滝本竜彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
サブカルチャー作品には「白痴的な美少女から無償の愛を受ける男性」を主人公とするものが多い。たしかこのようなことを書いていたのは宇野常寛さんだったか。いわゆる「ギャルゲー」から始まり、「美少女」を中心に据える作品は漫画であっても、ライトノベルであっても、そういう傾向が強い。そして、大ヒットシリーズである『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズもその一つであろう。
『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズの主人公、「キョン」は決して嫌われることがない。「白痴的な美少女」から、いわば盲目的な愛を一身に受け、非日常的な日常を過ごしつづける。しかし、それが恋愛に発展することはないし、「キョン」が鼻の下を伸ばすことはない。「キョン」は至ってクールに、斜に構え、「やれやれ」とだけ言う。あくまで、その非日常的な日常に巻き込まれた被害者という立場に甘んじ、一方で非日常的な日常を謳歌するのである。
閑話休題。本作『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』も、多くのサブカルチャー作品と同じく非日常的な日常が描かれている。
ストーリーを非常に簡略化して述べてみよう。平凡であった主人公「山本陽介」は何の前触れもなく、「チェーンソー男」と戦うヒロイン「雪崎絵理」と出会う。「山本陽介」はその後、「雪崎絵理」をフォローするという役割を請け負い、非日常的な日常を過ごすこととなる。
そこだけみれば、「キョン」と「山本陽介」は同じ存在になる。しかし、「山本陽介」は決してクールでもなく、斜に構えることもなく、「やれやれ」とも言わない。むしろ、必死だ。「雪崎絵理」のフォロワーとなったのも自発的、必死に頼み込んだ結果である。「山本陽介」は非日常的な日常の価値を知っている。それに憧れている。それを離したくない。そのような主人公を持つ本作は、それだけで十分な批評性を持つ作品だと言えるだろう。
とはいえ、批評性を持つ作品である弱点もあることに気付かされた。どうしても、その思想を古臭く、一昔前のものと感じてしまう場面もあったのだ。
【目次】
ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ
一章
二章
三章
終章
あとがき
解説 西尾維新
(装画/安倍吉俊) -
Posted by ブクログ
ネタバレタイトルに惹かれて読んでみた。
引きこもりが主人公なので場面展開の少ない
ストーリーなのですが意外と飽きません。
全編に渡って言い訳ばかりで全てを人のせいにする
主人公は人間として最低ですが、憎めません。
おそらく少なからずそういう負の部分に共感できるところが
あるからなのかなぁと思いますが。
「世の中はいろいろと複雑で目に見えるような悪者など、存在しない。」
(本文引用)
単純な悪者というものが存在すればその悪者に立ち向かうという
人生の目標が簡単に見つかるのにというような
感じで書かれていましたが意外と真理かなと思います。
暇つぶしで読むには軽い感じで読めるかなと思います。 -
Posted by ブクログ
ちょっと入れ子構造がややこしくてわかりにくいが、中学生の滝本竜彦入門に最適だろう。
これは純然たるファンタジーだと思うのだけど、地に足の着いたファンタジーは現実の表層を薄っぺらく描いた小説よりむしろ現実に切実に迫ってくる。
相変わらず作者のエンターテイメント作品であろうとする意欲を強く感じたが、今回はそれが作品構造自体をファンタジーの枠組みにしてしまった。この作品は主人公と同じ年代の孤独な中学生読者に向けられた物なんじゃないかな。ただしそのメッセージは「現実なんて幻だから気にするな、でもツチノコを見つけたら全力で追いかけろ」っていう内容だから半分毒なんだけども。 -
Posted by ブクログ
“「ですから、とぐろ巻きです。わかるでしょ?」
「わ、わかんないよ......」
弓子さんは僕を軽蔑した目で眺めて解説した。
「わたしが考えた魔術の初歩中の初歩です。これをすると、眼前に広がる幻影と、視界外に存在するはずの実在、あるいは実在の根底としての光、あるいは無、あるいは空が、クルクルと交互に入れ替わり、その過程で実在と幻影の境界が渾然一体となって、うまくすればわたしに仕掛けられた迷宮魔術から脱出できるという算段です」
僕は眉根を揉みつつ訊いた。
「......で、そのとぐろ巻きはうまくいってるの?」
「ううん、ぜんぜんダメ。幻影の濃度、幻影の実在感が高すぎます。この学校を覆う幻影濃度は、とても通常人が日々互いに用いている無意識的魔術で引き出される類のものではないです。これはきっとわたしを捕らえるために意識的に構築された罠。裏に『種蒔き師』がいるに違いないのだけれど......、いまのわたしではとてもサーチアンドデストロイできません。早く真の自分に目覚めなきゃ、こんな低レベルのとぐろ巻きごときでは、任務完遂など夢のまた夢で......はぁ......困ったわ。これからわたし、どうすればよいのかしら。中島くん?なんとなく直感的に、あなたがそれを教えてくれそうな気がするんだけど、気のせいなんでしょうか?気のせいだったら、どうすればいいんでしょうか?何もかもわかりません」
「............」
そんなこと言われても困るが、ともかくこっちを見た弓子さんは、その不気味なとぐろ巻き儀式をやめてくれた。
しかし......肩を落としてしょんぼりしている。
つんとつつけば、泣き出しそうだ。
弱っているらしかった。”
トリップのような精神状態が出たり美少女が出たり。
滝本さんらしいなぁって。
吸血鬼のところは思わずふいた。弓子さーん。
最後はやっぱり切ないというか、虚しさを感じた。
“「違う、僕はそんなこと」
「ならばその娘を突き飛ばせ!そして黒川慶を望み通りにさせてやれ!人々から太陽を奪え!だがそうしたら一年もしないうちに全人類は彼女の仲間になるぞ!」
僕は助けを求めて弓子さんを見た。
弓子さんはとぐろ巻きを完成させるため、右足を前に踏み出そうとしていた。
だが弓子さんの動きは深海で揺らめく海草のようだった。
引き延ばされた時間の中で自由に動きまわれるのはあの男だけだった。なぜか男は僕の決断を待っていた。このまま慶ちゃんを病院送りにするのか、あるいは全人類をきゅうけつきにするのか、この二者択一の答えを男は待っていた。
「早く決めろ」
「......嫌だ!わからない!」
「君は卑怯者だ。決定権は君にあるが、君は選択を放棄しようとしている。責任を負うことを恐れている。このまま黒川慶を見捨てるつもりか」
僕の右腕がピクリと動いた。
その手は弓子さんの背中を突き飛ばそうとしていた。
だが、またも男は叫んだ。
「それでいいのか?二度と太陽を拝めなくなるぞ!世界はめちゃくちゃだ。本当に君はそれでいいのか!」
指先が弓子さんの背に触れかけたところで、僕はためらった。
助けを求めて男の顔を見た。
帽子に隠れているので口元だけしか見えない。
口を開かず彼は言った。
「そうだ、決断などできるわけがない。ためらい悩む君が正しい。そしてすべての葛藤は我らの視界を覆うこの幻影より生まれる。その幻影を吹き払う風の源はそこにある。取るがいい!」
男は弓子さんの足跡からほんの一メートル外の地面を指差した。” -
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ネタバレ【概要・粗筋】
4年間自宅に引きこもり続けていた佐藤達広(22歳)は、ひょんなことで出会った美少女・岬にひきこみり脱出プロジェクトに勧誘される。が、見栄を張って自分は引きこもりではなく、ソフトウェア開発を自宅でしているのだと嘘をつく。嘘を本当にするために隣に引っ越してきた高校の後輩・山崎とエロゲー作りをすることに。同名小説の漫画化。
【感想】
普通にドタバタ青春オタク漫画として面白かった。「げんしけん」みたいな感じ。
エロゲーの資料として山崎に渡されたロリコン画像によって、ロリコンに開眼(?)してしまった佐藤が、小学校の前で少女たちを盗撮している自分の姿を山崎に撮らせようとするシーン(第二話「ロリータにようこそ!」)と、山崎とアキバのメイド喫茶で理想の女性像を語り、山崎がそれを絵におこしてできあがったヒロイン(第三話「新世界にようこそ!」)に、爆笑。