つくね乱蔵のレビュー一覧
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購入済み
実に厭な
胸糞が悪くなる本である。人格崩壊。一緒に暮らしている家族の過去。和かな仮面の下に現れる醜い顔。霊の方に正当性があるとしか思えない人間の真の姿。善人ヅラの極悪人。本書は、怪談というよりも、そういう人間の醜悪さが最後に残る。それにしても「厭」という字は「嫌」よりもすごくいやな感じがする。
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Posted by ブクログ
神仏に関する怪談が集められた一冊。
著者によって集まる怪談に傾向がありとても興味深い。
その中でお寺や修験者に関する怪談を綴った橘百花氏の民話のような因果話や海を越えた海外の神について語られる卯ちり氏の怪談、そして一話のみながら思わずヒヤリとさせられる人間も怖い話の「檻の中」の斉砂波人氏と「裏の靖国」の鷲羽大介氏…。
もちろん他の著者の方々の話も大変興味深く、また読みやすいものが多くとても満足な一冊。
しかし後半に行くとかなりアクの強い著者が続くため(悪い意味ではなく作者の個性が強烈に出ている話が多いので)「実話怪談」というより立派なひとつの「作品」として捉えたほうが良いかもしれない。
特 -
Posted by ブクログ
ネタバレ“厭が満ちる”というタイトルは「家族円満」にも掛けているとのことで家族内、家族絡みの話がやや多いか。改めて言わずともこの人の怪談は常に厭度満載だが。終盤になるに従って話の厭さ悍ましさがさらに加速度を増していくのもお馴染み。
印象に残ったのは、
・その部屋に住むと米の飯が一切食べられなくなる「腐り米」
・一家揃って死に絶える際に異様な長い叫び声が響く家「サイレン」
・公私で失敗や不運が続く男が突如知ったその理由「なるほとね」
・一族の恥として軟禁された妹と、唯一人心を通わせていた姉「姉妹」
・座敷童子と暮らすことを夢見た男がようやく手に入れた家とは「座敷童子に会いたくて」
・知人宅のクローゼッ -
購入済み
厭な怪談
他人に見えない存在が自分にだけは見える・感じると言う状況以上の厭なものはないだろう。この本には悍ましい厭な話が収録されているが、本当の厭な話は後書きの最後にある。どうか最後まで読んで頂きたい。
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Posted by ブクログ
ネタバレこの著者ならではの厭度は相変わらず。既刊の「恐怖箱 禍族」収録の話もいくつかあったような(そっちはもう手元にないので確認できず)。
印象に残った話をなるべくネタバレにならぬ程度に。
「効果抜群」:怖いというかその男性が哀れ。なぜそんなに家族から嫌われた?
「狐と犬」:稲荷にそんなことしたなら当然の報いだろうな。むしろ荒れているのをきれいにしたなら……ってそんな展開ならこの人は書かないか
「相乗り」:見える人にとってこのタクシー運転手みたいなのは本当に「厭」な客だろう
「禍仏」:爺さん何でそんなもの持ってきちゃった……
「虚ろの城」:そのマンションは城というより、巨大な※※だったわけか
「走り -
Posted by ブクログ
神様に関わる怪談は、それ相応の罰的な展開になるのがやっぱり怖い。
神様に頼るときや何かいけないことをするときは、それ相応の覚悟を持って。
死ぬ気で向き合えること以外は、安易に関わってはいけない。それは、良くも悪くも。
そう思わされた。神社散歩とか、本当にいいのか?とか、薄っすら思った。
もっと下調べしてから色んなところに行くべきだと思った。
あとは神様や近しい存在に対して失礼な態度を取る奴が、人間には良いことをしているなんてあり得ないので。
宗教観とかそういう観点ではなくても、その人たちが心から大切にしているものを粗末に扱うようなことは、何だろうとダメってことで。
私も気をつけます。 -
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Posted by ブクログ
ちょっとNot for meかなと思いつつもジャケがカッコよかったので手に取ってみた、呪術にフォーカスした実話怪談コンピ。
呪術というと呪う方と呪われる方、つまり因果と応報があって、その間にある呪いという“わからなさ”よりも、人の怨みや悪意が怖いのかもしれない、そんな話でもつくね乱蔵さんの各編は体験も語りも厭さも流石だな、などと思いながら読み進めていたけれど、後半に収録されている久田樹生さんの長尺の一編「巧妙」が「本当に呪われているのか。呪われているのなら目的は何か。全てが分からない」まま長期間に渡って進行していく話で凄かった。更には最後に紐解かれそうになりつつ隠されたまま終わる因果にも人の禍