水野良のレビュー一覧
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「暗黒の島」マーモの新しき公王となったスパークと、小ニースが中心となる、若い二人の建国奮闘記、という印象です。
これまで、諸悪の根源のように描かれてきていた不毛の土地で、根強く残る「闇」との共存方法を模索ことで成長してゆくスパークの姿は、かつて冒険での出会いと別れを通して成長していったパーンを彷彿とさせます。
むしろ、自分の目の届く範囲のことで一喜一憂していたパーンよりも、君主(領主)として民や領地の事を考えながら自身の行動や決定の一つひとつに思い悩むスパークの方が、ずっと大人びているかもしれません。
かつて暗黒の島を統治していた帝国の復活を目指す勢力との戦いが、このシリーズの軸になるでしょうか。
スパークも領民も、納得のできる国づくりができることを祈りたいと思います。 -
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ネタバレ3作目にして(上下巻なので4巻目ですが)、壮大な冒険譚でした。
それぞれの目標に向かって旅の仲間がいくつかのパーティに分かれたり、最後の決戦の舞台で終結したり、互いに手に入れることをめざして競っていた宝物が火山の中に消えていったり…と、「指輪物語」のオマージュか? と思われるような場面が多々ありました。
もっとも、だからといってこの作品が面白くなかったというわけではありませんが、トールキンの「名作」が長く読みつがれてきた意味や、その作品のもつ圧倒的な影響力を見せつけられたような気もします。
シリーズが始まった時には「正義一直線」の熱血少年だったパーンが今回の冒険を経てまたひとつ大人になったように思います。
ディードリットとの恋愛関係も次回作以降で進展があるかもしれません。
残り2作(3冊)も楽しみにしたいと思います。 -
Posted by ブクログ
第1作目で滅ぼされた「魔王」の部下が、その遺志を継ぐように活動を始める、というストーリー構成も決して珍しいものではありませんが、むしろこの作品が先駆けだったのではないか、とすると感慨深いです。
今のファンタジーで描かれるドラゴンは短い命を持つ人間の愚かさにあきれながらも、意思疎通も可能で往々にして主人公に味方することが多いように思いますが、本作では「魔物」として問答無用で人類に敵対する存在として描かれています。敵役として登場する人間よりもはるかに邪悪で討伐すべき存在として描かれているのは新鮮でした。
このあたりも「多様性(特に生物多様性)」を認めることが当たり前とされる現代と、30年以上前の社会常識の差なのかもしれません。 -
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ネタバレ(5巻上巻の感想からの続き)
そして下巻となる最終巻6巻では冒頭からかつての主人公パーンとディードリット、そしてシリーズを読んでいる人ならばよく知っているある老人が出てくる。そこからシリーズの出演者のオンパレードである。
正に最後の物語に相応しいオールスターキャスト総出演である。これこそやはりシリーズを読み通した者が得られる醍醐味だろう。
いやあ、堪らないね!
パーン、ディードリット、スレインらの成長した姿と自分の成長とが重なるのだから。
さて、私にとってもこのシリーズは長い旅路となり、20年以上親しんだこのシリーズの最終巻を読み終えた今、感慨ひとしおだ。
しかし、これを機会にシリーズをまた読み通そうとは思わない。10代に読んだ頃の感覚と30代(当時)である今、受け取る感覚はやはり違うからだ。それは作者水野氏の筆致にもよく表れている。10代の頃にこの作品に出逢い、胸に得た宝石にも似た感慨はやはりそのまま留めておくに限る。
あとはそう、我が息子が成長した時にこの本を薦めて、同じ想いを得られる事になれば、この上ない悦びになるのだが、果たしてそう上手くいくかどうか。 -
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『ロードス島戦記』、『ロードス島伝説』、そして本シリーズと続いてきたロードス島サーガも本作を以って終焉だそうだ(と書いているが、やはり新シリーズが開幕した)。
最初に読み始めたのが私が確か中学生の頃のことだから、いやはや足掛け20年近くになるわけだ。あの頃、子供だった私が、今では三児の親なのだから、びっくりする。
よく考えてみれば、人生の半分以上の年月だ。
まず本作を読んでいると、映画『ロード・オブ・ザ・リング』の一連のシーンが浮かび上がってくるのが止められない。あの映画こそ、このロードス島の世界を具現化したものであり、トールキンの『指輪物語』が確かに今、世に蔓延る数々のファンタジーの原形であった事をまざまざと思い知らされた気がした。
いやはやイメージの印象というのはこれほどまでに強い物かと思った。それはイラストが美樹本氏に代わっても、未だ読中に思い浮かぶ各登場人物のイメージ像が最初の出渕氏のそれから脱却しきれない事からも明らかだ。
(6巻下巻の感想に続く) -
Posted by ブクログ
ネタバレ久しぶりのロードス島戦記。
今回はマーモ島とロードス島の海峡に現れた魔法船を軸にストーリーは流れる。
タイトルにもなっているこの魔法船だが、これまでの竜退治とかと違ってあっさりと対決は終わる。ページ数も200ページ余りと大変少ない。ともすれば外伝みたいなエピソードと変わらないようだとは感じた。
ただ、本作で語られるニースとスパークとの婚姻、新生マーモ帝国の暗黒騎士団長ネータの死、破壊神カーディス教団の暗躍など盛り込まれる内容は多岐に渡る。本編は次回に続く大きな事件の序章に過ぎないような感じだ。
結末もいささか尻切れトンボで物足りない。ネータの死を知った事でヴェイルの身の振り方が気になるがそれに対しても言及がない。
次作を待てということか。
また今回パーン、ディードリットが登場するも何の活躍もしていない。行間から判断すると今ではフレイムの属国の位でしかないマーモがその影響下を離れてスパーク公王の下でマーモ公国として改めて存在意義を発揮する触媒の役目を果たしているかのようだ。
今後のロードス島戦記は寧ろ冒険ファンタジーものというよりも政治色を強めたファンタジーの色合いを強くしていくのだろう。寧ろそちらの方が興味深い。