名取佐和子さんの『金曜日の本屋さん』で紹介されていたので読みました。
この作品は、女性が読まれてももちろんいいのですが、年頃の娘さんを持たれる男性が読まれると共感するかなと思いました。
妻の瑠璃子さんと死別した人形作家のハルさんこと春日部晴彦は男手ひとつで、一人娘のふうちゃんこと風里を育て、今日は
...続きを読むふうちゃんの結婚式の日。ふうちゃんの幼稚園の頃からの出来事を年齢順に回想していく連作短編集です。
日常の謎ミステリーでもあります。
ハルさんは、ふうちゃんのことがわからなくなると天国の瑠璃子さんに問いかけ、問題は瑠璃子さんの推理により解決されます。
第一話 消えた卵焼き事件
ふうちゃんの幼稚園で、隆くんのお弁当の卵焼きが消えたのはなぜか?
第二話 夏休みの失踪
小学四年生のふうちゃんが夏休み行方も告げずにいなくなります。ふうちゃんの行動力にはびっくりしました。
第三話 涙の理由
中学生のふうちゃんの涙の理由をハルさんはもしや「いじめ」に遭っているのではと思ってしまいますが…。
第四話 サンタが指輪を持ってくる
高校最後の冬休み、ふうちゃんはアルバイト先の花屋でアルバイト中にけがをして、お客さんの落としたプレゼントを拾います。
第五話 人形の家
ハルさんが作ったシリーズ物の人形の十二体のうちの一体がいなくなったとお客さんに相談されます。
ふうちゃんが何故、結婚相手の男性の長谷さんを選んだのか判明します。
ちょっと、ナイーブな男性ハルさんと、天国の聡明な瑠璃子さんの推理がいつも冴えていて、ふうちゃんの活発でものおじしない明るい雰囲気が全編を通しています。
きっと、ふうちゃんも瑠璃子さんのような素敵な女性になるのでしょう。