新堂冬樹のレビュー一覧
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伊豆の女子高校生が母親をタリウムで毒殺しようとした事件がモチーフ。
主人公の涼子には、幼い頃に可愛がっていた愛犬のリトルがいた。
リトルは病気を患って、安楽死によって苦しまなくていいように殺すも
救えなかった経験から、生物に歪んだ愛情を持つようになる。
愛情の矛先は、自分の唯一の理解者である母親へと向かっていき
じわじわと母親をタリウム中毒にさせて、弱らせていく描写には
思わず目を背けたくなりました。
涼子の中では病気で安楽死させることと、健康な人を毒殺することが
同一の事として扱われているのが、気持ち悪かった。
妄想の中の動物達の会話がカタカナ表記ですが
長い割に句読点がないから、その部分は読みにくかったです。 -
Posted by ブクログ
桂木涼子は名門進学校で将来も有望視されている才女であるが、母親の祥子に対してある実験を行おうと試みる。
それは一グラムが致死量となる劇薬タリウムを母親に毎晩の晩酌の焼酎に混ぜて飲ませ観察をするというものだった。
物語は既にタリウムに体を蝕まれた祥子が病院に運び込まれたという、涼子が偽りのハンドルネームで開設するブログの記事から始まる。
そしてそこまでの過程が虫を愛で、動物観察を行い"変わった"少女としていじめにも遭う涼子と次第にタリウムによって体に変調をきたす母親祥子の様子とを追いながら描かれていく。
実在の事件に着想を得たフィクションであるが、ドキュメンタリー性としての部分よりは涼子の持つ死生観や考えをどう思うかを考えさせる作品でもある。
祥子がタリウム中毒で弱っていく描写も痛々しくはあるが、目を逸らしたいけど気になってしまうような筆致で読ませてくれる。
ここまで自己中心的で極端な行動に至ってしまうと同意は全く出来ないし考えも肯定しがたいが、かといって涼子が物語中に語る主張に対し、全てに明確な反論ができるかなと思ってしまった作品。 -
Posted by ブクログ
五十嵐は拳銃片手に銀行に籠城。
ですが、金目当ての銀行強盗ではありません。
のっけから、「いまから、俺が支配者だ。覚えておけ。この瞬間から、お前らの自由と人権は俺が預かった。お前らは、俺の所有物だ(14?)」ですからね。
人質にとられた人びとは、なんと全裸になるように命令されます。
逆らう人間を、情け容赦なく射殺をする五十嵐。
人質たちは、屈辱を味わいながらも、恐怖のため五十嵐に服従せざるをえません。
読んでいるこちらが「何もそこまで…」と思うくらい、一切の妥協をしない冷酷非道ぶりなんですよ。
当然、警察が出動。銀行を包囲し、拡声器で五十嵐に呼びかけます。
マスコミも数多く駆けつけます。
五十嵐は自分の携帯電話から警察に110番をかけ、拡声器で呼びかけている鷲尾に「俺が十秒数える間に、あんたは拳銃で自分の頭を撃ち抜くんだ。それができたら、こいつの命は助けてやろう。(60?)」という提案をします。
マスコミの前で逡巡する鷲尾。
ですが、大胆不敵な五十嵐の態度に、正義感の強い鷲尾は自分の拳銃に手をかけようとしますが、周りの警官に止められてしまいます。
マスコミをうまく操る五十嵐。警察も何とかして五十嵐を捕まえようとします。
警察の上層部は、お互いに派閥争いなんぞをしており、現場ではそうした警察上層部のメンツ争いなどもからみつつ、話はすすみます。
また、鷲尾も暗い過去があります。
金目当てではない五十嵐の目的は?
鷲尾は五十嵐を逮捕できるのか?
五十嵐の銀行籠城の目的という謎をはらみながら、話は展開していきます。
伏線も張ってありますし、鷲尾の心の動きもうまく描かれています。
また、五十嵐の残虐非道ぶりが良いですね。
籠城を続ける五十嵐を説得するために、警察は懸命に説得交渉をします。
五十嵐は若い頃に両親がいなくなったので、養護施設で育ちました。
警察は、五十嵐が養護施設で世話になった人物を捜し出します。
その人物に、五十嵐を説得させようとするのです。いわば泣き落としですね。
そのやりとりが面白すぎます。
「ふ……房江おばちゃんよ。順君、おばちゃんが作る砂糖たっぷりの玉子焼きが大好きだったよね?覚えてる?」
杉本房江は顔を強張らせながらも、懸命に純粋なる五十嵐の記憶を呼び起こそうとしていた。
五十嵐の沈黙。現地指揮本部の空気が張り詰める。ヘッドホンを握る掌が汗でぬらつく。
『ああ、覚えてるよ。あんたが小学生の俺の上で、獣みたいな声を上げて腰を振っていたことをな』
言って、五十嵐が大声で笑った。
「な……」
絶句する房江の顔からさっと血の気が引いた。
まっ赤な顔をしてテーブルを叩く初波。呆れ顔で首を横に振る里中。
想像以上だった。まさか、ここまで五十嵐の心が荒廃しているとは思わなかった。
過去に多くの籠城犯を眼にしてきたが、肉親同様の相手にここまでの暴言を吐いた者を鷲尾は知らない。
母親や育ての親の説得を受けた籠城犯達が、必ず投降するというわけではない。
ただ、説得を受けた瞬間に取り乱したり、泣き崩れたりと、なんらかの精神的動揺がみられるものだ。(193?)
五十嵐の体には赤い血が流れているのか?ひょっとして緑色の血だったりしないのか?と感じさせてくれます。
どんだけ人非人やねん。
さらに、五十嵐は「いつまで、こんな淫乱ババアのくだらない戯言につき合わせる気だ?(194?)」なんて暴言を続けます。
当然、我らの熱血正義漢の刑事、鷲尾は「五十嵐っ、きさま、親のいないお前を我が子のように育ててくれた杉本さんに、その言い草はないだろう!(194?)」
いつもの新堂節の迫力が物足りない・・・
最後のオチもいまいち腑に落ちなかった。
個人的に気に入らなかったの五十嵐の腰巾着の男もグロく死んで欲しかった。
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Posted by ブクログ
2008/12/28
私と母が好きな作家さん。
これは母が薦めて来たので読みました。
新堂冬樹にはじめて触れたのが純愛小説だったため、「黒新堂」と呼ばれるほうの書物を読むのは初めてでした。
「白新堂」のほうの印象が強かった為、読むのがきつくなるかなーと思いきや、
結構楽しめました。
この本が新堂冬樹氏のデビュー作らしく、なんだかそういわれるとそんな感じもしなくもないなーと思いました。
どこかまだ不完全なところや、不明瞭なところがところどころあり「ん?」と思わせますが、ストーリーはとても面白みがあり、展開のテンポもちょうどいい感じがして、
割と楽しめた1冊でした。
しかし、やはり「あれ?」と思う点や、少々物足りない感じにもなったのでここは★3つで。 -
Posted by ブクログ
夕方のニュースで流れる中学受験。鉢巻をした子供たちが拳を握ってスローガンを叫ぶ。最近ではもう珍しくない光景。
「ここまでくれば宗教」なんて言えているうちはいいのかもしれない。少なくともその熱病じみた騒動の渦中の子供には、まだ自分の意志というものがあるのだから。
小学校受験なんて、親の見栄の張り合いみたいなものだ。ここまでくれば執念と言ってもいい。このお話の場合はあまりに凄すぎて、逆に物語性が強くなってしまったかもと思わせるくらい。
作者が男性の割には、女同志集まってるグループの陰湿且つ厭らしいねちっこさがよく書かれていると思う。ここまで露骨でないにしても、多かれ少なかれ、集団になった女って大抵こういうものだ。
感情移入するかと言われればノーだが、かといって全然分らないのかと言われればそれもまたノー。何だろう、この不思議な感じは。