あらすじ
都会の喧騒を離れ田舎に家を買ったブレイクモア夫妻。そこに、隣人のダンが忠告にやって来る。この地には精霊が住んでおり、季節ごとに彼らを悩ませるというのだ。最初は不気味な光が飛び回る程度だったが、やがて精霊たちは夫妻に直接危害を加えはじめ……。
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Posted by ブクログ
アメリカの雄大な自然の描写がとても美しかった。特にティートン山脈の描写は、読んでいる最中に深呼吸すれば冷たく澄んだ朝の空気が肺いっぱいに広がるようだった。
そんな美しい景色から生まれ落ちる季節ごとの怪異の中でも、特に衝撃を受けたのは夏のルール。遠雷のような悲鳴が聞こえ、やがて青々とした林の影から裸の男が立ち現われる。背後には黒い熊。男の背後を追っているもののなかなか距離が縮まらない。この時点で既に異様だ。必死に主人公たちに助けを求めるが、名前を聞いても一切返事をせず、ただ必死に助けを求めて徐々に近づいてくる様は本当に怖くて、悪夢としていつか夢に出てきそうだった。
Posted by ブクログ
予想外に好みのお屋敷ものホラーだったので、その点では大満足した。条件は良いのに安い物件、美しい景色、前途洋々で愛し合っているけど若干不穏な要素のある主人公たち、大真面目に妙な警告をしてくる親切な隣人、呪われた逃げられないルール、これアメリカの農場でやってるお屋敷ものホラーだ!となって嬉しく一気に読めた。
あらすじが「いずれルールを破って報復される」ことを明かしてるので、いつやっちゃうんだ、どっちがどんなふうに、というはらはらも楽しかった。
秋の終盤が相当怖くて不気味で(夏から秋のルールが気色悪すぎて良い)、土地の呪いが二段構えで罠になってるあたりはすごく好きだっただけに、終盤、そういうふうに乗り越えちゃうのか...と好みのラインから外れていくのを眺めるテンションになってしまった。
完全に好みの問題で、精霊に蹂躙されて終わったらそれはそれでげっそりしただろうし、いやでももっと暗く終わると思ってたな...と終盤の雰囲気の違いにだいぶ未練がある。
トータル面白かったし、和訳のタイトルは途中でそういうことか!となったし、性質の悪さが段階的に明らかになる呪いも、それがえげつないだけに主人公達の土地に惹かれながら精霊に憤る心理も良くてぐいぐい読めたので、作者の次回作は楽しみ。