田辺千幸のレビュー一覧
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アメリカの作家エミリー・ブライトウェルの長篇ミステリ作品『消えたメイドと空家の死体(原題:Mrs.Jeffries Dusts for Clues)』を読みました。
ここのところアメリカの作家の作品が続いています… エミリー・ブライトウェルの作品は一昨年の12月に読んだ『幽霊はお見通し』以来ですね。
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家政婦と使用人たちからなる探偵団、メイド探しを依頼される!
話題沸騰、ヴィクトリア朝痛快ミステリ第2弾。
人柄の良さに反比例して刑事の才能はない主の警部補のため、こっそり事件を解決してきた屋敷の家政婦ジェフリーズ夫人と使用人たちは、その実績を見こんだ知人に、行方知れずのメイド捜しを依頼される。
一方、警部補は新たに身元不明の若い女性が殺された事件を担当することに。
捜査を始めるや、このふたつの事件が意外な形で結びつく?
話題沸騰、痛快ヴィクトリア朝ミステリ。
訳者あとがき=田辺千幸
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ヴィクトリア朝時代のイギリス・ロンドンを舞台に、人柄は良いが推理の才能が実は全くないウィザースプーン警部補を陰で助けようと、屋敷を取り仕切る家政婦のジェフリーズ夫人と使用人探偵団が主人が素人探偵として活躍する、明るく楽しく軽めなミステリ・シリーズ… 1993年(平成5年)に刊行された〈家政婦は名探偵〉シリーズの第2作です。
善人だが刑事の才能はない主人ウィザースプーン警部補のため、こっそり事件を解決してきた家政婦ジェフリーズ夫人と屋敷の使用人たち… その実績を見こんで、前回の事件関係者クルックシャンク夫人が人捜しを依頼してきた、、、
年若い友人のメイドが、奉公先で盗みの疑いをかけられ、くびにされたまま行方知れずなのだという点 一方、警部補が新たに担当することになった空家での若い女性殺害事件は、遺体の腐乱がひどく死者の身元が不明なまま。
捜査を始めるや、このふたつの事件が意外な形で結びつく?
当たり前な日常の平穏な日々を持て余した使用人たち… どんよりとした空気が漂い始めたタイミングでクルックシャンク夫人が持ち込まれた朗報(行方不明の友人捜しの依頼)、、、
今回も頭脳役の家政婦ジェフリーズ夫人の指示のもと、ハウスメイドのベッツィ、料理人グッジ夫人、従僕のウィギンズ、馭者のスミスたちが、それぞれの得意分野で証言や証拠を集め、事件解決に向け活動… それが主人であるウィザースプーン警部補が担当することになった殺害事件と結びついていく。
ほのぼのした展開と、伏線を回収しつつ少しずつパズルのピースが当てはまってくるミステリ要素が程よく織り交ぜてあり、この分量のバランスが絶妙… 軽めなんだけど、ミステリとしても十分愉しめるクオリティを両立させているのが良いですねー 面白かった! 他の作品も読んでみたいですね。 -
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The「警察小説」って感じかな。
『サイレント』は、ハーバーBOOKS文庫(ミステリー)ではコンスタントにヒット作を生み出している、カリン・スローターのウィル・トレント特別捜査官シリーズの一つ。
このシリーズは「過激な描写が特徴」と言われているので、少し躊躇していた。
「サイレント」はシリーズの中でも比較的「穏やか」と言われているものの、なかなか手に取りづらかった。
実際に読んでみると、地方警察の腐敗と警察官の疲弊、過去の因縁、小さな社会内での排他的感情、そのなかで主人公の捜査官が悪戦苦闘して真実を探り寄せる……。
まさに、王道の「警察小説」ミステリーがスピード感たっぷりに展開されている。
警察官として優秀なのか何なのかわからないレナ、しつこいほどのサラのレナに対する確執、ウィルの両者との立ち回りも、物語を面白くさせている。
レナは同性に嫌われるタイプだなぁ…きっと。 -
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カリン・スローターの初期作品、グラント郡シリーズ。
「開かれた瞳孔」「ざわめく傷痕」に続く3作目。
サラ・リントンは故郷で小児科医となっていて、検死官も兼ねています。
元夫のジェフリー・トリヴァーは、警察署長。
ある日、妊娠中の妹テッサと一緒にいたサラは事件の報を受けて、現場へ向かった。
グラント工科大学の学生の遺体が発見されたのだが、飛び降り自殺のようだった。
ところが、近くにいたテッサが何者かに刺されてしまう。
自殺ではなく犯人がそこに潜んでいたのか…?
サラと両親のショックと苦悩が切なく痛々しい。
サラと復縁しようとしているジェフリーも、サラの家族が好きなので苦しむが。
優しい感受性を持つサラは、赤毛と長身が目立ち、IQが高い。その特徴をジェフリーは得難いものと評価しているが、うまく伝えられてはいない。
同じことをサラが人にからかわれた原因として思い出すあたり、二人の個性や関係性が次第にわかってくる、シリーズ物ならではの面白さがありますね。
さらに事件が相次ぎ、平常なら事件の少ない地方都市に衝撃が走る…
ジェフリーの元部下のレナ・アダムズがなんと警察を辞めていて、大学の保安要員として登場。
一作目の事件で被害者となり、仕事に集中できない1年を送った後のことである。
ここの仕事は上司がサイテーなため、別な苦労をしていた。
学生、大学教師、その家族の問題が次々にあぶり出されるが、レナの問題もまた、なぜかこじれていく…
嫌な奴が何人も出てくるので、事件の凄惨さが薄れるほど。
レナはもともと癖のある性格だが、悲劇に見舞われ、報道でも苦しみ、自己破壊的な歪み方を生じているのか…
破綻しかけているところで妙に距離が近づいた人物との関係がこの後どうなる?
そこが一番の読みどころかもしれません。
主役級の数人のうちの誰がクローズアップされるかが、作品によって違うのが特徴か。
濃すぎるほどのキャラをえぐるように描いていくパワーがすごい。
シリーズ1作目はさかのぼって読んだため、「専門職の女性が連続殺人事件に関わり、自らも狙われる」という、数多い作品の中で、デビュー作にしてはさすが上手な方、というぐらいの印象でしたが。
その後、どんな出来事にも心理にもまったく目をそらさずに、鋭さも深みも増していくのです。
この段階でここまで書いていたとは。 -
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猟奇的な残忍さ、子どもがからむ犯罪の凄惨さ、恐ろしさ、気味悪さはシリーズ最悪かもって気もして、読んでいて具合悪くなりそうなくらいだった。しかもすっきりした解決にもならずに後味も悪かったんだけど、読み終わったとたん次の巻を読みたいと思うのは、海外のシリーズドラマを見るような感じだからかも。ひとつの事件は終わっても、レギュラー登場人物がこのあとどうなるのかどうするのか知りたい。こんなひどい事件を経て、そのあとどうやって日々を過ごすのかを知りたいというような。まあ小説なので、次の巻ではまた普通に別の事件に取り組むんだとわかってはいるけれど。
シリーズの主人公はサラだけど、レナの存在感がすごかった。レナ、ほんとにこのあと、次の巻ではどうなっているんだろう…。
このシリーズ、事件がどう解決されるかとか謎解きを読むんじゃなくて、その事件に対処する人々がなにをどう感じるかってことを読むほうが大きくて、そこがわたしは好きなんだと思う。 -
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ウィル・トレント・シリーズ4作目、後半。
サラの地元で殺人事件が起こり、ジョージア州捜査局の特別捜査官ウィルが呼ばれてくる。
休暇で帰省中だったサラは、捜査に協力することに。
検死官の経験もあり、地元の知識もあるサラはチーム同然、ほぼ片腕ですね。
逮捕された犯人は自白を強要されたのか?
第二の事件が起こり…
サラの夫ジェフリーが警察署長で、殉職したのがこの町。優しいサラは忘れられない記憶に苦しめられますが、それも少しは変わってきているかな。
地元の刑事レナ・アダムズは、かってのジェフリーの部下。
それどころか、ジェフリーの死の原因を作ったようなもの。後ろめたさを感じつつ自己弁護するレナ。
それだけならまだしも、付き合っている相手が…? 皆が愕然とする相手。
サラの母キャシー・リントンや従兄弟ヘアトン・アーンショーまで登場、この名前で作者は「嵐が丘」が好きなことがよくわかります。
濃厚な人間関係の重い絡み合い、激情の爆発するドラマを描き切りたいのかな…
ウィルとサラの今後に目が離せません(笑) -
Posted by ブクログ
ウィル・トレントのシリーズ4作目。
「ハンティング」に続く作品。
田舎町で、女子大生の殺人事件が起こる。
ジョージア州捜査局(GBI)特別捜査官のウィル・トレントが派遣されました。
そこは、サラ・リントンの故郷、殉職した夫のジェフリーが警察署長を勤めていた地区でもあった。
小児科医で検視官も兼ねているサラはその後アトランタに移って4、5年はたっていたが、たまたま帰省していたため捜査に協力することになる。
逮捕された若者トミーはかってサラの患者でもあり、サラはおかしいと気がついていた。
識字障害を抱えていて内気だが優秀なウィルは以前からサラに一目ぼれしているのがバレバレ、でもなかなか踏み出せない。
(常軌を逸した妻アンジーとまだ離婚が成立していないせいもあります)
サラと地元刑事レナの葛藤もあり、そういう底流が濃厚な作品でした。今回で解決はしないのですが、それはまた後に。
めちゃくちゃな順番で読んでしまったため、これは中ではわかりやすい方だったなというのが正直な感想。
事件もそこまで凄惨じゃないし…
ジェフリーと何があったのかが、わからないままなのは気になったけど。
これ今もまだその頃のは翻訳されていないからわからないけど、その後の気持ちの整理は後々の他の本で出てきてましたね。 -
Posted by ブクログ
ミステリともサスペンスとも言えない構成のように感じて(途中で中断して猿の罰の方を読んでしまった)読み終えるのが遅くなったけれど、結末の展開は好きだったかな。アマンダとイヴリンの若い頃が描かれてて、いままで好きになれなかった2人にもこんな時代があったんだと思うと好感度上がる。とくにアマンダ。それならなぜウィルにいじわるをする?w
結局ごみ箱に入れたのは誰ってことなんだろう…?
今作は黒人差別にくわえてフェミニズム要素もあるので黒人や女性を差別していたいひとはまた怒る気もする。いつかフラットな世の中になるといいな。
そしてアンジーがこわい。
ひたすらサラが心配になる!
みんな幸せになってほしい。 -
Posted by ブクログ
カリン・スローター作品群は、第一期のグラント郡、第二期の捜査官ウィル・トレントの二本のシリーズとそれ以外の独立作品に分類される。本書は第一期の過去シリーズのグラント郡第三作の本邦初翻訳作品である。
昨年一二期を合体させたミステリー大作『スクリーム』によって、現在のウィルシリーズと過去のグラント郡シリーズが一つになった。二つの時代を股にかける連続殺人事件の存在が明らかとなり、現在と過去が交互に語られる合体作が奇跡のように実現したのである。日本の読者はそれを体験した後で、またゆったりと過去シリーズにお目にかかることになったというわけである。
シリーズの現在から過去へと前後の脈略を逆に、翻訳されてしまっているこの状況は、日本人読者にとっても作者にとってもあまり幸福なこととは思えないが、それぞれのシリーズを往来するキャラクターが、歳を取ったり若返ったりするのを勘案しながら、それぞれの成長や変化や過去体験を楽しむというあたりで、ぼくら日本人読者は落ち着くしかないだろう。それもまた楽し、といったところか。
本作は、警察署長ジェフリー・トリヴァーと医師サラ・リントンを主役としたグラント郡シリーズでありながら、同時に一作目以来悲惨な体験を潜り抜けてきた女性警官レナ・アダムスに相当な焦点を当てた作品ともなっている。レナは、本作では驚いたことに前作までの職業であった警察官を退職し、今はグラント工科大学の保安要員として働き出している。その大学こそが、実は本作のほぼ全編に渡る舞台なのである。警察をやめたレナは、警察と協力して事件の真相を探る立場となっている。
まずは大学裏の橋からの男子学生の飛び降り自殺で物語はスタート。そこに駆け付けたサラが偶然同乗させたまま連れて来てしまった妹テッサが刺されて重傷を負う突発事件が発生。さらに翌日には飛び降り自殺の目撃者であった女子学生の死。こうして連鎖的に起こる凶事により、最初の男子学生の自殺も土台から揺らいでゆく。
怪しい人物が学内にも保安部内にも学生寮にも多く登場するに至って、真相は深い闇の底に沈んでゆくかに見える。薬漬けの学生。複雑な人間関係。学生とその両親間の葛藤。
大学組織そのものへの捜査の梃子入れが必要と思われる状況の中、第三、第四の殺人が起こり、さらに事態はもつれにもつれる。保安要員としてその中心軸のような立ち位置を保つレナと、捜査の先頭に立つジェフリーとサラ。彼らを取り巻く複雑な人間関係はどこへ向かってゆくのか?
事件とミステリーを中心の物語としながら、シリーズ作品としての人間関係の変化、進展、憶測を語ってゆく作者の目論見が、見事にはまる一作。パトリシア・コーンウェルとも共通する一シーン一シーンの長さが、相変わらずこの作者の特徴であり、ぼくの苦手とするところなのだが、一方で人間関係のディテールへのこだわりは、この手の女性ミステリー作家ならではのものと諦観を決めて楽しむべきだろう。
それにしても最後の最後、意表を突くエンディングには驚いた。この作者、やはり巧い!