滝本竜彦のレビュー一覧
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いわゆるジャケ買いでした「筋肉少女帯小説家計画」。
表紙は漫画家の藤田和日郎さん。彼をはじめとして、多くの創作に関わる人々にファンが多いのは知っていたけど、本家である筋肉少女帯の歌を聞いたことはあんまりないです。アニメ「うしおととら」のOPぐらいか。
興味はあれど、聞く機会を求めてこなかったので、聞くきっかけになるかな、と思って購入しました。
10代というか思春期が感じる違和感、疎外感、万能感、危機感、無敵感、嫌悪や潔癖、夢想に妄想、強圧や抑制、純真に偽悪、憧憬に共感、拒絶と承認。そういったもののごった煮の中から、その時の、初めて聞いた時の自分が一番欲しがっていたもの、共感できるものを見出 -
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「・3000年 プレステ200が発売される。千二十二歳になった俺は最新のプレステで遊ぶ。」
イメージは現実化する。
千年後のイメージを実現できたので、俺は千歳まで生きれる。
お、おう・・・
先日、令和の時代に!?と驚きのNHKにようこそ!が刊行された。
続いての超人計画。
どういうことだってばよ。
筆者本人が一人称として語られる本作は、エッセーなのか?どこまで本気なのか?
脳内彼女と川崎の汚いアパートで暮らす滝本竜彦は超人になることを計画する。
精神的に超人になる。
超人になるためにアパートの外に出ては、逃げ帰る日々。
ある日、バイト先で出会った女、青山が超人 -
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岬ちゃんのカウンセリングから20年、この時間は佐藤君に何をもたらしたのか。
デジタルガジェットの進化は引きこもりの闇をさらに深い混沌に引き込んだ。
20年の間に佐藤君はスマホにVRゴーグルを手に入れ、エロ動画を漁る毎日。
ドラッグはネットで手に入り、承認欲求を求めて闇深の動画を情報の海に投棄する。
佐藤君と山崎でタッグを組んで催眠音声動画作成に取り組み、
先輩は自撮りエロ動画をせっせとポルノサイトに登校する。
そして、不登校少女の岬ちゃんは相変わらずカウンセリングと称して佐藤君を夜の公園に呼び出す。
ただひたすら、この毎日を続けていたい。
続編ではない、このメンバ -
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☆4.5 実在する生なましさ
『鬱の本』を読んだら、『NHKにようこそ!』に共感した、救はれたといふ人がをり、また作者の滝本氏もすごい文章を書いてゐたので、読んでみた。
饒舌なモノローグ文体がつづくが、テンポとリズムがよくて読みやすい。展開もご都合主義だけど、気にならない。主人公はお先真っ暗と思うてるんやけど、文体が陽気。
隣の部屋のアニソンがおジャ魔女どれみだったり、主人公がナディア世代だったり、滝本の実体験だらう。だからこそ、ひきこもりを自虐的におもしろ可笑しく書けるのだらう。
主人公も山崎もみんな表現に生なましさがある。私も大学時代の人間関係を思ひ出した。
なにより凄みが -
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ネタバレ確か新聞で紹介されてて知った本。2002年発行と意外と古い本だった。なので、表紙が違ってて残念。確かにこの頃引きこもりは流行っていた。私が勤めたとこでも引きこもり対策をやっていたのに、3年後にはもう下火だったもんな。移り変わりの早さよ。しかし、今や私も立派な引きこもり。夢がかなったわ。すごいポップな口語で書かれてて、奇しくもちょうど前に読んでた「嫌いなら呼ぶなよ」と一緒の感じ。なら、これも純文学なのか。全然聞いたことない初読みの作家さんだったのと、あとがきで自分のことのようで恥ずかしいと書いてあったので、生きてるか心配になって珍しく調べちゃった。生きてて良かった。しかし、今も苦しんで引きこもっ
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購入済み
立ち上がるリアリズム
主人公は割と普通にいる感じの青年。統失的なネガティブ思考が少々目立つものの、こういう人間はいる。多くの人が自分の中にも大なり小なり見いだせる存在だと思う。
ヒロイン(?)の岬ちゃんは、どこか捉えどころのない少女。とはいえその実、最後まで読んでしまえば、分かりやすい設定の「(境遇は特殊で哀れではあるが)普通の少女」でしかない。しかし、主人公の岬ちゃん(と他者)に対する興味の無さが、岬ちゃんを不思議少女に仕立て上げている。
主人公のありようはどこまでも臆病かつ現実的で、岬ちゃんというヒロイン候補がラノベ的なイベントアプローチをしかけてきても全くなびかず、ただただひきこもるばかり。自分から -
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「21世紀の太宰治」こと滝本竜彦のエッセイ。イタすぎて面白い。馬鹿さ加減に愕然としながらも時折ハッとさせられ、ダメさ加減に我が身をも投影する。
ある意味でレイちゃんの純愛物語ともとれる本作、エッセイなので何か特別なオチがあるというわけでもなく、ちょっと尻切れとんぼで終わるのが気になった。まあエッセイなので、作者が生き続ける限り超人ロードは続いていくのだものな。これはこれでいいのかも?
キノコの話ら辺が一番面白かった。
ちなみに作中の、バリ島でキノコオムレツを食べてパニック障害になった「滝本さんが尊敬するあるアーティスト」とはおそらく大槻ケンヂだと思われる。 -
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ネタバレ「死のう、もう死のう。しかし俺は死なない。なぜならば、今日は天気がいいからだ。」(p46)
この軽々しく死のうと思って、すぐに撤回する感覚は、私にはすっと馴染んできました。「あー死にたい」とか思った直後に、「でも死ななきゃならんほど何か具体的な苦しみがあるのか?いや無いよなあ」となるんですね。
「自分を苦しめている仮想敵。それがNHKの本質だ。」(p303)
自分の中で発生増殖する、漠然とした苦悩。それを仮想敵として名付けるというのは、つまりそれを何らかの実体として見たいということ。実体としての敵がいれば、まだ戦ったり、逃げたり、恨んだりができるから。でも、そんなものは実体としては存在しな