おーい、平良くん!「じゃ、またな」は「また会おう」って意味ですよ!なんというネガティヴマシーン!
はい、恒例のみんみんさん印の沼落ちシリーズです♪
最早知らない人は居ないのではないかと思う凪良さん。
『星を編む』の発売を記念して近所の本屋では凪良さんを読んでみよう!のチラシが無料配布されておりました。
そのチラシはちゃんと通常の文芸作品とBL作品にわざわざ分けて書いてあり、その筆頭がこちらの作品でした。
実は当時のアルバイト仲間が、実写ドラマ版の主演の八木さんファンだった為に強制鑑賞会が行われて既に視聴済み。(女子達と鍋を突きながらBLドラマを一気観するというなんとも言えぬシチュエーション)
話の流れは知っていたのですが、原作を読んでドラマもよく出来ていたなあと今更に感心。
とはいえ、やっぱり原作の方が何倍も良かったです。
主人公の平良は吃音症のせいで子供の頃に虐められ、それが原因で高校生になってもいわゆるカースト下位で友人も作れず、お茶の間で流れる学生の自殺に共感して心を痛める毎日。
たまたま川に流されていたアヒル隊長に居場所の無い者同士だと共感してしまう程に暗い日々を送っていました。
読んでいて辛すぎるスタートですが、そんな平良の生活が高校2年のクラス替えで一変します。
たまたま前に座っていたあまりにも美しい男、清居。誰にも媚びず、俺様でクラスカーストの最頂点。そこに群がる陽キャ共。彼らが本当に絵に描いたような鬱陶しい輩共なんですが、清居はつるんでいるものの決して馴れ合わず、たった1人、平良の吃音をバカにしませんでした。むしろ格好の餌とばかりに平良を虐める彼らを制したりします。
ですがこの時の庇った理由も、清居が見ていて気分が悪いからであって別に平良を可哀想だと思ったわけではありません。清居は自分ルールで動くのです。
この事が逆に平良にとっては救いとなり、毎日清居に会う為に清井の為にパシリになる為に(もちろんパシらせてるのは取り巻きです)学校へ行く事が最大の喜びとなるのです。
ストーカーの一丁上がりです。
いや、このキャラ設定が良く出来てるんですよね。構成力の巧みさが光ってます。
凪良さんが「気持ち悪い攻めが好きです」と後書きで仰っていましたが、平良はキモい、暗い、ダサいを兼ね備えており、清居にも「きもい」と連呼されています。
こんなにきもいと言われる攻めが未だかつていたのだろうか笑。
そんな平良が何故、俺様美形である清居の心を動かしたのか。この理由が非常に納得の行くもので、しかも…切ないけど良い!!凪良さんは『汝、星の如く』しか拝読した事が無いのですが、この頃から人間を描くのがお上手だったんですね。取り巻き達の心境の変化もリアル過ぎて、本当に嫌気がさしました。鬱陶しい。(よほど嫌いなタイプだった様子)
清居がモデルのコンテストに出て雑誌に載ったのをきっかけに、この輩共とも一悶着あるのですが、2人の距離も徐々に近付いて行く事に。
友達という程仲良くする訳でもなく、相変わらず平良は下僕のようにストーカーを続ける日々。
焦ったい、焦ったいぞ!!
でもあの清居がちょっとずつ心開いてるぞ!笑ってくれた時なんかは、平良と一緒になって喜んでしまった!
誰も居ない教室で手の甲に…だと?!何だってこう、BL小説にはロマンティックが止まらない案件が多いんだ!
こんなんした事ないわ、来世に期待!!(錯乱)
と、繊細な恋模様を見守っているとあっという間に卒業式。冒頭で書いた「じゃ、まなた」事件が勃発。
平良の最早感心してしまう程のネガティヴ思考のせいで一旦すれ違ってしまう2人。
あー!!なんでこんな事に!と頭を抱えている間に平良がしれっと楽しそうな学生生活を送ってる。いや、良かったんだけどさ…うん…。
となんとも言えぬ気持ちでいたら、恋愛小説に於いて物語を非常に盛り上げてくれる恋のライバルが登場。やはりBL界にも存在しているんですね、こういうかませ犬担当は。良いぞ、もっとやれ。
この辺りで、清居視点の話に変わります。
本作ではこの清居視点の章が1番好きでした。この章を入れるタイミングが最高。色々分かる清居の事実と徐々に変化していく平良への想いが、より深く伝わって軽い溜息が出ました。(それにしても私は読書中、色々と騒がしい)
俺様な清居がじたばたしてるのが可愛かった!
すれ違って、すれ違って、くっついたように見えてすれ違って…
「最初に好きだとか言い出したのはお前なのに、なんでこんな事になってんだ」と嘆く清居に全くその通りだよ!と心で同意していましたが、BLはハッピーエンドのルールは健在でした。良かった。
やきもきした分、本当に結ばれた時はこっちまで幸せな気持ちになりました。
『汝、星の如く』でも思いましたが、凪良さんの文章の読みさすさと自然と登場人物に感情移入できる表現力が素晴らしいです。
どんなジャンルを書いても凄い作家さんは凄いんだなあと、一穂さんや木原さんに続き凪良さんでも実感してしまいました。
これらの作家さんが人気なのも頷けます。
ドラマではもう少し先まで話が続いていたので、次巻は恐らく平良が本格的に写真の修行を始めるのだと思うのですが、凪良さんの繊細な心理描写で読めるのが楽しみです。
みんみんさん、毎回厳選されたシマシマをありがとうございます!
それにしても、恋愛小説をあまり読まないのでロマンタジー(巷で流行らそうとしてるので使ってみた)をBLでばかり補充している私…
ま、良いか!!(前向き)
ー好きにたいした理由はない。だからこそ自分ではコントロールできない。離れたくても離れられない。引力みたいに、問答無用で引かれてしまうー
このような凪良さんの素敵な文章も読めますしね♪