新堂冬樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
冷酷な犯人が銀行に立てこもって、人質を次々に殺していくお話。
犯人のバックグラウンドには衝撃の事実が……というような。
ただまぁ、そもそも論になっちゃうんだけど、こういうお話を読むといつも理不尽に思う。だって、どんな経歴で、どんな事情があろうと、人を殺しちゃ駄目だろう。どんなに気の毒でも、頭を打ち抜かれた銀行員には何の関係もない。
金銭の要求や政治的な主張以外を目的にした銀行籠城で、その犯人が冷酷無比に淡々と人を殺していくというのなら、フィクションとして「あり」な展開だった。その場にいる気の毒な人質を犠牲にしてでもテロには屈しないと宣言できるほど、日本警察のメンタリティは冷徹になりきれない。そこを突くなら面白い展開になったろう。
ただ、犯人の動機が明らかになった途端、ちょっとがっかり。それならいっそ、ノワールを突き詰めてほしかった。
これだとただ単に、「復讐の連鎖のもう一つの輪っか」みたいな。
個人的には、銀行内で恋人を射殺された女性が叫ぶ、「犯人を撃ち殺して!」という言葉のほうに同調するし、作中で語られる過去の事件のひとつ、家族を目の前で皆殺しにされてたった一人生き残った少女のほうが、復讐の権利があると思う。
結論としては、作品としては面白かったけど、最後の最後で納得いかない。 -
Posted by ブクログ
新堂冬樹の小説を読むのは2作目。
「闇の貴族」同様、読者を引き込む筆力に下を巻く。
著者は内面の葛藤を言葉にするのが上手い。
シャブ中の速見が「神の道を進む者には、いつだって妨害が入るものだ。キリストが迫害されたように、覚醒剤も、だから禁止されている。白い眼でみられる」と語るところがある。宗教団体の信者も同じようなことを言っていた。
傍から見たら、迫害されて当然だが、本人は「正しいがゆえに迫害される」と主張する。
正しい、正しくないというのは、そのときの世間の価値観だ。
すなわち、世間の価値観に合わないところで、正義を主張しても、それは宗教のドクマにすぎない。