あらすじ
二人の魅力的な女性。どちらも秘密があり――
ロボサムはまぎれもないスリラーの達人だ!/スティーヴン・キング絶賛!
2018年オーストラリア年間最優秀小説賞受賞作!
英国推理作家協会ゴールド・ダガー賞受賞作家!
スーパーマーケットで働くアガサは本当の父親を知らず、15歳のときに既婚者に騙されて妊娠し、生まれた子供とは引き離された。一度結婚したものの死産したことで夫婦仲は悪化し、離婚してしまう。今は恋人との子を妊娠中だが、妊娠を知った恋人は離れていった。一方のメグはキャリア、高収入の夫、二人の子供に恵まれ、三人目を妊娠中だ。偶然知り合ったアガサとメグは出産時期が近いことから仲よくなるが、この出会いがそれぞれの人生を変えていき……二人の女性の数奇な運命を描く戦慄のスリラー!
原題:The Secrets She Keeps
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
始めは妊婦さん同士の交流かと思いきや、意表を突く展開に、ドキドキしながらも読む手が止まらず755ページもあっと言う間に読み終えた。
アガサとメガンの二人が交互に語る形式なのでお互いの気持ちがよりリアルに響き、異常で破綻して行く心理状態が怖かった。邦題より原題の「彼女が抱える秘密」と言う方がしっくりくる。
Posted by ブクログ
最近読んだ『天使と嘘』が面白かったので、この著者の他の本も読んでみようと思った。最近、本は内容で選ぶことが多いので、この作家だから読みたいと手に取るのはすごくうれしい。
しかしこの本の分厚さはすごい。通勤のバッグに入れることは無理。家にいるときだけ読むから、きっと読み終えるのに時間がかかるだろうと思ったが、訳が良いのも手伝ってあっという間に読み終わってしまった。
スーパーマーケットで働くアガサと、スポーツキャスターの夫と二人の子どもがいるメガン。知り合いではないのに、アガサはメガンのことにやたら詳しい。これはストーカーなのか、それともメガンに憧れるあまり、彼女の人生を横取りしたいのか。ただ友だちになりたいだけではない、不吉な執着を感じる。
アガサの章とメガンの章が交互になっていて、最初はあまりストーリーに動きがないのだが、わたしは退屈に感じることはなかった。まったく境遇が違う二人の女性の日常と内面の葛藤や過去が語られ、わたしの頭の中で実在の人物かのように具体的な存在となっていく。
そしていよいよメガンがアガサに接触し、やがて驚愕の事実が発覚する。
この話にはアガサとメガンがついた沢山の嘘が出てくるけど、どれもが誠実ではないものだったので、このタイトルはどうもしっくりこない。
ひとつ嘘をつくと、それを隠すためにどんどん嘘をつき続けなければならない。雪だるま式に膨らんだ嘘にまみれた虚構の人生に、どこから見ても矛盾がないように取り繕い続けることは所詮不可能だ。立ち止まることも引き返すこともできないから、ずっと走り続けるしかない。だけどこの一本道の先は間違いなく行き止まりになっているのを、アガサもわたしも分かっているから苦しい。
最後から2番目のアガサの章は、一文一文が心に沁みた。
何度もいろんな小説や映画や、現実でも語られることが多いこの感情を、わたしは本当の女性の告白かのように読み、そして自身の痛みのように感じた。
Posted by ブクログ
カテゴリー上はミステリーとしたが、ただハラハラドキドキのミステリー というレベルは越えている Robothamの著作はこれで3作目だけど、何かしら強く訴えてくるものがあると感じる
高齢者になったこともあり、つくづく健康・家族・友人 こういうことの当たり前っぽいが、かなり貴重なものであることが、しみじみ伝わってくる著作
天使シリーズでは基本的に一人称×2というスタイルだけど、この誠実な嘘から思い切って始めた方法論のようです とても効果的
Posted by ブクログ
「天使と嘘」と同じ作者だったので。
「誠実な嘘」というタイトルはぴんとこない。
原題の「The Secrets She Keeps」の方がしっくりくる。
主人公(多分)アガサが嘘つきなのはその通りだが、
secretsという方が内容にはふさわしい。
それは、罪を犯したアガサが悪人に描かれていないせいだろう。
また、途中までアガサの妊娠に疑問を抱かせない、
ストーリー展開のうまさもある。
もう一人の秘密を抱えた妊婦メグの方も、
夫との夫婦関係、
とくに子供がさらわれてからの心理、
関係の修復への気持ちの変化は目が離せない。
全体的には面白かったが、
心理学者サイラスが登場するものの「探偵」要素があまり強くないのが、
少しだけ物足りない。
Posted by ブクログ
京極夏彦も顔負けの750頁余、ぴったりのブックカバーは無いし、頁を開いて持っている手も辛い厚さ。いや、京極さんはもっと分厚いか。
序盤はアガサの目的がわからず、単にメグに憧れているのかと思う。そのうち少し印象が変わり、今村夏子の『むらさきのスカートの女』に登場する黄色いカーディガンの女のような存在を想像。そういうことかとわかる頃には不気味さが募り、時折聞こえる闇の声に多重人格者を疑ったりも。
誰のための秘密か。誰のための嘘か。タイトルが意味するところはイマイチ私にはピンと来ません。読み応えはあるけれど、不穏。
Posted by ブクログ
分厚い本だが、文字も大きいし、はなしも主人公2人の章を交互に書いてあるので読みやすい。
2人の環境の違う妊婦がお互いに依存しあう話かなと思っていたら全然違った。
だから尚更面白かった。子どもが出来ない悲しみや辛さはその経験をした人にしか分からない。
子どもを捨てる人もいれば子どもが欲しくて人の子を盗む人もいるだろう。
子育ての辛さは子どもが居ない人からすれば贅沢な悩みなのかもしれないし、子育てをしてる母親からすれば悩みもがくこともある。
それはなってみないと、その人にしか分からない。
どちらも被害者であり子どもを愛していた。
Posted by ブクログ
最初は、生まれも生き方も生活もまるで違う2人の女性が交錯していくのね…と読み出したが、途中から、え?え?そうなる?と、そこからは一気。テンポもよく、人も生き生きと動いて、筆は冴えている。しかし、よくもまあ嘘ばっかり。
面白かったことは面白かったのだけれど、全員自分勝手な理屈では?…と思ってしまうのは私の年齢からの見え方ですかね。特にメグの○○についてはお咎めなしかーいとなんだか腑に落ちない。結局メグの一人勝ちになってない?
Posted by ブクログ
スーパーマーケットで働くアガサは本当の父親を知らず、15歳のときに既婚者に騙されて妊娠し、生まれた子供とは引き離された。
一度結婚したものの死産したことで夫婦仲は悪化し、離婚してしまう。
今は恋人との子を妊娠中だが、妊娠を知った恋人は離れていった。
一方のメグはキャリア、高収入の夫、二人の子供に恵まれ、三人目を妊娠中だ。
偶然知り合ったアガサとメグは出産時期が近いことから仲よくなるが、この出会いがそれぞれの人生を変えていき……二人の女性の数奇な運命を描く戦慄のスリラー!
登場人物にあまり共感できなかった。
天使と嘘の主人公、臨床心理士のサイラスが、重要な役どころで登場。