あらすじ
ぼくは、夜野ゆきと。11歳。同い年の二ノ宮家当主・ありす様に仕える執事見習いです。ぼくがお屋敷に来てから、お嬢様はお部屋にこもって、ずっと書類をごらんになっているのですが、それはなんと、お嬢様が「探偵」だったからなのです……!5年前の宝石盗難事件と、ご友人に届いた脅迫状、婚約パーティーでおこった事件。探偵・二ノ宮ありすお嬢様がまとめて解決いたします!
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Posted by ブクログ
漫画版が始まってたので試しに原作の方読んでみました。さすがミステリ畑出身の人だけあってちゃんと日常ミステリの骨格をしてますね。2つ目の事件が「なんでお嬢様は紅茶を飲んでくれないのか?」の謎の手がかりになるのなんかきれいに決まってた。
Posted by ブクログ
突飛な設定だけど、ミステリ要素はシンプル且つ王道なのが素敵。
日常の謎系かと思いきや、癖の強い人物が集まった富豪のパーティでの殺人(未遂)事件という展開も素敵。
シリーズをまたぐ謎もちらりと見せて、こりゃ続きが楽しみ。
Posted by ブクログ
四年生くらいから読めそうな探偵もの。ワトスン的少年の語り口。
執事、という仕事関連でも紹介できるかもしれない。
内容、雰囲気としては『GOSICK』(桜庭一樹)の幼年版みたいな。
Posted by ブクログ
HACCANさんの絵が好きです。
そして設定にも心惹かれるものがあったので手に取りました。
ありすの色々心得てる感じと、ゆきとの戸惑いながら成長していく感じ(しかも若干天然っぽい。)が可愛らしくて楽しかった。
作者の人柄が滲み出てるのか、作品全体に流れる優しい空気感が良かった。
児童向けだから、探偵物といっても大したものではないだろうと軽い気持ちでいたせいもあるけれど、なかなか面白かった。
結構読書量のある子向けかもしれない。
そして、これはシリーズにハマってしまいそうな予感…。
Posted by ブクログ
“「……うむ。」
わずかにうなずくと、お嬢様は手をのばして、スコーンをつかみました。そのあいだも、書類から目をおはなしになりません。
お嬢様はベッドの上にひざを立ててすわり、書類と本を交互にごらんになりながら、スコーンにかじりつきます。
とても行儀が悪いのですが、とがめる者はだれもおりません。
このありすお嬢様こそ、二ノ宮家の当主でいらっしゃるのです。
ぼくはじっとベッドサイドに立って、お嬢様が食事を終えられるのを待ってました。
お嬢様は無言で、スコーンをほおばります。
薄暗い中、ベッドにうずくまり、何日間も同じパジャマで、髪はねぐせだらけでもじゃもじゃとあれば、そのお姿は女の子というより、野生動物かなにかのようで……。”
イラストに惹かれて。
あっさり読めた。
“「わたしという探偵が現れなければ、彼女は復讐をまっとうできたでしょうに。」
冗談とも本気ともつかない口調でおっしゃると、お嬢様はふうっと息を吐いて、シートにもたれます。
「桜子さんだって、わたしがあの男の過去の罪をあばかなければ、真実を知ることもなく、傷つかずにすんだかもしれない……。わたしが外に出ると、いつもこうよ。」
そうつぶやかれたお嬢様の声は、どこか投げやりで、悲しげな響きを含んでいました。
これまで、つねに自信満々といった態度でいらしたお嬢様には、このようなお言葉は似つかわしくないように思えて、ぼくは思わず、口を開きました。
「しかし、ぼくはやはり、お嬢様が事件を解決なさったのは、いいことだと思います。」
執事という立場で、お嬢様に自分の意見を申しあげるなんてですぎたまねだとは思いますが、言わずにはおられませんでした。
「うまく申しあげることはできませんが、お嬢様が過去の事件を解決してくださったからこそ、かすみさんの心はすくわれたのだと思います。それに、桜子さんもだまされてしあわせでいるよりは、つらくても本当のことを知ったほうが、よかったのではないのでしょうか。」
「そうかしら。」
「はい、お嬢様。」”