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ある日帽子屋が、ありすのところに「城」を売りにやってきた。今はホテルとなっているその城で、結婚式を挙げた花嫁は、不幸になるという。実際に、オーナーの娘が結婚式のあと、航空機事故で亡くなった。悲しむオーナーは「のろわれた城」を売ろうとしていたのだった。城はほんとうにのろわれてるのか? 真相をあばくため、ありすと執事のゆきとは、ドイツへ行く。ありすとゆきとの関係に変化が? そして、ゆきとの秘密とは?
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Posted by ブクログ
“「だが、くれぐれも忘れるな。最初に、おまえを拾ってやったのが、だれかということを。おまえは、どこに属するものか、ということを。……以上だ。」 翁の話が終わったので、ぼくは深く頭をさげると、座敷をあとにします。 来たときとおなじ通用門をくぐって、どこもかしこもそうじの行き届いた敷地の外に出て、やっと...続きを読む、全身から力がぬけました。 翁のまえでは、表情には出しませんでしたが、ぼくは内心、とてもショックを受けていました。 ぼくの役目が、スパイだったなんて……。 そんな、まさか……。”[P.25] 5巻目。 ちょっとわくわくする展開……! これが落ち着いたら終わってしまいそう。 “「ああ、そうだ。致命的な欠点だ。弱点、と言いかえてもいいだろう。あの子は、めったに他人に心を開かない。だが、一度、自分のふところに入れてしまうと、すっかり信じてしまう。」 そこで、秋麻呂氏は手をのばすと、びしっとぼくを指さします。 「あの子は、きみをうたがわない。」 ぼくは一瞬、ぎくりとしました。しかし、もちろん、顔には出しません。 秋麻呂氏はいったい、どこまで気づいているのか……。 「たとえば、この古城ホテルで、連続殺人事件が起きる。はね橋が壊され、よそからだれもおとずれることもできなければ、この場からだれも逃げることもできない。閉じられた空間、クローズドサークルだ。そんな状況で、ひとりずつ、だれかが殺されていくとしよう。」 どこか楽しげな口調で、秋麻呂氏は語ります。 「そして、ふたりだけになった。」 秋麻呂氏がつきだした片手では、二本の指がぴんっと立っています。 「次々に犠牲者が出て、ついに生きのこっているのが、あの子ときみのふたりだけになったとする。それでも、あの子は、きみのことをうたがわないだろうね。」 ぼくは表情を変えません。 どのような表情を作ればいいのか、わからなくて、石像のようにかたまっています。 「きみが刃を向けて、あの子におそいかかったそのときになっても、真相にはたどりつけまい……。」 秋麻呂氏は、ぼくの顔を正面から、じっと見つめます。 名探偵のふたつの目が、ぼくを観察しています。 「そんなことで、名探偵といえるかい?」”[P.130]
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