藤野恵美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2人の少年が切磋琢磨してお菓子職人目指す話かと思ったら違った。
もっと人間らしい感情を煮詰めて大人になっていく…勢いよく読み終わった後に振り返ってしみじみと噛み締めてしまう深いお話だった。
読んでいて楽しいのは聖太郎のスポンジのように吸収する製菓職人ライフなんだけど、共感するのは光博の周りからの期待に応えられず自堕落になっていく落ちぶれっぷりだった…。
自分は何も才能を持たない者だからと動き出すことが出来ずに燻っていた光博だけど、免許をとったり工場の仕事を手伝ったりと小さな一歩一歩を積み重ね、視野を広げる事で今までの自分の「思い込み」に気づく事が出来た。その過程が大人になっていく事なんだなと改めて認識した。
子供の頃から長年続けて来た「思い込み」ってもはや呪いみたいなものなので、何がきっかけで解けるのかは本人次第。
あんなにウジウジ悩んで動き出せなかったのにきっかけ一つでぽんと動いちゃったりと軽い感じもリアルに描かれていると感じた。
2人の右肩上がり間違いなしの今後がめちゃくちゃ見たいけど蛇足なんだろうなぁ〜。
しかし何よりチョコレートやお菓子の食レポ描写が美味しそうすぎて飯テロだった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ評価が低いのは、幸せな人生を送ってきた人が多いのかな、と感じた。
この著者、藤野恵美氏の本を読むのは、ショコラティエ、以来2冊目だと思うが、前作より断然よかった。
両親の愛を受け育てられた、とは思えないカウンセラーの宮沢橙子。
テニスのインストラクターをしている夫の律と、小学一年生の息子の蓮と、見た目は平穏な生活を送っている。
ただ、心の中では自分よりも収入の低い夫に遠慮し、息子に(カウンセラーである知識のもとに、いけないと理性ではわかっているのに)怒りをぶつけてしまう。
幼少の頃、小学校教員の父親が家庭内では絶対的な采配をふるっていた。暴力行為もあり、母親は後に離婚して元々の夫より高収入の男性と再婚。妹は、絶縁して住まいも教えていない。橙子は高校の頃、機能不全家庭であると認識、カウンセラーを目指し、父親より高学歴になり、無事その職につく。
やがて、父親が肺癌になりその後亡くなる。
喪主は、母親が出ていった後、ヘルパーをしていた女性。父親が実の母親とは別の人と再婚し、看取られたことも、遺産も何もかも、心の奥底で認めていないのだろう。
カウンセラーにかかっていた経験もあり、両親の話も、その後の交流も、自分の話か、と思うことが多かった為、読んでいて思い出したこともあり辛かった。心の奥底をえぐり出すような。
最後の、墓参りに行き、ありがとうの墓石を見て……のくだりは、うまくまとめようと持っていった感じで自分は嫌だと思った。そもそも、四十九日の夜の橙子の夫への絡み具合、あれをそのまま受け入れてくれる夫、というか人っているのかな。読んでいて、自分は夫の逆鱗にふれるから止めて!と思うほどだった。それは自分がそういう人としか、出会えていないということか…
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Posted by ブクログ
県内有数の進学校である神丘高校に通う主人公の八王子あやと九条潤は1年1組の同じクラスです。八王子あやは図書委員で大の本好き、三つ編みメガネで地味な存在です。逆に九条潤はスポーツ万能のイケメンでキラキラした存在です。この二人には同じ保育園に通っていたという共通点がありました。そんな二人の高校に文化祭の季節がやってきます。クラスのみんなで怪談を朗読するという企画を立てて準備を進めていきます。文化祭のイベントを通じて、高校生の成長を描く青春の物語です。
前作の「わたしの恋人」と「ぼくの嘘」を読んでいると、より楽しめると思います。
お話の中でいろいろな本が紹介されていて、どれも魅力的です! -
Posted by ブクログ
男手ひとつで子どもを育てていくにはちょっと頼りなさすぎやしないか…?と心配になるハルさん(^_^;)
全五話…幼稚園時代、小学生、中学生、高校生、大学生のふうちゃんとハルさんの様子を読み続けて、ミステリも絡めながらもちょっと淡々とした話だな〜と思っていましたが、まぁ日常なんてそんなものであって。
その日常を知っているからこそ、クライマックスの結婚式でのスピーチ部分では大泣きしてしまいました。まさかこんなに泣かされるとは思わなかった…。
こんなにも鮮やかに過去の姿を思い出せるのは、日々ハルさんが深い愛情をもってふうちゃんに接してきたからなんだなと思いました。
やさしい気持ちになれる、素敵なお話でした。 -
Posted by ブクログ
私自身チョコレートが大好きで、
題名、パッケージに惹かれ購入を決めました。
一見甘いだけに思えるチョコレートのようなお話ではなく、
少年たちの甘い恋愛や青春の中にも、
苦く深く、それぞれの葛藤や嫉妬などが描かれています。
そういった意味ではチョコレートそのもののよう。
甘い中にも苦さもあり深みもある。
あの艶や口どけを出すには計り知れない努力と時間と手間がかかる、それが分かるこそ食べる時の幸福感といったらもう。
読めば読むほど、
みっちゃんにしっかりしろ!と喝をいれたくなりました。が、それは私自信にも似た覚えがあるからかなぁと。
人間生きていれば誰しもが抱く嫉妬心や劣等感。
そういうドロッとした感情も正直にかかれてあり、
逆にそう思っていいんだと自分に言い聞かせることもできました。 -
Posted by ブクログ
子供の頃にチョコレートをきっかけに親しくなった男の子たちの、成長と青春、そしてやはりチョコレートをきっかけにした再会のお話
父親を事故で亡くした母子家庭の聖太郎は、製菓会社の御曹司のクラスメイト光博の誕生日会に招待され、そこで目にしたチョコレートファウンテンに魅せられた事をきっかけに光博との友情を深める
お菓子作りに没頭した小学生時代、立場の違いによって疎遠になる中学以降、それぞれの道を進もうとする二人の物語
中学のときに登場する凜々花のあたりからどろどろした恋愛的な話になるのかと思いきや、青春のスパイス程度
まぁ、凜々花もピアノ第一な生き方ですからねぇ
才能というものを改めて考えさせられる
才能とは生まれ持ったものなのか、継続する力なのか、感性なのか、体験なのか
光博にとっては凜々花や聖太郎に対するコンプレックスがあるけど
そんな凜々花ですら成長するにつれて自分の表現力の限界を感じる
だけど、光博は音を聞き分ける能力はあって、それが凜々花のような高みを目指している人たちの原動力でもあったりね
分野は違えど、聖太郎のようにひたむきに自分の道を突き進める事が何よりの才能なんじゃないかと思うよ
立場が違えば、お互いの環境を羨んだりしてしまうけど、他の人にはわからない劣等感をそれぞれ感じている構図が、青春はキラキラしているものだけではない事が描かれていてよい
ラストのところは、それぞれ自分の持つものを補う感じになっているのがなおさら良い
光博の才能というか、能力は何なんんだろうね?
「本質が見えている。そして、本質しか見えていない」という表現や、凜々花が指摘しているように音の聞き分け、聖太郎のショコラを食べたときの分析等々、何という名称は付けられないけど、物事の本質や違いを理解できる能力なのかね?
凜々花の努力に関してはわかるが、それでも神庭には敵わないという現実
宗教、体験かと思っていたものの、恋愛をしてみても、震災を体験したときに悲愴を弾いても音が変わらないというのは、やはり才能とは何か決定的なものがあるようにも思える
物語の構成として、読み始めたときは二人が大人になってからの話がメインになるのだろうと思っていたけれど、実際は後半は結構な駆け足で、しかも終わり方がアレなものだから、一応きれいに終わってはいるものの物足りなさを感じる
作者のあとがきで、それが子供と大人の時間間隔の違いの演出という事を知り、その企みは見事成功していると感じる
ただ、やはりこの二人のこの後も読みたいなぁ
ま、書かないでしょうけどね
震災の部分は読んでいて結構辛かった
リアルに当時は対岸の火事のような認識だったし、東日本大震災も直接被災したわけでもない
だけど、過去にこんな地震があり、実際にこんな体験をした人がいると思うと、どうしてもそわそわとした表現しにくい想いが自分の中で蠢いてしまう
未だに震災の話を読むのは苦手なんだと改めて気づいた
あと、あとがきで「初恋料理教室」にも言及されていた
前に読んだことあるはずなのに、ほとんど忘れてるなぁ……