田辺千幸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ミステリの面白い新シリーズを求めて選んだ1冊。
警察官のレイチェルと、クルーズ船の看護師サラのコンビが主人公。とはいえ、実際に行動するのはレイチェルが主。
美人で優秀な警官、レイチェルは、婚約者に突如別れを切り出された。傷心のレイチェルに、豪華なクルーズ船の看護師をしている親友サラからの招待が届く。
美しい地中海をクルーズするのもいい、と応じたレイチェル。
上品な富豪の老婦人と知り合いになり、魅力的な人柄に惹かれて友人になった。そして、婚約者以上にハンサムな男性もいたり。普通なら楽しいはずの旅だが、老婦人を狙ったらしい事件が起きて……。
事件そのものの進行はゆっくりで、犯人かもと疑われる人物も少なく、謎解きも他の方が書かれるようにあっさりしている。堅牢なミステリ、例えば同じくクルーズが舞台のクリスティ「ナイルに死す」などと比べると物足りないかも知れない。
でも、この小説に私は星4をつけた。何故か。
確かに殺人は起きるが、この話、面白いのは作中におけるクルーズ体験と、レイチェルやサラ、友人になる老婦人のマージョリーらの人柄を楽しむ、キャラクター小説としての魅力なのである。
陰惨で怖いミステリ、サイコホラーな狂気は食傷している方や、そもそもそこまで重いのは、いくら面白くてもちょっと……という方にはぴったりのコージーミステリなのだ。
レイチェルは心優しくて慎重だし、サラも親友思い。マージョリーも、こんなおばあちゃまになりたいなって思うような聡明さだ。
ベッドシーンもなく、どこか明るく爽快な雰囲気なのも、娯楽小説としては、とても気持ちがいい。
「あのキャラに会いたい」
「あの雰囲気に浸りたい」
そんな理由で二作目に手が伸びる、そういうシリーズだ。
なにしろ、本物のクルーズに参加しようと思ったら、結構なお金がかかるけれど、このシリーズなら本を開けば乗船できる。
私は、二泊三日の軽井沢旅行、定宿のソファで読みふけった。
ちょうど台風が来ていて雨模様だったのだが、逆にそれをいいことに、たっぷりと豪華な船旅をした。一息ついたら窓の外には緑が濃く揺れている。
深呼吸して、熱いコーヒーを飲む。毛布をかけてソファでうとうと。いい香りだし、気持ちいいし。
それでまた起きて、レイチェルを応援し、マージョリーを気にかけ……行きたかったクルーズを想像する。
最高である。
小難しい名作である必要は、全く無い。
「楽しい」
それもまた、愛されるミステリの、大事な条件である。 -
Posted by ブクログ
貧乏お嬢さまシリーズ、18作目。
お屋敷で、思わぬ事件が…?!
公爵令嬢だが、財産はないジョージー。
愛するダーシーと結婚し、サー・ヒューバート(母の元夫の一人)の相続人として、留守がちな広いお屋敷に住まわせてもらっています。赤ちゃんも生まれて、幸せな日々。
兄嫁が息子をこの近くの学校に入れたいと、視察のためにはるばるスコットランドからやって来る。ジョージーを何かと利用する気、満々?(笑)
王家の親戚で信頼もされているジョージーですが、新国王のエドワード8世から直接、電話が!
シンプソン夫人をしばらく匿ってくれと頼まれてしまいます。二人の仲を公表するタイミングの前に、騒がれては困るんですね。
わがままなシンプソン夫人は不満だし、扱いづらい。
そこへ、ハリウッドから、映画の撮影チームが到来。
サー・ヒューバートが、歴史物映画の舞台にぴったりな建築だということで、引き受けてしまったのです。
人のよいジョージーは、シンプソン夫人の存在を隠しながら、撮影スタッフの勝手な注文に頭を悩ませる羽目に。
ジョージーの母親も現れ、女優なので、出演を依頼されたり。
「王冠を賭けた恋」として有名なロマンスも、英国貴族にとっては迷惑きわまりない事態だったのね~(笑)
事件はがっつり起こり、自分達が暮らしてる場所で、って、けっこうヘビーですね。
だいぶしっかりして来ているジョージー、事件を解き明かして見せますよ☆ -
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時代はヴィクトリア朝時代で、場所はロンドン、人は良いが能力はお世辞にもあるとはいえない警部補に、裏で色々と手を貸している彼の使用人たち……という、なかなか面白そうな設定で、実際面白い。
主人公は警部補を敬愛してやまない家政婦のジェフリーズ夫人、御年57歳という熟女である。シャーロック・ホームズもかくやという頭脳の持ち主である。しかし、彼女は表に出ることを好まない。それは彼女と同じ使用人であるメイドたちも一緒だ。あくまで表に出ているのは警部補である。
謎自体はそこまで複雑ではないし、おそらくそれを重きにおいてはいない。主人公を含む使用人探偵団が、自分の特技を活かして情報を集めて、解決していくのが面白みになっている。階級というものを容赦なく取り扱いながらも、それを超える何かを表現しようとしているように思うし、ある意味下層に生きる人々が感じている『俺らの支えがあってこそ、世界は成立している』という自負を、良い感じの物語に落とし込んでいるのではなかろうかと思う。 -
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■初のコージー・ミステリ
コージー・ミステリというジャンルを読んだのは本作が初めてだが、なるほどコージー。
「優しいミステリ」という感じで、その意味は、「謎解きが簡単」とかそういうことではなく、作中の雰囲気が常に温かく、残酷な描写や性的な描写といった尖った描写がなく、本作で言えばまさに自分もクルーズ船の中にいるような感覚を味わえる、という意味での優しさ。
コージー・ミステリとはハードボイルドの対義語として生まれた概念とのことだが、なるほどその説明がわかりやすい。
確かにハードボイルドの真逆であり、「(世界観も人物も謎も全てが)優しいミステリ」という印象を受けた。
現代の疲れた人々にはこういった作風が刺さるのかもしれないな、と感じた。
■面白さ
そもそも「ハッとさせられるトリック」とか「解決編が理屈的に合っているか」といったことにピントを当てること自体が的外れなのがコージー・ミステリなのではないかと思う。
その世界観、雰囲気を楽しみ、ゆったりと読むことができ、読んでいて疲れるということもない。
小説の内容云々ではなく、そういった「楽しみ方」を「面白さ」の度合いとするならば、面白い作品だった、という感想になる。
言い換えれば、コージー・ミステリなるジャンルにおいては、「作品の空気感が自分と合っているか」が「満足度」ないし「面白さ」として捉えられるのではないか、と思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻よりは面白かった。
これみよがしに物質があるので、それで錬成するのかと考えさせておいて、セリアスが命じれば護符になるっていう。
そりゃそうだ。
カリオンがなんでイヴェリアへ?と思ってたけど、なるほどね。
へらず口を叩くキャラなので、硬直になりやすい場面で自然に会話が繋いでて読みやすかった。
フィッシャーなんかずっと頑張ってるな。クイックシルバーの影響も受けて、迷宮もさまよって。
その時、タラデイアスと仲良くなったのか?
マドラは人間って言うから人間だけど不死かなっと思ったらフェイだった。
マルコムとベレコンとマドラは実の兄妹なのか、ヴァンパイア関係で兄妹なのか。
ベレコンとマドラはクイックシルバーの件で仲が悪くなったけど、ベレコンはマドラを許したのかな?
下巻は結構なネタバラシと正体明かしで面白かったが、ちょっと唐突過ぎて白けちゃうな。
ルリックの血筋の者は出てくるだろうと思ってたけど、カリオンか。フィッシャー、ナイス人選すぎる。
フィッシャーの父親はどう死んだんだろうか。あとルリックも。
フィッシャーの母親の境遇は結構えぐかった。しかも予言者だし。夫を殺した男に娘を産まされ、その後殺されるとか。
セアリスはフェイとヴァンパイアに変わったから、また子供が産めるようになるのかな?
寿命問題があるから、そこをクリアするために変わる話は出てくるだろうなと思ったらそのまま女王になっちゃった。
ダニヤがずっと嫌なキャラのままなので、なんとかして欲しい。ダニヤを好きになりたい。今でもまあ結構好き。わかりやすい。
セアリスが嫌ってるのがわかるのもある。
年齢格差でフィッシャーがセアリスのことを好きになるのは、気持ち悪いなと思ってたら神々から祝福される運命のつがい認定されて笑った。テコ入れが強い。
三部作らしい。
次はベレコン?
最後がマドラかな。
だから三人か。なるほど。
ベレコン倒して、大陸の勢力をまとめて、マドラを倒すのかな。
セアリスは陽の光がダメになったから、ジルヴァレンに戻れないな。
その問題もなんとか解決するのかな?
フィッシャーに好意を持つキャラがこれといっていないから、また新キャラで出てきそうだな。
マルコムがめちゃくちゃフィッシャーのこと気に入ってるのは面白かった。
フィッシャーも結構な愛されヒロインだなあ。
キングフィッシャーってカワセミなんだね。なるほど。翡翠。
仮の名前ってのはゲド戦記思い出す。
カリオンのジョーク面白かったな。
夫が妻に「俺を喜ばせるが悲しませることを言ってみろ」と言ったら、妻が「あなたのアレはあなたの弟より大きい」ってやつ。
■発売日
1巻原書
2024年6月4日(自費出版)
2024年12月3日(従来版)
日本語版発売日
2025年11月26日
2巻原書
2025年11月18日
3巻原書
2026年11月10日?(Barnes & Noble)
2巻の日本語版は、今年中かな?夏〜秋頃が良いな。3巻も今年発売されれば、来年夏〜秋頃には翻訳終わって発売される?
ネトフリの映像化の宣伝に合わせての刊行状況になりそうだけど。
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Posted by ブクログ
ネタバレ面白さは3.5。
期待してたいたよりは主人公を好きになれない。いつも怒ってばかりで、周囲の人間の機微を読み取れていないから。
それだけ荒んだ環境で余裕が無かったからだとは思うが。
イヴェリアでの生活は貧困層が富裕層への暮らしに紛れ込むようなギャップがあって面白かった。
フェイから見たら短命な人間はみな子供のようだろうで、ナチュラルに蔑ろにするだろうなと思う。そう考えるとフィッシャーがセアリスに夢中になるのは気持ち悪いな……。ダンジョン飯でもこんな話あったけど。
カリオンはセアリスのこと好きだろうし、フィッシャーもセアリスが好き。セアリスは2人の気持ちに気付かない。うーん、あんま好きじゃないなこの構図。
カリオンは本人の弁によれば、ヘイデンが殺されると思ったからヘイデンだと名乗ったわけだし、ヘイデンの世話もしてるし。
嘘だったら、心底見損なうが。
セアリスにちょっかいをかけてたけど、籠手の件はやばいってアドバイスして、解決策も提示してくれたし。
セアリスを酔わせて誘惑したのはアレだが。でもセアリスも満更でも無いようだったので、レイプではない?
マドラは自分はフェイ達を追放して良いことをしたと言うけれど、統治者としては最悪なので、死んで欲しいが、後継者誰だろう。めぼしいリーダーがいない。カリオンは器じゃない。
あとセアリスはたぶん、前国王の血を引くものだろうな。
黒髪キャラが少ないし。
母方か、父方か。
セアリスが水や物の豊かさにショックを受けるくだりが好き。そこから猛烈な嫉妬や怒りとかも欲しかったな。
順応しちゃったなあと思った。
ベレコンは前国王とはどういう関係だったんだろう。兄弟?一応黒髪だし。
フィッシャーの父親のフィンランは、王家の血筋じゃなかったのかな。
ここらへんなんかありそう。
てかマドラはどうやって千年生きてるのか。吸血鬼化して?
セアリスもカリオンもフィッシャーも顔を突き合わせるとセックスを仄めかす話ばかりしてて、もうちょっとビジネスライクに会話しろよと思った。ロマンス小説だからだとはわかってるが、なんかずっとそんな話ばっかしてて、うんざりするなって思った。
これがスタンダードなのか。 -
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隔絶された山奥の高級ロッジを妻サラと旅行で訪れた捜査官ウィル。インターネットも携帯電話もつながらないその場所で、ウィルはめった刺しにされた血塗れの女性を発見する。被害者は代々ロッジを経営する一族の娘マーシー。犯人はここに暮らす彼女の家族と4組の宿泊客の中にいるに違いない。だが、マーシーは家族各々と揉めていたうえ、宿泊客の素性も怪しい。誰もが嘘をつくなか、ウィルは真相を追う。
瀕死の状態のマーシーを、ウィルが発見する所から始まる。そこから時間は遡り、マーシーが家族からどんな目で見られているかが明かされていく。要するに、誰が容疑者でもおかしくないという状況が示される。かてて加えてマーシーのパートナーは、ウィルの過去の知り合いデイヴだ。施設を脱走しては連れ戻され、気持ちが荒んでいく中、マーシーの母と知り合い、実の息子のようにかわいがられる。若いうちにマーシーと付き合い、息子ジョンの親になるが、ロールモデルがいないため、よき父・よき夫がわからない。DVをマーシーに繰り返して離婚するも、養子として彼女の実家にべったりだ。彼女にとって、よい環境ではない。折角のハネムーンを台無しにしたくないアマンダが駆けつけるが、マーシーと息子の関係を、自分のそれと重ね合わせるウィルは、捜査に関わろうと前のめりになる。
主人公の宿命で、ハネムーン先まで事件が追いかけて来る。動転したウィルは、被害者に刺さったナイフを抜こうとして、自分の手にも、ぐっさー!と刺さってしまう。痛い痛い痛い。いつもながらスローター作品は、体も心も痛めつけてくる。それでどこが報いなのかと思いきや、ラストはそれなりに報いがある。但し、ささやかだが。
完全なシチュエーション、というわけではないが、スローターが密室ものを書きたかったそう。 -
Posted by ブクログ
豪華客船を舞台に展開されるミステリー。
レイチェルやサラと一緒に、豪華クルーズに参加している気分になれました。ミステリーなので不穏なことも起こるのだけれど、にも増して船上のアクティビティとか寄港先の観光などの非日常感とで、メリハリが効いた素敵な小説でした。
レイチェルの乗客目線と、サラの乗組員の立場から客船の裏舞台まで、豪華客船についても垣間見ることができおもしろかったです。
“コージーミステリー“というジャンルも初めて知りました。(調べてみたら、『居心地がいい』『親しみやすい』と、読者にリラックスした読書体験を提供するミステリーなんだそう)続編が来年に出るようなので、ぜひ読みたいです。 -
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大学生のニーナは交際しているサイモンと別荘で過ごしていたけれど、帰宅したのはサイモンだけだった。喧嘩をし別れ話をしたと言い、それきりニーナを見た人はいなかった。ニーナの捜索が始まり、SNSはニーナやその家族への誹謗中傷や噂話で溢れていく。その渦中にあるニーナの家族の心情と、疑われていくサイモンと家族の心情と、子供を家族を守るためにどこまでできるのか。なにができるのかということがそれぞれの痛みとともに描かれていく。SNSで広まっていく声とそれを面白がる人間の愚かさ、巻き込まれていく事件の当事者たちの絶望感が決して他人事とは思えない怖さがある。