スティーヴン・キングのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
原著2008年刊行、比較的新しいスティーヴン・キングの短編集。収録された6編ともホラー・オカルトの系譜に属する(ファンタジーっぽいものもある)。
この中では「N」「魔性の猫」「どんづまりの窮地」が印象的だった。
巻頭の「N」は強迫性障害の症例報告のスタイルで、いつもとは違うメモ書きの文体で始まるために違和感があったが、最後の部分でいつもの、主体のモノローグを組み込んだ生々しい文体に戻る。内容はちょっとラヴクラフト風かもしれない。
最後の「どんづまりの窮地」はなかなかスカトロな光景がおぞましく描かれるので、上品な方は読まない方が良いかもしれない。
いったいに、キングは『ペット・セメタリー』辺りを頂点として、後は下り坂というか、少なくとも自分にとってはあまり満足できないような作風に変貌してゆくのだが、作家の力量としては充実しており、その余裕からこの短編集のような多彩さを醸成することができるのだろう。
視点となる作中人物のモノローグを混合させ、緊迫した読書時間をもっと体感したいのならば、やはり長篇の方が読み応えがあるのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
エドワード・ホッパーの絵画から生まれた十七の短編。
それぞれ全て異なる作家の手によって物語が編み出されており、短編好きも、絵画好きも、うまく取り込まれてしまう。
正直なところ、絵画を眺めているだけでも楽しい。
絵画は、18枚修められている。一枚は、読者が自分で話を作ってみてね、という序文の心憎さよ。
翻訳物なので、独特のクセがある。
決して変な日本語ではないし、つまらないわけでもない。
翻訳者も12人(贅沢!)いるので、この翻訳者だと合わない、といったことがあるわけでもないのだが、やはり「ニュアンス」「空気」という見えないものを取り入れることは、難しいのだろうか。
「キャロラインの話」はある老婦人の物語だ。
視点が変わっていくところ、また、老婦人の秘密がポイントだ。
老婦人の心の中にあったしこりは解消されただろうか。また新たなしこりを生んだだろうか。
願わくば、ハッピーエンドに、と思うが。
家族の問題は近しいだけに問題も起こりやすいことも、必ずしも皆が幸せにはならないだろうという、ざらついた余韻の残る物語であった。
「映写技師ヒーロー」
映写室にいる、少し引っ込み思案な男性の物語。
いかにもアメリカらしい展開だ。
小さな映画館にみかじめ料を求めてやってきた男たちから映画館と、経営者と、受付嬢を守るため、映写技師は立ち上がる。
でも、その「誰かのため」は表に出ることなく、消える。
そしてまた日常に戻る。
アメリカらしい解決方法だが、アメリカンヒーローらしからぬヒーロー。
いや、スーパーマンも普段は冴えない、んじゃなかったっけ。
だとすれば古典的なヒーローがここにいる、のかもしれない。 -
Posted by ブクログ
近々この映画を見に行くことになりそうなので、手にとってみた。
海外の映画に関しては、そんなに「原作を読まなきゃ」と思うことはないのだが、今回は珍しくなぜか気になって、読んでみたくなった。
翻訳ものは、不自然な日本語表現が気になって、スムーズに読み進められないことが多いのだが、この本に関しては、内容を知りたい気持ちが勝っているのか、そういう部分があっても読み流して先に進むことができている。
なんか……不思議な吸引力のある物語。
確かに薄気味悪いんだけど、目が離せなくて、でも、おもしろい、っていうのともちょっと違うような……。
いやでもこの吸引力をひと言で表すなら、おもしろい、しかないのかも。
登場人物の言動に疑問を抱いていたら、後で「そういうことだったのか」と理解できてホッとしていたところ、闇の中から緑の目が光っていてギョッとしたり……。
うぅむ、さすがスティーヴン・キング、というところか。
何はともあれめっちゃ気になる未来が明かされちゃってるから早く続き読みたい!
さぁ、下巻下巻。