田辺千幸のレビュー一覧
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ネタバレ「天使と嘘」と同じ作者だったので。
「誠実な嘘」というタイトルはぴんとこない。
原題の「The Secrets She Keeps」の方がしっくりくる。
主人公(多分)アガサが嘘つきなのはその通りだが、
secretsという方が内容にはふさわしい。
それは、罪を犯したアガサが悪人に描かれていないせいだろう。
また、途中までアガサの妊娠に疑問を抱かせない、
ストーリー展開のうまさもある。
もう一人の秘密を抱えた妊婦メグの方も、
夫との夫婦関係、
とくに子供がさらわれてからの心理、
関係の修復への気持ちの変化は目が離せない。
全体的には面白かったが、
心理学者サイラスが登場するものの「探偵」要素があまり強くないのが、
少しだけ物足りない。 -
Posted by ブクログ
ウィル・トレント・シリーズ、6作目。
ウィル・トレントは、ジョージア州捜査局の特別捜査官。
今回は、彼の出生に関わる重い秘密が明かされる回でもあるのだが。
ウィルの上司のアマンダと、その同僚だったイヴリンの若き日の話がかなりの比重を占めます。
女性警官二人の物語というのは珍しいので、こちらがポイントかと。
ウィルは長身で金髪、穏やかで大人しい性格。頭はいいのだが識字障碍を抱え、それをごまかしながら何とかやってきた。
施設で育ち、里親を転々とし、どこか影があるので、潜入捜査を得意としていたこともある。
凶悪な殺人事件が発生したが、なぜかウィルは捜査から外される。
それは、ウィルの実父が出所しているからだった。
40年さかのぼって、1975年。
アマンダは小柄で、若い頃は現在とは別人のように動揺しやすい。とはいえ、全てを面に出すわけではない。
謹厳な警察官の父親に育てられてきたからだ。
イヴリンはなかなかの美人で大胆、アマンダと気が合うようになります。
男社会の警察で、それでも女性が少し増えかけてきた時代。
署内の偏見をかいくぐり、町では柄の悪い連中と渡り合う日々。
そこで遭遇した恐ろしい事件で‥
ウィルにまさかこんな過去があるとは。
子どもの頃は実父の犯罪を知らないでいた点もあり、それだけは良かったという気はしますが。
アマンダとは運命的な出会いだったのですね。
アマンダは内心、我が子に抱くような激しい愛情を抱きつつ、その執着をそのまま表に出すわけにもいかない、という葛藤があるらしい?
姿を消していたアンジーの影が、最後にそこに現れる。
カリン・スローターはすごい。 -
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貧乏お嬢さまシリーズ、14作目。
もう、お嬢さまではありませんが。公爵令嬢という出自には変わりない?
ジョージーは晴れて恋人ダーシーと結婚、元義父(母の元夫)の館に身を落ち着けていたが、ダーシーが留守になり、女主人役を一人でこなすのも気が向かない。
そんな時、親友のベリンダに誘われ、ベリンダが相続した別荘を見に行くことに。
そこはコーンウォールの荒涼とした海辺。景色はいいが、漁をするときに泊まる小屋のようなところだった。
ベリンダの幼なじみが地元で結婚していて、泊まるように誘われます。
そこは美しい邸宅で、主人も元妻も今妻もベリンダの幼なじみ。
格式ばった召使いにかしずかれてるんだか、威張られてるんだかという環境。
ベリンダの祖母のお屋敷は人手に渡っていたが、そこで働いていたのは‥?
デュ・モーリアの「レベッカ」のように、完璧に美しかった過去の女性の面影が‥
当然、またまた事件に巻き込まれるジョージーですが。
しっかりして来たので安心だけど、それがちょっと物足りない?
作者の書きっぷりが安定してるのは信頼できて、続きも楽しみです☆ -
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アメリカの作家エミリー・ブライトウェルの長篇ミステリ作品『消えたメイドと空家の死体(原題:Mrs.Jeffries Dusts for Clues)』を読みました。
ここのところアメリカの作家の作品が続いています… エミリー・ブライトウェルの作品は一昨年の12月に読んだ『幽霊はお見通し』以来ですね。
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家政婦と使用人たちからなる探偵団、メイド探しを依頼される!
話題沸騰、ヴィクトリア朝痛快ミステリ第2弾。
人柄の良さに反比例して刑事の才能はない主の警部補のため、こっそり事件を解決してきた屋敷の家政婦ジェフリーズ夫人と使用人たちは、その実績を見こんだ知人に、行方知れずのメイド捜しを依頼される。
一方、警部補は新たに身元不明の若い女性が殺された事件を担当することに。
捜査を始めるや、このふたつの事件が意外な形で結びつく?
話題沸騰、痛快ヴィクトリア朝ミステリ。
訳者あとがき=田辺千幸
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ヴィクトリア朝時代のイギリス・ロンドンを舞台に、人柄は良いが推理の才能が実は全くないウィザースプーン警部補を陰で助けようと、屋敷を取り仕切る家政婦のジェフリーズ夫人と使用人探偵団が主人が素人探偵として活躍する、明るく楽しく軽めなミステリ・シリーズ… 1993年(平成5年)に刊行された〈家政婦は名探偵〉シリーズの第2作です。
善人だが刑事の才能はない主人ウィザースプーン警部補のため、こっそり事件を解決してきた家政婦ジェフリーズ夫人と屋敷の使用人たち… その実績を見こんで、前回の事件関係者クルックシャンク夫人が人捜しを依頼してきた、、、
年若い友人のメイドが、奉公先で盗みの疑いをかけられ、くびにされたまま行方知れずなのだという点 一方、警部補が新たに担当することになった空家での若い女性殺害事件は、遺体の腐乱がひどく死者の身元が不明なまま。
捜査を始めるや、このふたつの事件が意外な形で結びつく?
当たり前な日常の平穏な日々を持て余した使用人たち… どんよりとした空気が漂い始めたタイミングでクルックシャンク夫人が持ち込まれた朗報(行方不明の友人捜しの依頼)、、、
今回も頭脳役の家政婦ジェフリーズ夫人の指示のもと、ハウスメイドのベッツィ、料理人グッジ夫人、従僕のウィギンズ、馭者のスミスたちが、それぞれの得意分野で証言や証拠を集め、事件解決に向け活動… それが主人であるウィザースプーン警部補が担当することになった殺害事件と結びついていく。
ほのぼのした展開と、伏線を回収しつつ少しずつパズルのピースが当てはまってくるミステリ要素が程よく織り交ぜてあり、この分量のバランスが絶妙… 軽めなんだけど、ミステリとしても十分愉しめるクオリティを両立させているのが良いですねー 面白かった! 他の作品も読んでみたいですね。 -
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カリン・スローター『忘れられた少女 上』ハーパーBOOKS。
『彼女のかけら』の続編。
上巻を読んだだけでは、まだ何も見えて来ない。38年前と現在とが交互に描かれ、新人保安官補となったアンドレア・オリヴァーが脅迫を受けた判事の身辺警護と38年前の殺人事件の捜査を行うというストーリーである。
物語は38年前の1982年から始まる。思いがけない妊娠で家族に見放され、高校を追い出された学園一の優等生エミリー・ヴォーン。エミリーはゴミ置場で全裸の他殺体となって見付かる。
現在。過酷な訓練を受けて連邦保安局の保安官補となったアンドレア・オリヴァーは、最初の任務として、殺害を予告する脅迫状を受け取った判事の身辺警護と38年前の殺人事件の真相を解明することを命じられる。
殺害予告を受け取った判事は38年前に殺害されたエミリーの母親だった。その事件の犯人がアンドレアの生物学上の父親ニコラス・ハープが38年前の殺人事件に関わっていた可能性があると言うのだ。
定価980円
★★★★ -
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The「警察小説」って感じかな。
『サイレント』は、ハーバーBOOKS文庫(ミステリー)ではコンスタントにヒット作を生み出している、カリン・スローターのウィル・トレント特別捜査官シリーズの一つ。
このシリーズは「過激な描写が特徴」と言われているので、少し躊躇していた。
「サイレント」はシリーズの中でも比較的「穏やか」と言われているものの、なかなか手に取りづらかった。
実際に読んでみると、地方警察の腐敗と警察官の疲弊、過去の因縁、小さな社会内での排他的感情、そのなかで主人公の捜査官が悪戦苦闘して真実を探り寄せる……。
まさに、王道の「警察小説」ミステリーがスピード感たっぷりに展開されている。
警察官として優秀なのか何なのかわからないレナ、しつこいほどのサラのレナに対する確執、ウィルの両者との立ち回りも、物語を面白くさせている。
レナは同性に嫌われるタイプだなぁ…きっと。 -
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カリン・スローターの初期作品、グラント郡シリーズ。
「開かれた瞳孔」「ざわめく傷痕」に続く3作目。
サラ・リントンは故郷で小児科医となっていて、検死官も兼ねています。
元夫のジェフリー・トリヴァーは、警察署長。
ある日、妊娠中の妹テッサと一緒にいたサラは事件の報を受けて、現場へ向かった。
グラント工科大学の学生の遺体が発見されたのだが、飛び降り自殺のようだった。
ところが、近くにいたテッサが何者かに刺されてしまう。
自殺ではなく犯人がそこに潜んでいたのか…?
サラと両親のショックと苦悩が切なく痛々しい。
サラと復縁しようとしているジェフリーも、サラの家族が好きなので苦しむが。
優しい感受性を持つサラは、赤毛と長身が目立ち、IQが高い。その特徴をジェフリーは得難いものと評価しているが、うまく伝えられてはいない。
同じことをサラが人にからかわれた原因として思い出すあたり、二人の個性や関係性が次第にわかってくる、シリーズ物ならではの面白さがありますね。
さらに事件が相次ぎ、平常なら事件の少ない地方都市に衝撃が走る…
ジェフリーの元部下のレナ・アダムズがなんと警察を辞めていて、大学の保安要員として登場。
一作目の事件で被害者となり、仕事に集中できない1年を送った後のことである。
ここの仕事は上司がサイテーなため、別な苦労をしていた。
学生、大学教師、その家族の問題が次々にあぶり出されるが、レナの問題もまた、なぜかこじれていく…
嫌な奴が何人も出てくるので、事件の凄惨さが薄れるほど。
レナはもともと癖のある性格だが、悲劇に見舞われ、報道でも苦しみ、自己破壊的な歪み方を生じているのか…
破綻しかけているところで妙に距離が近づいた人物との関係がこの後どうなる?
そこが一番の読みどころかもしれません。
主役級の数人のうちの誰がクローズアップされるかが、作品によって違うのが特徴か。
濃すぎるほどのキャラをえぐるように描いていくパワーがすごい。
シリーズ1作目はさかのぼって読んだため、「専門職の女性が連続殺人事件に関わり、自らも狙われる」という、数多い作品の中で、デビュー作にしてはさすが上手な方、というぐらいの印象でしたが。
その後、どんな出来事にも心理にもまったく目をそらさずに、鋭さも深みも増していくのです。
この段階でここまで書いていたとは。 -
Posted by ブクログ
猟奇的な残忍さ、子どもがからむ犯罪の凄惨さ、恐ろしさ、気味悪さはシリーズ最悪かもって気もして、読んでいて具合悪くなりそうなくらいだった。しかもすっきりした解決にもならずに後味も悪かったんだけど、読み終わったとたん次の巻を読みたいと思うのは、海外のシリーズドラマを見るような感じだからかも。ひとつの事件は終わっても、レギュラー登場人物がこのあとどうなるのかどうするのか知りたい。こんなひどい事件を経て、そのあとどうやって日々を過ごすのかを知りたいというような。まあ小説なので、次の巻ではまた普通に別の事件に取り組むんだとわかってはいるけれど。
シリーズの主人公はサラだけど、レナの存在感がすごかった。レナ、ほんとにこのあと、次の巻ではどうなっているんだろう…。
このシリーズ、事件がどう解決されるかとか謎解きを読むんじゃなくて、その事件に対処する人々がなにをどう感じるかってことを読むほうが大きくて、そこがわたしは好きなんだと思う。