藤野恵美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本作品は、先に文庫化されている『わたしの恋人』(角川書店,2014年)の続編である。
今回の主役は、前作の主人公・古賀龍樹と森せつなの名アシスト役だった、オタク少年・笹川勇太くん。
親友として二人の恋を静かに見守ってきた笹川くんだが、実は人知れず切ない片想いをしていたわけで…。
そしてそのことが、同じクラスの美少女・結城あおいに知られてしまったことから、笹川くんの受難の日々(?)が幕を開ける――というのが、本書のあらすじ。
前作に引き続き今作も、勇太:ぼく/あおい:あたし~という風に、語りの視点(一人称)が交互に入れ替わるシンプルな構成で話が展開していく。(ちなみに前作は、龍樹:おれ/せつな:わたし~だった。)
なんといっても、あおいちゃんのキャラが良かったな。
自分が美人だって自覚してて、自信に溢れてて…ともすれば、一見ワガママな女王様みたいに見えるけれど、本当は周りとの調和を考えて気を配れる子だし、クラスで目立たない人のこと(せつなとか笹川くんとか)もちゃんと見てるし。
なにより、フェアなところがいい。笹川くんの弱味を一方的に握るだけ~じゃなくて、自分も弱点を晒す潔さがね、いいよねw
最初は渋りながらも、結局は素直にあおいちゃんの命令に従ってしまう、笹川くんの振り回されっぷりも楽しかった♪
そんなわけで私は終始あおいちゃんびいきだったもんだから、終盤はもう本当にハラハラさせられたー!
それでもラストは笹川くんが頑張ってくれたお陰で、感動の結末が……!?
なるほど。『ぼくの嘘』って、そっちだったか!~ということも含めて、意外性(?)もあり、とても納得のいく終幕だった。
やっぱ恋愛はタイミング勝負、タイミングを逃さない人だけが掴めるものなのねん☆
このタイミングで合ってることを祈る~って、お伺いを立てちゃうところが、なんとも笹川くんらしいけど。でもそこがまた良いんだよねw
個人的には、前作よりこちらの方が面白かった!!
龍樹とせつなのその後には触れられてなかったけど、二人も幸せだといいな♡ -
Posted by ブクログ
ネタバレ〇 概要
一人娘「風里」=ふうちゃんの結婚式を前に,ひとり親として娘を育てた父=春日部晴彦が,娘の思い出を回想するという設定で構成された短編集。風里の幼稚園時代,小学校時代,中学校時代,高校時代,大学時代を描いた5つの短編が描かれている。頼りない人形作家の父の目から,日常の謎のミステリが描かれ,最後は,風里の結婚式で終わる。
〇 総合評価
日常の謎系のミステリなのだが,扱われている謎は「卵焼きの消失」,「ふうちゃんの失踪」,「ふうちゃんがいじめにあっているか?」,「落とし主の待ち合わせ場所はどこか」,「人形は入れ替わったのか」というものであり,その真相もミスディレクションのようなものはなく,予想どおりの真相が描かれる。そういった意味では非常に平凡なデキ。しかし,娘であるふうちゃん=風里の成長を描いた作品としてみると,なかなかのデキ。最後の結婚式のシーンで,ハルさんが,それまでの5作品と娘の成長を回想する。
このシーンがなかなか秀逸で,「大変なお仕事?」と聞いてくる風里の姿,「自分に合う場所を見つけた」ということばにつながる小学校時代の話,「どんなに離れていても,心はそばにいるよ」ということばにつながる中学校時代の話,「ひとりでごはん食べるの淋しい?」と聞いていた高校時代の話,そして,大学時代の話は,結婚相手との出会いの伏線になっている。
読むタイミングによっては,特に心に残らなかったのだろうが,実生活で娘ができてすぐ,というこのタイミングで読んだことにより,かなり心に残る作品になった。★4で。
〇 メモ
〇 消えた卵焼き事件 ★★★☆☆
風里が幼稚園時代に遭遇した事件について描かれる。風里の友達である「隆くん」のお弁当から,卵焼きが消える。風里は,卵焼きを盗んだ犯人であると疑われたことから,犯人捜しをする。
真相は,お弁当を作ったのが母ではなくおばあちゃんで,卵アレルギーだった隆くんのために,母が先生に頼んで,卵焼きを抜いてもらったというもの
ミステリとしてのデキは及第点ギリギリ。ほのぼのした雰囲気を楽しむ作品
〇 夏休みの失踪 ★★★☆☆
風里が,小学校4年生の夏休みに姿をくらますという事件が起こる。真相は,近所の源田さんという家に植えられていたレブンアツモリソウを北海道に返すために,風里が一人で,飛行機に乗って北海道の親戚の家に行っていたというもの。あらすじだけ書くとほのぼのしているが,「消えた卵焼き事件」に比べるとだいぶ緊張感が増している。ミステリとしては平凡
〇 涙の理由 ★★☆☆☆
風里が中学2年生の頃の事件。ハルさんは,風里がいじめにあっているのではないかと疑う。真相は,風里の友達である「チカちゃん」が,親の仕事の都合で急に転校してしまうというもの。ミステリというより,ちょっといい話系の作品。この作品から風里の父離れが進んでいく。娘を持つ父の視点から見ると,なんとなく悲しい作品
〇 サンタが指輪を持ってくる ★★★☆☆
風里が高校3年生の時代の作品。反抗期もぐっとましになっており,風里とハルさんの関係はだいぶ改善されている。風里がアルバイト先の花屋でけがをしてしまい,落とし物を届けてほしいとハルさんに頼む。ハルさんは「ツリーの間」という手がかりで,落とし主に,落とし物の指輪を届けることができたという話。全体的にミステリ的な要素は薄いが,この作品がミステリとしての面白さが一番あるといえるか。
〇 人形の家 ★★★☆☆
風里が大学時代の話。北海道の大学に行った風里が,里帰りしてくるが,ハルさんは人形が入れ替わったという事件に巻き込まれ,あまり,風里と一緒に過ごせないという作品。完全に親離れしてしまった子供と父親の関係を見るのは何かせつない気がする。ミステリとしては,まぁ平凡なデキ -
Posted by ブクログ
今日マチ子さんの青が美しいカバーイラストに惹かれて「ぼくの嘘」を購入した。
それはまるで漫画のようなみずみずしい青春小説なのだけれど、それは物語の展開だけでなく、登場するふたりもまたくるくると表情を変えているような気になるほどきちんと描かれていて、心地良ささえあった。
久しぶりに甘酸っぱくて気持ちの良い小説を読んだなと思っていたらこの作品は続編だったということを知って少し沈んだ。カバーにそんなことは一言も書いていない。
解説を読めば読むほど、まだ見ぬ第一作「わたしの恋人」にとても焦がれてしまった。
けれど本を閉じた時、ふと、ああ、これはあの場面なのだなとじんわりまた甘酸っぱい気持ちになった。