あらすじ
大学に進学したものの2年で中退、そのまま引きこもりとなった佐藤達弘は、宗教勧誘がきっかけで知り合った高校生の仲原岬という高校生から、思わぬ申し出を受ける。「人生に迷っている若者を救う天使の私が、佐藤君を助けてあげる」。そこから、岬の「ひきこもり脱出カウンセリング」が始まった。夜中の公園で行われる奇妙なカウンセリングと並行して、達弘は数少ない友人の山崎と、成年向けの催眠音声制作を思い立ち、さえない人生の一発逆転を夢想する。そんな中、達弘はVRゴーグルを被りアダルト動画投稿サイトを眺めていると、そこに、かつて所属した文芸部の憧れの先輩の姿が……。達弘の脳が揺さぶられ、自我が崩壊する……。
陰謀論、二世信者、テロ、ドラッグ……来るべく時代の闇をすべて予言していた伝説の青春小説、あの『NHKにようこそ!』が令和の世にリビルドして帰ってきた。現代の闇に抗う術が、物語の形を借りて、今ここに開示される!
【電子版特典】電子版には特典として「新NHKにようこそ!」大岩ケンヂイラストギャラリーを収録!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
佐藤君、岬ちゃん、山崎、先輩、皆が今の時代に再構築され、迷走しつつも心地良い空気を新たに感じられた。20年近く前に初読し、今までに一番読み返した本がこのような形でリビルドされてとても嬉しい。また何年か経ったらリビルドして欲しい。
Posted by ブクログ
2024年に出版された本作。あのNHKにようこそ!のリビルド作品だが、時代性を見事に映し取った作品で、まさに今読むべき作品だ。個人的には、岬ちゃんの担う役割が減った事が印象的、その代わりに山崎くんや先輩に役割が新しく割り振られており、前作の様に漫画化して補完されればまた、面白いプロジェクトななるかもしれない。
Posted by ブクログ
しっかりとリビルドされており、新しい物語になっていた。出てくるガジェットも令和仕様になっている。
佐藤、山崎、岬ちゃん、先輩のあり得たかもしれない別の世界線のお話。主人公が引きこもりなのか?と思うくらい行動力があるようになっているし、岬ちゃんも引きこもりを脱却させようとする気力がなさそう。ゆるやかに続くモラトリアムを感じるダウナーな作品。
なんか読んでて違和感があると思ったら、中原岬→仲原岬など、メンバーの名前が変わってるんですね。続編でもスピンオフでもない、リビルドの意味を感じた。
Posted by ブクログ
最近本を読んでいなかった
あんまり重たい本は読みたくないと思って、本屋に行くと、昔見たアニメの新作が本になって出ていた
これだと気軽に読めそうだし、手に取ってみた
読みやすく、かつ適度な緊張感もあって面白かった
アニメの雰囲気や終り方を台無しにする事なく、かといって無難な展開になることも無く、綺麗にストーリーが進んで行った
麻薬に関して、それが当たり前のようにストーリーが進んでいるのがびっくりだった
作者は吸ってたのか!?
とにかく、あのアニメの独特の雰囲気を保ったままかつ挑戦的な題材で、面白かった
Posted by ブクログ
岬ちゃんのカウンセリングから20年、この時間は佐藤君に何をもたらしたのか。
デジタルガジェットの進化は引きこもりの闇をさらに深い混沌に引き込んだ。
20年の間に佐藤君はスマホにVRゴーグルを手に入れ、エロ動画を漁る毎日。
ドラッグはネットで手に入り、承認欲求を求めて闇深の動画を情報の海に投棄する。
佐藤君と山崎でタッグを組んで催眠音声動画作成に取り組み、
先輩は自撮りエロ動画をせっせとポルノサイトに登校する。
そして、不登校少女の岬ちゃんは相変わらずカウンセリングと称して佐藤君を夜の公園に呼び出す。
ただひたすら、この毎日を続けていたい。
続編ではない、このメンバーで繰り広げられる令和の引きこもり生活。
令和の時代の佐藤君の行く末は。
地獄かよ。
アババアババアババ踊る赤ちゃん人間(ほんぎゃぁ)
Posted by ブクログ
前作の「NHKにようこそ!」を読んだ自分にとっては懐かしくなるような描写がありつつ、現代にマッチした内容になっているので改めて楽しく読めました。
事態を良くしたいのになかなかそうならない佐藤君の心理描写が相変わらず突き刺さった。
Posted by ブクログ
言わずと知れた名作の令和版。主要メンバーはほぼ同じく、先輩の出番が若干増えた印象があった。全然前に進めない主人公だけど、それでも想い人のために(想い人のおかげで、と言っても良いだろう)少しだけ前に進むところは、やっぱり色々と特異ながらも『NHKへようこそ!』が紛れもない青春小説なのだと気付かされる。結局人の繋がりや優しさが人を救ってくれるのだなと。
前作よりはマイルドで、ヒリつくような焦燥感は得られなかったが、それは読み手である自分が不安定な学生でなく安定した社会人に変わったからなのかもしれない。前作や漫画版を読んでヒリついた自分がいたんだなと思い出せただけでも良かった。
Posted by ブクログ
3.5
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続編かと思ったらパラレルだった。旧作と本作を繋ぐパラレルとしての説明が薄く、それが却って本作の独立した価値を象っていた。