藤野恵美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
“「人間が、悪意をもって、ほかの人間の命をうばうのよ。その行為にたいして、執事、あなたはどう感じるかしら?」
「こわい、と思います。それに、かわいそうだと……。」
「そうね。それが正常な人間の感覚よ。けれども、そうじゃない人種がいる。」
お嬢様は宙を見つめ、なにかをにらみつけるような目をなさいます。
「なんておもしろい事件だ。そんなふうに思ってしまう、呪われた人間もいるの。」
それが、お父上である秋麻呂氏なのでしょうか。
そういえば、秋麻呂氏は自分のことを「名探偵」だと言っていました。
だからこそ、お嬢様は名探偵という肩書に強い嫌悪感をしめされるのかもしれません。”[P.41]
4巻目。
あ -
Posted by ブクログ
“「あなた、小さいころから、少しずれているというか、かんちがいしやすい性格だったようね。」
お嬢様はそうおっしゃると、かすかに笑みをこぼされました。
......はい、否定はいたしません。
「でも、そういう経験って、わたしにもあるわ。ほかの人間たちがふしぎだ不可解だという、密室だとか人間消失だとかの事件も、わたしにはすぐに真相を見破ることができるから、まったくもって合理的な現象でふしぎでもなんでもないと思ってしまうのよ。」
お嬢様のおっしゃっていることは、ぼくの思いちがいとは別次元の話のような気がしますが、共感していただけたようでよかったです。”
アップルタルト食べたい。
ゆきとくんは将来的 -
Posted by ブクログ
“「……うむ。」
わずかにうなずくと、お嬢様は手をのばして、スコーンをつかみました。そのあいだも、書類から目をおはなしになりません。
お嬢様はベッドの上にひざを立ててすわり、書類と本を交互にごらんになりながら、スコーンにかじりつきます。
とても行儀が悪いのですが、とがめる者はだれもおりません。
このありすお嬢様こそ、二ノ宮家の当主でいらっしゃるのです。
ぼくはじっとベッドサイドに立って、お嬢様が食事を終えられるのを待ってました。
お嬢様は無言で、スコーンをほおばります。
薄暗い中、ベッドにうずくまり、何日間も同じパジャマで、髪はねぐせだらけでもじゃもじゃとあれば、そのお姿は女の子というより、野 -