麻生幾のレビュー一覧
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めちゃくちゃ面白いし取材量がこれまたハンパないだろうなと思わされた。文章の細かいところにつっかえたが、そんなことはどうでもいいほど面白かった。
専門職の外務事務官雪村沙羅、夫でウラジオストク総領事館の副領事の隼人が突然失踪。ロシアの退役した原潜を解体する事業が間もなく完了しようとしており、その祝賀レセプションを2週間後に控えてであった。沙羅が現地に赴くことになり、レセプションの最終調整と並行して隼人の失踪に関する調査も開始した。結局、FSB、チェチェンゲリラ、北朝鮮、ロシア軍、海上自衛隊まで巻き込んでの原潜強奪事件となり、最後はロシア軍が制圧、日露の実践的な救難訓練中に事故で原潜が沈んだことにされて解決した。隼人の失踪は、チェチェンゲリラの脅迫に屈せず、その部下に殺されていた。信頼できるように見えた多岐川が出世のために最も醜い行動をとっており、感じの悪い次席の奈良岡が実は沙羅の味方だったみたいなひっくり返し方。 -
Posted by ブクログ
この作品を読んでいると…何の楽器でも構わないが、“ソロ”でドンドンと様々な演奏をしていて、その背後で入れ替わりに幾つかの違う種類の楽器が、多少編成も変えながら演奏をして、そうやって出来上がる「協奏曲」的な音楽を鑑賞している…そういうような気分になった。なかなかに興味深かった…
本作の「“ソロ”でドンドンと様々な演奏」という部分は、中堅商社に勤めている女性である亜希に関する部分である。そして「その背後で入れ替わりに違う種類の楽器」というような感じで、様々な人達の動きが描かれ、亜希が何時の間にか巻き込まれた妙な事態という物語が展開する訳だ…
或る日、偶々眼に留めてショットバーに立寄ったという些細な出来事から拡がる不思議な波紋…亜希の知らない場所で、色々な人達の思惑が交錯して進む事件捜査や、その他の動き…何か「不思議な物語」で夢中になってしまう…何となく余韻も深い… -
Posted by ブクログ
中央政府や東電中枢のどうしようもない指示の中、目に見えぬ放射能の恐怖に立ち向かいながら原発冷却作業にあたった陸上自衛隊。
自分たちも被災者なのに、不眠不休で交通網の回復作業にあたる東北地方整備局。
慣例、因習にとらわれず、臨機応変に対応した警察官やDMATスタッフ。
心を打つのはそうした直接現場で働く人たちや、責任と覚悟をもって対応にあたる人たち。そして、おにぎりをにぎってくれる人たち。
心をいらだたせるのは、責任も覚悟もないくせに体裁ばかり気にして適当な判断を下す大臣や東電首脳陣。
この日本を支えているのは、偉そうな戯れ言を唱えている政治家たちじゃなく、現場で必死に…そう、文字通り必死に働いている人たちなんだということを改めて思い知らされた一冊。こうした本を読むたび、できることは少ないなりに自分も何かしなきゃ、と思う次第です。 -
Posted by ブクログ
2011年3月11日14時46分、皆さんはどこにおられたでしょうか。私は会社で仕事をしていました。非常階段への扉だけ確保して机の下に潜り込んだことを、不思議と覚えています。あれから3年が過ぎ、折々で思い出すことも多いですが、どんな形であれ“前”を向いて歩んでいこうと思ったのは、こちらを読んだから。
東日本大震災は、日本にとって「戦(いくさ)」であったとあらためて。その戦場の最前線で戦った戦士たちを追いかけたノンフィクションとなります。
つくづくに痛感したのは、「緊急時の対応力で、人も組織も、ソノ“本質”が見える」ということ。
“この「十二時間」は“謎の十二時間”である。”
1分1秒を無駄にできない状況下で、ただ無為に十二時間を浪費するセンスのなさ。東京電力管内で起きた“福島原発事故”は間違いなく人災でしょう。東北電力管内でも同じような状況があったにもかかわらず、特に問題が起きなかったことと比較するだけでも、この“東京電力の異常さ”が一層際立って見えます。
“海江田大臣の命令は、政治的なパフォーマンスではないか”
そして、東京電力内部だけでなく、当時の政府トップのグダグダもそれにいっそう輪をかけていました。密室協議とか、全ての判断責任をすべき総理大臣が一現場にいって怒鳴り散らして帰ってくるだけとか、必要な情報は隠したままで、ただ現場に無意味な要望とその責任すらも押しつけるだけの経済産業大臣とか、、
まさしく『失敗の本質』でつぶさに語られていた、旧陸軍の失敗をそっくりそのままなぞっているかのような在り様でした。兵站の軽視や精神論で怒鳴るだけで、決して責任をとろうとしないことも含めて。「歴史は繰り返す、違う顔で」とは誰の言葉でしたか。少なくとも、二度と彼らに危機管理を任せる気概を、私自身は持てません。
それはさておき、本編の主人公は副題にもある「無名戦士」たちです。自衛隊、国交省東北地方整備局、警察、消防隊、そして、災害派遣医療チーム(DMAT)。現場で最善を尽くし、持てる力のすべてを出し切った人々の、物語。
そんな“現場での力”が際立つだけに、大半のトップの体たらくもまた浮き彫りになりますが、、そんな救いようのない中でも、当時の「国土交通大臣大畠章宏さん」は凄かったと思います。
“すべて任す。国の代表と思ってあらゆることをやってくれ!”
こんなリーダーであれば、頼もしいと、そして、存分に動くことができるとも。そういえば当時、この方のお名前をテレビなどで拝見することは少なかったような、、それはただ、ひたすらに“前”に進んでいたからでしょうか。
ん、リーダーとはかくありたい、なんて風に感じた一冊です。 -
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『前へ!』。何と力強い言葉だろうか。最前線で決して撤退することなく、困難に立ち向かった人々…
東日本大震災の直後、福島第一原発、東北の被災地の最前線で活躍した人々のドキュメントである。
第一章では、福島第一原発で困難な放水作業に挑んだ自衛隊の活躍を描く。あの時の日本政府、東電、保安院の無能ぶりと迷走、情報隠蔽は酷いものだった。必要な情報も与えられず、被曝の恐怖と闘いながら、最前線で活躍した自衛隊。まるで竹槍を持たされて、敵に立ち向かう兵隊のようだった。日本政府の海外へのアピールとも受け取れたヘリコプターでの放水作業、毎度おなじみの日本政府、東電、保安院の大本営発表。あの時の怒りとともに最前線で活躍した人々への畏敬の念が蘇った。
第二章では、津波に襲われた沿岸部への救命アクセス道路を確保すべく、活躍した国交省チームと民間建設業者が描かれる。震災直後、東北の沿岸部の各地では津波による落橋、地盤沈下で道路が寸断され、内陸部から沿岸部へのアクセス道路の安全性も不明だった。恥ずかしながら、夜を徹して痛んだ道路や橋の補修、迂回路の確保を行った方々が居たからこそ、僅か数日で沿岸部への救命輸送が実現したのだと知った。
第三章では、福島第一原発付近で住民の避難誘導を続けた警察官、いち早く被災地に駆け付けたDMAT、大規模な兵站活動を行った自衛隊の活躍を描いている。第三章を読みながら、じわじわと涙がこみ上げた。
最前線で活動した多くの人々…それに比べて当時の日本政府の無能さと言ったら…
文庫化にあたり大幅加筆、改訂。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本作は、「謎の多い女」である美津江が浮かび上がってくる第1章、3年程経った第2章で構成され、後日譚的な短い終章が加えられている。
全編を通じて、水越警部が“狂言回し”であり、“主人公”という感に纏まってはいるのだが、「真の主人公」は、数奇な運命を辿り、或る意味で壮絶な生き方をして来た「謎の多い女」である美津江かもしれない。
本作では、地道な防諜活動というものが精緻に描かれ、非常に迫力が在るが、他方で各々になかなか個性的な捜査員達が活き活きと描かれているように思う。そして、そういう捜査員達の目線を通じて、主人公格の水越警部という人物が掘り下げられている。
精緻に描かれる“第四担当”の面々の活動は、読んでいて「映像」が浮かぶようだった。或いは非常に“映画化向き”な作品かもしれない等とも思った。
大変愉しい作品だったが…「身近な場所に、この種の活動で言う“視線”が在るのか?」等と、多少怖くなる一面さえ在った… -
Posted by ブクログ
<きっかけ>面白そうな本を発掘してた時に見つけた本です。
<コメント>ストーリーは、「原子力発電所が並ぶ敦賀半島沖に北朝鮮の潜水艦が漂着した。対戦車ロケット砲で武装した特殊部隊十一名が密かに上陸、逃走する。」ところから始まる。これに対して国家の取れることは現状の法律では何もなく常に後手(被害が出てから手をうつ)状況で官僚の政治、死を目前とした現場の自衛隊の揺れ動く決断がうまく表現されてます。
現に他国に攻め込まれた場合、本当に小説のようなことが起きるのでないか?とさえ思ってしまいます。読み進むにつれて、ドンドン引き込まれて行きます。オススメです。 -
Posted by ブクログ
<きっかけ>面白そうな本を発掘してた時に見つけた本です。
<コメント>ストーリーは、「原子力発電所が並ぶ敦賀半島沖に北朝鮮の潜水艦が漂着した。対戦車ロケット砲で武装した特殊部隊十一名が密かに上陸、逃走する。」ところから始まる。これに対して国家の取れることは現状の法律では何もなく常に後手(被害が出てから手をうつ)状況で官僚の政治、死を目前とした現場の自衛隊の揺れ動く決断がうまく表現されてます。
現に他国に攻め込まれた場合、本当に小説のようなことが起きるのでないか?とさえ思ってしまいます。読み進むにつれて、ドンドン引き込まれて行きます。オススメです。