麻生幾のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この作品を読んでいると…何の楽器でも構わないが、“ソロ”でドンドンと様々な演奏をしていて、その背後で入れ替わりに幾つかの違う種類の楽器が、多少編成も変えながら演奏をして、そうやって出来上がる「協奏曲」的な音楽を鑑賞している…そういうような気分になった。なかなかに興味深かった…
本作の「“ソロ”でドンドンと様々な演奏」という部分は、中堅商社に勤めている女性である亜希に関する部分である。そして「その背後で入れ替わりに違う種類の楽器」というような感じで、様々な人達の動きが描かれ、亜希が何時の間にか巻き込まれた妙な事態という物語が展開する訳だ…
或る日、偶々眼に留めてショットバーに立寄ったという些細な -
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中央政府や東電中枢のどうしようもない指示の中、目に見えぬ放射能の恐怖に立ち向かいながら原発冷却作業にあたった陸上自衛隊。
自分たちも被災者なのに、不眠不休で交通網の回復作業にあたる東北地方整備局。
慣例、因習にとらわれず、臨機応変に対応した警察官やDMATスタッフ。
心を打つのはそうした直接現場で働く人たちや、責任と覚悟をもって対応にあたる人たち。そして、おにぎりをにぎってくれる人たち。
心をいらだたせるのは、責任も覚悟もないくせに体裁ばかり気にして適当な判断を下す大臣や東電首脳陣。
この日本を支えているのは、偉そうな戯れ言を唱えている政治家たちじゃなく、現場で必死に…そう、文字通り -
Posted by ブクログ
2011年3月11日14時46分、皆さんはどこにおられたでしょうか。私は会社で仕事をしていました。非常階段への扉だけ確保して机の下に潜り込んだことを、不思議と覚えています。あれから3年が過ぎ、折々で思い出すことも多いですが、どんな形であれ“前”を向いて歩んでいこうと思ったのは、こちらを読んだから。
東日本大震災は、日本にとって「戦(いくさ)」であったとあらためて。その戦場の最前線で戦った戦士たちを追いかけたノンフィクションとなります。
つくづくに痛感したのは、「緊急時の対応力で、人も組織も、ソノ“本質”が見える」ということ。
“この「十二時間」は“謎の十二時間”である。”
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『前へ!』。何と力強い言葉だろうか。最前線で決して撤退することなく、困難に立ち向かった人々…
東日本大震災の直後、福島第一原発、東北の被災地の最前線で活躍した人々のドキュメントである。
第一章では、福島第一原発で困難な放水作業に挑んだ自衛隊の活躍を描く。あの時の日本政府、東電、保安院の無能ぶりと迷走、情報隠蔽は酷いものだった。必要な情報も与えられず、被曝の恐怖と闘いながら、最前線で活躍した自衛隊。まるで竹槍を持たされて、敵に立ち向かう兵隊のようだった。日本政府の海外へのアピールとも受け取れたヘリコプターでの放水作業、毎度おなじみの日本政府、東電、保安院の大本営発表。あの時の怒りとともに最前 -
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ネタバレ本作は、「謎の多い女」である美津江が浮かび上がってくる第1章、3年程経った第2章で構成され、後日譚的な短い終章が加えられている。
全編を通じて、水越警部が“狂言回し”であり、“主人公”という感に纏まってはいるのだが、「真の主人公」は、数奇な運命を辿り、或る意味で壮絶な生き方をして来た「謎の多い女」である美津江かもしれない。
本作では、地道な防諜活動というものが精緻に描かれ、非常に迫力が在るが、他方で各々になかなか個性的な捜査員達が活き活きと描かれているように思う。そして、そういう捜査員達の目線を通じて、主人公格の水越警部という人物が掘り下げられている。
精緻に描かれる“第四担当”の面々の -
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<きっかけ>面白そうな本を発掘してた時に見つけた本です。
<コメント>ストーリーは、「原子力発電所が並ぶ敦賀半島沖に北朝鮮の潜水艦が漂着した。対戦車ロケット砲で武装した特殊部隊十一名が密かに上陸、逃走する。」ところから始まる。これに対して国家の取れることは現状の法律では何もなく常に後手(被害が出てから手をうつ)状況で官僚の政治、死を目前とした現場の自衛隊の揺れ動く決断がうまく表現されてます。
現に他国に攻め込まれた場合、本当に小説のようなことが起きるのでないか?とさえ思ってしまいます。読み進むにつれて、ドンドン引き込まれて行きます。オススメです。 -
Posted by ブクログ
<きっかけ>面白そうな本を発掘してた時に見つけた本です。
<コメント>ストーリーは、「原子力発電所が並ぶ敦賀半島沖に北朝鮮の潜水艦が漂着した。対戦車ロケット砲で武装した特殊部隊十一名が密かに上陸、逃走する。」ところから始まる。これに対して国家の取れることは現状の法律では何もなく常に後手(被害が出てから手をうつ)状況で官僚の政治、死を目前とした現場の自衛隊の揺れ動く決断がうまく表現されてます。
現に他国に攻め込まれた場合、本当に小説のようなことが起きるのでないか?とさえ思ってしまいます。読み進むにつれて、ドンドン引き込まれて行きます。オススメです。