私自身アピール力に自信はない。「裏山の土の成り立ち」を研究する若者にはスポンサーが不可欠だ。研究費がなくなり、にっちもさっちもいかなくなって恩師の研究室に電話をすると、こちらが話す前に「ナンボ足りんの?」と迎えてくださった小﨑隆京都大学名誉教授(現・愛知大学教授)には、感謝の言葉もない。恩師は、近く国際土壌科学連合の会長として「国際土壌の 10 年(2015~2025年)」の旗振り役を務める。「先生はいつ電話がかかってきてもよいように準備されていましたよ」と秘書の方から伺い、スコップを持つ手にも力が入っ
フィンランド人の起源は明確ではないが、岩と沼地が多いという土に関する記述は正しく、凍っていない湖さえあれば水泳をしようとするフィンランド人の習性は今も健在である。プータロと呼ばれるサウナ小屋と湖を行ったり来たりする。断っておくが、現在のフィンランドは、世界で最も教育水準の高い国の一つで