田辺千幸のレビュー一覧
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カリン・スローター『グッド・ドーター 下』ハーパーBOOKS。
悲劇に見舞われた家族の物語なのか、法廷ミステリーなのか判然としないストーリーはどこに向かうのか。主人公は弁護士なのに、何故か警察も法廷も舞台とはならず、非公式な場面でのみ事件捜査が進行する違和感。結末もありふれた感じで今一つ。ウィル・トレント・シリーズが好調だっただけに残念な作品だった。
中学校で、教師と女子中学生を射殺した女子高校生のケリー。彼女を弁護することになったシャーロットの父親ラスティは何者かに刺される。28年前の事件の真実と中学校の銃乱射事件が1本の糸でつながり……
解説は池上冬樹。本作は、映画化されるのだとか。
本体価格891円
★★★ -
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カリン・スローター『グッド・ドーター 上』ハーパーBOOKS。
いつものウィル・トレント・シリーズではなく、全くのノンシリーズ。悲劇に見舞われた家族の物語なのか、法廷ミステリーなのか判然としないままに上巻が終わる。28年前の事件のフラッシュバックと女子高校生による銃乱射事件。登場人物の誰もが傷付いており、壊れていて、か弱く、ヒーローと成り得ない。
アメリカ南部で白人女性を殺害した容疑者の黒人青年を弁護した弁護士ラスティ・クインの自宅が放火される。一家が引っ越した数日後にラスティの留守中、銃を持った二人組の男が乱入し、妻のハリエットを殺害、姉のサマンサも重傷を追う。妹のシャーロットはサマンサに助けられ、辛くも生き残る。
それから28年後、弁護士となったシャーロットは不倫相手の元に忘れたiPhoneを取り戻すために偶然居合わせた母校の中学校で女子高校生による銃乱射事件に遭遇する。
本体価格891円
★★★ -
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ネタバレ表紙の愛らしさに惹かれて手に取る。3巻から読んでしまったけど、なんとかなった。
ウエールズ地方の味がふんだんに出ていて嬉しくなる。
たまに登場するウエールズ語の挨拶も興味深い。本当にウエールズ語は英語とは違う。
作中で村の人が英語がわからない、とか、外から来た人たちがウエールズ語がわからない、というのも納得。
ケルト、ドルイドの色濃く残るウエールズが興味深く、特にアーサー王好きの自分には肉屋の『ガレス』氏にいちいち反応してしまう。(本当に端役だけど、苗字はみんなエヴァンズだけど)
のどかの田舎村+殺人で、まさにセントメアリーミード村のようなスランフェア村。噂話ばかりで住むのは大変そう。
謎解きは、まあまあなんですが、ラスト50ページほどの怪しいやつ→やっぱり違うの連続は、読んでいてとてもスリルがあって面白かった。二回くらいならともかく、こんなに怪しい人物が次々と表に出てはその予想が覆されるのは、いい意味で裏切られるかんじが続くので小気味いい。
最後に若干ネタバレで書きますが、登場人物一覧に、被害者の息子や娘やクリスティンやほかの怪しい人物がないのは勿体ないと思った。
名前が先に出て、正体があとでわかるキャラだから、読者へのネタバレを警戒しているんだろうけど、登場人物一覧にない人間が犯人ではないのを読者はわかっているわけで、ある意味、犯人ではないことが早くにわかってしまって残念だった。
例えば、クリスティン…エヴァンが湖で助けた人物
ジャスティン…クリスティンと繋がりのある謎の人物
くらいに書いておいたらいいのに、と思った。 -
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リース・ボウエンの【英国王妃の事件ファイル】シリーズ第6弾!
今回はタイトル通りクリスマスシーズンの物語。
主人公のジョージーは、スコットランドにある実家のラノク城での悲惨なクリスマスから逃れ、仕事をゲットします。
その仕事とは、デボン州ダートムーアのはずれの村にある、ゴーズリー・ホールというお屋敷で、クリスマス・パーティーのホステス役を務めるというもの。
しかし穏やかな村には、何やら不穏な空気が流れていて、またもやジョージーは事件に巻き込まれていきます。
ミステリ部分について、謎のカギとなる設定はひねりが効いていておもしろいと思いましたが、トリックの部分ももう少し詰めてほしいかなというところでした。
今回については動機もやや弱いように感じました。
物語全体としては、古き良きイギリスのクリスマスの雰囲気が感じられてとても素敵です。
クリスマスということで、「家族」の温かみが感じられるお話でした。
ジョージーの大好きな母方の祖父はもちろん、いつもはまったく一緒に過ごせない母のクレアとの時間もたっぷりあり、クレアのジョージーへの思いやりも感じられる場面がありました。
つかず離れずの関係であるダーシーも登場し、ジョージーの恋の進展からも目が離せません。
相変わらずお金がなく、少ないドレスの中からなんとかコーディネイトを成立させるという、ジョージーの努力は変わりませんが、豪勢な食事やキツネ狩り、仮装舞踏会など、古き良き貴族の暮らしぶりが垣間見えるクリスマスの描写は、読んでいてワクワクします。
◇おすすめポイント
・古き良きイギリスのクリスマスの雰囲気を楽しめる
・ジョージーが家族と過ごせる幸せな時間が多い
・ジョージーとダーシーの恋の進展
◇こんな方におすすめ!
・クリスマスが大好き
・イギリスのクリスマス文化に興味がある
・貴族の暮らしに興味がある -
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リース・ボウエンの【英国ひつじの村】シリーズの第三弾!
ウェールズの伝統行事「アイズテズヴォッド」で行われる合唱コンテストに、なし崩し的に出場することになった主人公のエヴァン。
そんな中、村には有名なオペラ歌手が滞在することになります。
彼を中心にさまざまな事件が起こり、エヴァン自身の生活や人間関係にも影響することに。。。
今回もウェールズ色が濃く、ウェールズ文化を感じられるストーリーになっています。
三作目ともなると、村人たちにも愛着がわいてきて、元気で結束の強いウェールズの人々の描写に、なんとなく安心感を覚えました。
ミステリ部分では、さまざまな容疑者が登場する中、犯人を予測しやすい面もありましたが、物語中の伏線がうまく効いています。
一方、主人公エヴァンの恋にも徐々にですが動きが。。。
そうした部分はメインの物語の邪魔になるという感じもなく、物語全体の中で、ミステリ、恋、日常描写のバランスがとれていると思います。
エヴァンの過去を匂わせる描写もあり、シリーズの今後の展開も楽しみです。
◇おすすめポイント
・ウェールズ文化に触れられる
・主人公エヴァンの恋模様
・ミステリ部分も読み応えあり
◇こんな方におすすめ!
・ウェールズ地方が好き
・ウェールズ文化について知りたい
・リース・ボウエンのシリーズが好き -
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リース・ボウエンの【英国王妃の事件ファイル】シリーズ第5弾!
主人公のジョージーが、イギリスを飛び出してフランスのリゾート地へ!
しかしただのバカンスではなく、親戚である英国王妃の密命を帯びた旅です。
この物語の舞台は1930年代。大恐慌の影響が色濃く、物語にも人々が苦しい生活をしていることがわかる描写が登場します。
ジョージー自身も王家の親戚筋でありながら、もともと実家は貧しく、恐慌の影響で仕事も見つかりません。
この物語で特徴的なのが、お金についての描写が多いこと。
そのあたりの世知辛さが物語をリアルなものにしています。
今回ジョージーがバカンスに出かけるための旅費についても、背景がしっかり描かれていて興味深いです。
もう一つ、今回のお話のポイントは実在の有名デザイナーが登場するところです!
著者のリースさんが、「この時代のこの時期にこの場所にいそうな著名人」を想定して書いたのだそう。
物語の時代をよりリアルに感じられる演出でした。
ミステリの面では、容疑者も多く、読者に推理させる余地がある設定ですが、うーんというところ。
わりと早い段階から登場する伏線も、後半にバタバタっと雑に回収される感じです。
舞台設定や謎の多さが魅力的なだけに、ミステリ部分の結末もがんばってほしいと感じました。
◇おすすめポイント
・1930年代のバカンスの雰囲気を楽しめる
・「お金はどうするの?」という部分までしっかり描かれている
・実在の有名デザイナーが登場
◇こんな方におすすめ!
・自立したいと考えている女性
・バカンス気分を楽しみたい
・1930年代の暮らしに興味がある -
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リース・ボウエンの【英国ひつじの村】シリーズの第一弾!
【英国王妃の事件ファイル】シリーズで有名な著者が、そのシリーズよりも前に、初めて書いたミステリシリーズです。
主人公が巡査ということで、ややコージーミステリの定義から外れるような気がしますが、主人公の暮らす町や日常の描写が豊富で、物語の世界観をたっぷり楽しめるのはコージーミステリ的。
英国ミステリではおなじみのパブのシーンも登場します。
男性でしかも警察関係者が主人公ということで、女性が主役の物語よりも、全体的に危なっかしさがないですね。
主人公が冷静なキャラクターなので、周囲の女性キャラの個性が際立って、主人公を取り巻く人間模様の面白さが目立っています。
ミステリの謎解き部分はやや物足りないですが、読者に頭を使わせる展開にしていると思います。
イギリスの中のウェールズの人々の気持ちや、山歩きなどのアウトドアの要素もあって、イギリスを舞台にしたミステリの中でも異彩を放っていると感じました。
◇おすすめポイント
・主人公を取り巻く女性たちのキャラクター
・山歩きなどのアウトドアの描写
・イギリスの中のウェールズについて学べる
◇こんな方におすすめ!
・ウェールズ地方が好き
・山歩きが好き
・リース・ボウエンのシリーズが好き -
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カリン・スローター『罪人のカルマ』ハーパーBOOKS。
ウィル・トレント・シリーズの第6作。相変わらずの切れ味の無さ。解説で北上次郎が絶賛しているが賛同しかねる。切れ味の無さは毎度のことなのだが、それでもカリン・スローターの新作にはついつい手を出してしまうから不思議。
女子大生失踪事件が発生し、特別捜査官のウィルは何故か捜査から外され、空港警備に回される。40年前に発生した連続殺人事件と失踪した女子大生の他殺体の犯行手口が酷似。果して……
またまた警察組織のゴタゴタと男女の色恋沙汰にページが浪費され、下手な翻訳も相まって読みにくいことこの上ない。 -
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カリン・スローター『サイレント 下』ハーパーBOOKS。
本当に人気作家なのだろうか…明らかにアリスン・ブレナンやコーディ・マクファディンといった同じ系統の女流作家の作品より劣ると思う。
帯に書いてあるような「一気読み。読み始めたとたん、話の渦に巻き込まれる。」こともなかったし、「『羊たちの沈黙』を彷彿させる恐怖。』もなかったし、『こんなに胸躍る作品に出合えたのは久しぶり。続きが気になって眠れない。』ことなど全くなかった。
やっと、主人公のウィル・トレントが本格的に動き出し、少しずつ明らかになる事件の真実。留置場で自殺したトミー・ブラハムは真犯人なのか…
取って付けたような事件の真相、結末…この辺りはパトリシア・コーンウェル的な感じがする。
何故、面白くないのか考えてみると、事件の発生と警察の捜査との間のタイムラグが大き過ぎて、その間に警察内の内輪揉めのような描写がだらだら続くことにあるのではないかと思った。 -
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カリン・スローター『サイレント 上』ハーパーBOOKS。
ウィル・トレント・シリーズなのだが、誰が主人公なのかはっきりしない。ストーリーは半ば殺人事件そっちのけで、サラ・リントンとレナ・アダムズを中心に展開しているようにも思う。また、肝心の展開場面の描写が希薄で、まるで原稿の欠落があったのではないかと首を傾げる場面も…『プリティ・ガール』を読んだ時も思ったのだが、翻訳に問題があるような気がする。
アメリカの田舎街で起きた女子大学生の殺人事件。犯人はナイフで刑事を刺した上で逃走を図るが、直ぐに逮捕され、犯行を自供する。しかし、犯人は留置場内で自殺し、留置場の壁に無実を訴えるメッセージを残していた… -
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英国ヴィクトリア朝、スコットランドヤードの敏腕警部さんは、実はただのお人好しで捜査能力ゼロ。
彼のお屋敷に仕えるハウスキーパーをはじめとする使用人達がこっそり捜査をして、さりげなく旦那様を正しい方向に誘導して事件解決へ導いている…というかわいいコージーミステリ。
思ったほどヴィクトリア朝っぽくない、上下関係ゆるめで現代的なファミリーっぽい使用人だし、和気あいあいと捜査をしてるので、私の期待した「クールで統率の取れた忠義の使用人軍団」ではないほのぼの系でしたが、
『親切なご主人様が大好きで恩返ししたいし、なにより退屈な仕事よりワクワクするし!』という理由で一致団結する使用人たちが素直でよいです。